ロレッタブログ

きれいになりたい5つのタイプ―大学病院美容外科の心理カウンセリングから - 2013.10.26

きれいになりたい5つのタイプ―大学病院美容外科の心理カウンセリングから / 梶原千遠 / ネスコ刊
北里大学大学病院美容外科(形成外科内)で、手術を希望する患者たちのカウンセリングをしてきたカウンセラーが彼女たちの心の中を語る。

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たぶんわたしは、日本でいちばん多く、美容外科の患者さんに会ったカウンセラーでしょう。私がお会いしたたくさんの方々はそれぞれに自分の世界を持っていましたが、興味深いことに、お会いしていると、心理的な傾向から次の5つのタイプに分けられることに気づきました。

①タレント志向タイプ
②キャリア志向タイプ
③ちょっときれいになりたいタイプ
④女王様ママを持つタイプ
⑤トラウマ解消タイプ

美容外科手術を希望してくる女性たちはどのような人たちなのでしょうか。どのような経緯やきっかけで、手術を決意するのでしょうか。手術を景気として、なにがどう変わることを期待しているのでしょうか。手術に至るまで、手術に際して、手術を終えてから、彼女たちはそれぞれの時期にいろいろなことを思います。彼女たちのこころは魑魅魍魎です。

この本は、彼女たちの物語です。
さあ、それぞれがどのような雰囲気の女性たちなのか、さっそく見てみましょう。美容外科手術を考えたことのある人もない人も、関心のある人もない人も、抵抗感のある人もない人も、どうぞ一度のぞいてみてください。「きれいになりたい」という気持ちの強い人も、その気持ちをいつもは上手に隠している人も、どうぞ。
外見にこだわってばかりいるのはくだらないと思う人でも、彼女たちの真摯な気持ちを見てみれば、自分のことをとても気にしたり執着しすぎてしまう人たちのことも、少しはわかることができて、そういう人たちにやさしい気持ちをもてるようになるかもしれません。きっと、あたなに似た人、だれかに似た人が見つかると思います。

彼女たちの「きれいになりたい」ストーリーは、とても正直な気持ちで話しています。みなさんも素直に受け止めていただけるとうれしいです。
もちろん、「きれいになる」ことに関心のある人や、これから美容外科手術を受けようと思っている人には、ぜひ読んでいただきたいと思います。なにかをしたいと思っているときというのは、それをすることだけが、したいことのすべてになっていて、目的になってしまっていますが、ほんとうはそのなにかをしたあとにも人生は続いていくのです。
ですから、美容外科手術を受けることそのものが目的になってはいけません。美容外科手術を受けるということは、そのあともずっと続く人生をよりよいものにすることが目的なのです。自分たちよりも先に体験した女性たちの生の声を聞いてみることによって、そういうこともあるんだな、と知ってからやってみることにするのも悪くないと思います。
この本のなかではだれも「きれいになりたい」という気持ちを隠してはいません。ほんとうだったら隠しておきたい女性としての本音を正直に語ってくれています。
このような話は親しい友達同士でも、世間話としてはできても、本音としてはなかなかできないものです。ですから、なかなか貴重な話だと思います。人の本音を知るということは、自分のことを知るきっかけにもなるし、また、なにか癒しのようなものでもあります。

さっそく彼女たちの心を窓にして、その向こうをのぞいてみましょう。すると、思いがけず、あなた自身のこころのなかが見えてくるかもしれません。

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■5つのタイプ
①「きれいになってハッピーになろう タレント志向タイプ」
きれいなほうがトク/めんどうくさいのはイヤ/自分でする努力は信頼出来ない/地味な変化は望まない/まわりも応援してくれる/一人で決断する

②「ぜったい、成功してみせる キャリア志向タイプ」
似て非なる、非だが似ている、タレント志向とキャリア志向/積極的な情報収集をしたうえで/自己責任による決断/パーフェクトに納得したい/仕事上の必要性という理由/固い決意/用意周到な準備をしてくる/手術のあとは潔い

③「みんなと同じようにしなくっちゃ ちょっときれいになりたいタイプ」
ちょっときれいになりたい/迷いがちな彼女たち/どのように変えればいいの?/あまり変えないで/ささやかな自信がほしい/ 美容外科は通過儀礼

④「ママの子ならきれいでなくっちゃ 女王様ママを持つタイプ」
母親と子は切っても切れない/母親がすすめたから来た/美しい母親を持って/自立できていない娘/トラブル多発

⑤「きれいになって癒されたい トラウマ解消タイプ」
ずっとずっと暗かった/傷ついて気分はうつうつ/星に願いを」ならず「手術に願いを」/手術は全能の神/まったく違う世界に行きたい

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タイプ別患者の満足度(←実に興味深い)



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わかる!!!!実によくわかります!!!
かんばらさんは②のタイプでしょうね。徹底的に下調べしますし、自己責任主義ですからね。(笑)
③④⑤の要素は皆無ですが、①の考え方には共感できます。

私は「美容外科を利用する人は、今の自分の姿と自分のイメージしている自己像がしっくりきておらず、その『ギャップ』を埋めるための調整に利用する方が大多数」と考えていたのですが、正にそれと同様のことが記されていました。
美容外科手術を繰り返す人の中には、もちろん醜形恐怖症の人もいるのですが、それよりも「もっと強い自分になるため」に受ける人もいます。少なくともかんばらさんはそういう印象を抱いているのですが、これは実際に美容外科を利用する人あるいは利用している人と接する機会がほとんどない人たちには、ちょっと伝わりにくいのです。
が、この「強くなりたい」心理についても言及されていて、(カウンセラーだから気づくのは当然といえば当然かもしれませんが)、もう感嘆することしきり!それぞれのタイプが記された各章の末には、カウンセラーである著者による「わたしからのメッセージ」もあるので、「自分と似たタイプ」が気になる人はぜひご一読をお勧めします。