ロレッタブログ

香りの本をいくつか - 2008.11.10

ロレッタには香りがお好きなお客様が多いので、素敵な本をいくつかご紹介しますね。
歴史的名香の誕生伝説を綴った‘パヒュームレジェンド‘。

既出のゲランの名香の数々のほか、シャネルNo5、トレゾァ、ロリガン、ランバンのアルページュなど、歴史に残る名香のエピソードがたくさんの贅沢な一冊です。既に絶版ですが、探せばどこかで在庫が見つかるかもです。
グラースの香料史と、巨匠とよばれるパフューマーたちの創作活動への情熱を書いた、広山先生による‘香りの匠たち〈香水王国フランス賛歌〉‘。

「フランスの社会ではまがいものが仮に市場に出ても、賢明な消費者がいて自然淘汰されるという環境にあります。それは「創造性に対して最上の尊敬を払う」という、他人の真似ではないオリジナリティこそが性別や人種を超える鍵だ、とする社会がそこにあるからでしょう。」という一文が特に印象的。
そして、調香師を目指す人なら特に面白いであろう一冊は、同じく広山先生の‘フレグランズ 香りのデザイン‘。

動物性香料の元になる(いまはワシントン条約で採取はできませんが)シベットの元になるジャコウ猫、アンバーグリスの元になる抹香鯨、ムスクの元になる麝香鹿、カストリウムの元になる海狸(ビーバー)の写真と、そこからとれた原料となるものの数々の写真も。
たとえば、アンバーグリスの原料は抹香鯨の体内にできた病的な結石です。この原料は奇妙な塊に見えると思いますが、本当によい香りになるんですよ・・・!
第6章‘著名なパフューマーとその主要作品‘は、「あの香りとこの香りは、同じ人が作ってたんだ!」と判って、うれしくなってきますよ。
私はパコ・ラバンヌの‘ウルトラバイオレット‘もジャック・キャバリエだったのかーと納得。
このおじさんは、「香水界のモーツァルト」と呼ばれる天才調香師です。
もし本が手に入らなかったら、こちらのHPが参考になるかな。
それから、ゲランの香りに心酔している人なら、眺めるもよし、読むもよしの美しい一冊‘ゲラン 香りの世界への旅‘。
エキゾチックな国々への香料採取の旅、ジャンポールゲランの幼少期などなど、代々香水を作ることを生業とする名家の歴史。

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香りを整理保管する棚のことを‘オルガン‘、絵画で言う色調、音楽でいう音階のように、香りにおける香調を‘ノート‘と呼ぶことも、あまり知られていないみたいですね。
知れば知るほど面白い、科学と芸術の狭間にある世界です。