ロレッタブログ

きわきわ / 藤本由香里 - 2013.10.13

きわきわ ― 「痛み」をめぐる物語 / 藤本由香里 / 亜紀書房

「本書は、ご覧いただければ判る通り、自傷・リストカット、スプリットタンや刺青などのボディ・モディフィケーション、美容整形、美醜の問題、顔の傷痕、婚外の性愛、セックスワーカー、障害者の性・・・など、いわゆるコントラバーシャルな(=議論を呼ぶ)類の、だからこそ人々が話題にするのを避ける「きわきわ」な問題だけを追いかけて綴った「ゼロ年代(+α)の日本」論である。」
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前半部分は引用される作品にあまりにも既読が多く「ここまでドンピシャで重なるとは」と笑いながら読んだのですが、それでも漫画になるとほとんど読まないので引用文献がさっぱり判らなかったのが心惜しい!
「どうしてまたこんなに漫画が多くて半端無く詳しいの?」と思いながら読み進めていたら、なんと著者は元編集者でありマンガ評論やジェンダー関連の本も沢山手掛けていらっしゃるそうで。は~納得。
なので、漫画に詳しい方ならなおさら楽しめるかもです。
「第9話 一瞬だけの永遠」はかんばらさんの頭では一度読んだだけでは理解不能・・・ちょっと寝かせてから読み返すことにします。

未読作品は、今後の課題図書にして読んでいこうっと!
以下、自分の為の覚書。

●既読
ヘルター・スケルター/岡崎京子
クイアジャパン・魅惑のブス/クイアジャパン・伏見憲明
顔面考 /春日武彦
顔面漂流記 /石井政之
モンスター /百田尚樹
整形美女 /姫野カオルコ
人間仮免中 /卯月妙子
接続された女 /ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
A2Z /山田詠美
セックス・ボランティア /河合香織
もう消費すら快楽じゃない彼女へ/コンセント/アンテナ/田口ランディ
とりかへばや物語 /作者不詳(平安後期ごろの物語だったかな??)
モダンガール論/斎藤美奈子
恋は肉色/菜摘ひかる
(売る売らないは)ワタシが決めた/松沢呉一
私は障害者向けデリヘル嬢/大森みゆき

●未読
ライフ1/すえのぶけいこ
問題のない私たち/牛田麻希
ホムンクルス/山本英夫
蛇にピアス/金原ひとみ
空の境界/奈須きのこ
魔女と呼ばれて/フェイ・ウェルドン
エリノア/谷口ひとみ
累/松浦だるま
地獄でメスが光る/高階良子
カンナさん大成功です!/鈴木由美子
洗礼/おろち/おそれ/楳図かずお
薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木/江國香織
にこたま/渡辺ペコ
HER/ヤマシタトモコ
格闘する者に○/三浦しをん
早春恋小路上ル/欲しいのは、あなただけ/美しい心臓/小手鞠ルイ
就活/朝井リョウ
姉の結婚/西炯子
バブルの逆襲/片桐舞子
セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱/坂爪真吾
売男日記/ハスラー・アキラ
Fuckin’ Blue Film/藤森直子
ロスト ハウス/大島弓子
サイファ 覚醒せよ!/宮台真司 速水由紀子


「一般にはあまり知られてはいないが、これはめっぽう面白い作品である。「美醜」の問題を扱った小説としては他に、評判になった笙野頼子の「説教師カニバットと百人の危ない美女」、後述する百田尚樹のベストセラー「モンスター」などの作品もあるが、私にとってはこの「整形美女」がまず印象に残り、問題の本質に迫っている、と思えた(これがほとんど話題にならなかったのは、単行本の時の装丁と帯コピーが、この作品の魅力をもう一つとらえそこなっていたからではないかと私はにらんでいる)」

↑これ、全く同感!!!
「整形美女/姫野カオルコ」は私も一気読了したのですが、「なんでこんな売り方しちゃったんだろう・・・?」と帯があまりに的外れで頭をかかえたのです・・・。正直、読む前に帯をみて閉口した。
たしか文庫の帯は「美容整形が生んだ悲劇と喜劇 あなたもイジったでしょ?」だか「整形美女はあなたのすぐ隣にもいる!」 だったか。陳腐すぎる!こりゃないぜ、とつぶやいたのは私だけではなかったということですね。(苦笑)しかも「イジる」って「イジ」をわざわざ片仮名にするセンスが完全にアウト。
作品そのものは本当にお薦めなので、ぜひ手にとってみてください。