ロレッタブログ

2012夏休み後半・8月20日・名古屋 - 2012.09.13

今日は彼らがシンガポールに発つ日です。なんとホテルのチェックアウトはAM6:30!!!
かんばらさんは目と鼻の先のホテルにいたので見送りに行こうとおもえば行けたのですが、そんな時間に起きられないので行きませんでした。(笑)ちょうどそのくらいの時間に一度目が覚めたものの、時計をみて「みんなのツアーがこれからも無事でありますように」と思いながら、とっとと二度寝を決め込んだのでした。きっと熱心なファンの方々は、見送りにもかけつけていたかもしれませんね。

しかし、中部国際空港→成田空港→シンガポール(公演)→香港(公演)→オーストラリア5都市(公演)っていうのも、無駄に距離を移動しているような気がしないでもない。それに、こんな早い時間のチェックアウトなんて、これまでのブライアン・ウィルソンのツアーでは一度もなかったはず。今回のツアーはスケジュールが本当にタイトなので、身体を大事に9月のUK公演まで無事に乗り切ってほしいものです。
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8時半に携帯が鳴って目がさめました。電話の主は「通知不可能」・・・なにこの表示?未だかつてこんな表示の電話を受け取ったことがなかったので、無言で出たら「Hello?」って誰??
「わかなー、マイクだけど」
って、なんで電話?今どこにいるの?空港からなの?え?まだホテルにいるって、なんで?!みんなと一緒に行かなかったの?!
「昨日からしんどかったから、レイトチェックアウトにしてもらってシンガポールには遅れて到着することにしたんだ。ひとりでゆっくりしたかったし。」
てっきり乗り遅れたのか、置いていかれたのか(なんせ大人数ですから)と思って真剣に焦りました・・・・・・頼むから朝からびっくりさせないで!!!!

でもそういえば、昨夜もダリアンとマイクとだらだらしゃべっていた時に、しんどいから遅れてシンガポールいりしようかなーってぶつくさ考えていたよね。とはいえ、ひとりでのんびりしたかったものの完全に一人になってしまうとそれはそれでさみしくなったのだそうです。うける。(笑)私が携帯番号を教えているのはダリアンくらいなのに、なんでマイクが知ってるのかと思いきや、空港に向かうダリアンにメールして私の連絡先を聞いたらしい。
「で、まだいるかなーって思って。わかなはいま何してんの?」
「まだ寝てた」
「ご、ごめん・・・。じゃあ起きたら、部屋は18○○号室だからロビーから電話くれる?」
とは言われても、もう目がさめちゃったから起きてそっちに行くよ。あー、ほんとにびっくりした寝起きでした。心臓に悪い目覚めは勘弁してください。

マイクとダリアンは仲良しなのに、マイクとは意外とゆっくり話す機会がなかったのですが、今回とても仲良くなれてよかったです。しかも7年前の日本ツアーには参加してなかったから、もう最後に会ってから10年ぶり?マイクは今回はべーシストとしての参加なので、正直運動不足。腕のオペのリハビリも終えたら、ドラム用に身体を作り直すらしく、まずは2~3曲プレイしてみて、半時間、1時間と徐々に長くしていって、2時間超のステージにも耐えられるように筋肉をつけ直すそうです。ステージにいる時間以外に、こうやって仕込みをいろいろしているわけですね。

2人でホテルで朝ご飯を食べていたら(おごってくれてありがとう!)、アル・ジャーディンの息子たちもいたのですが、どうやら名古屋から東京にもどって何日か満喫してからオーストラリアで再び合流するらしいです。昨日は名古屋城に行ったあと、夜は鵜飼いも観にいったそうですよ。彼らなりに日本滞在をとても楽しんでいるみたいで、デジカメに沢山写真を残していました。
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4月からずっと続いているワールドツアーは、合計70公演以上。ひたすら世界各地を同じ面子で回り続けて、スケジュールもかなりタイト。90年代後半からほぼ毎年何かしらツアーをしているので、彼ら自身も「ファミリー」と呼ぶように強い結びつきがあるのですが、いくら気心がしれた間柄でも、長期間べったりくっつきあって地元と遠く離れた世界の間を行き来して過ごすのはやっぱり大変。

プライベートな時間も欲しいときには、こうして個々に時間をずらしてもらっているようです。
そういう時に、私みたいに彼らの好きな音楽も同様に好きで、共通の友人もいて、10年以上も友達で、音楽業界としがらみもない人と話すのが、彼らの精神衛生上よいみたいです。
自分の日々の仕事や生活とは全くしがらみのない第三者に話を聞いてもらう事。
そして、そうした「場」を持つこと。
この2つは、メンタルヘルスにおいてとても大切なことだと思うのですが、身近な人には言いづらい、でもだれかに話したい、そういう事って多かれ少なかれ、誰しもあるものですよね。
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私はわたしで、彼らのことはその音楽だけではなく人格も本当にすばらしいと思っているのです。有名な人と仕事をしているというだけで、自分も偉くなったように勘違いをしてしまう人なら腐るほどみてきたし、プライドと自己評価が無駄に高くなってしまってコミュニケーション不全をきたしている人も、世の中には沢山いますよね?彼らだって、ブライアン・ウィルソンには全幅の信頼を置かれ、さらにポール・マッカートニーには「世界最高のツアーバンドだ!!」なんて手放しで大絶賛されたら、思いあがりや勘違いをしてもおかしくない。それなのに、「僕たちはバックバンドとして書かれた曲に忠実に演奏しているだけであって、すごいのはその曲を書いたブライアン・ウィルソンであって、僕らはなんにもすごいことはしてない。最も素晴らしいのは、ブライアンだよ」とまったくおごりがない。

もちろん彼らも生身の人間ですから当然ひと癖もふた癖もあったりもします。でも、それはいくらか近しく親しくなれば誰でもいくらか見えてくる部分だし、そしてそれは「お互いさま」ですよね。出会った頃はほとんど無名だった彼らは、有名になってからも変わらぬ懐が深さと謙虚さを忘れず、いつもまわりの人のことを考えていて、ほんとうにほんとうに優しいのです。

「人間において何が大切であるかというと、【近傍】である」
とは、名越康文先生に教えていただいた、62歳で芥川賞を受賞したという森敦氏の言葉ですが、自分の近傍に置いて良いもの、悪いもの。必要なもの、必要でないもの。これらを見極める作業を自分なりにやることが最も肝腎だと。
彼らと20代の初めという人生の早い時期に出会うことができ、【近傍】で素晴らしい影響をたくさん受けることのできた自分は、ほんとうにラッキーだったと思います。
そして、斎藤学先生のこの言葉のように、これからも長くつきあっていきたい、大切なたいせつな友人たちです。

「お互いに会いたいときに会って、いい関係を結べる。
その関係は、安全で快適だけれども、決して相手を食いつぶさない。
そのためには、ある程度の距離が必要です。
距離があるから、そこにはいつも寂しさがあります。100%融合するということはありません。
けれども、そんな寂しさをいつも抱えながら、個と個が離れて存在し、必要なときにはぬくもり合う。
適度な欲求不満を抱えながら、相手の欲求も満たしながら、満たしつくさない。
そんな関係は、一見、安定感を欠いた関係のようですが、実は一番安定していて長続きするのではないでしょうか。」
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そういえば、今になってよくよく考えれば、かんばらさんはマイクの曲がとても好きなのでした。
せっかくなら1曲くらい歌ってもらえばよかったですね??(←プロに声の無駄遣いをさせてはいけない)
そんこんなで2012年の8日半の夏休み最終日は、長時間のフライトが「長い。ほんとならもう一泊して休みたい。」というマイクをタクシーに乗せて、無事シンガポールへと送り届けるというなんだか予想もしなかった展開でおわりました。
またそのうち海外公演も見に行こうかな。