ロレッタブログ

酵素にまつわる誤解 - 2014.09.04

酵素ドリンク(←そもそもこの「酵素」が既に怪しいんですが)や野菜ジュースに含まれる酵素が、体内で生成される酵素の代わりになるので酵素の節約になる・・・この摩訶不思議な俗説を信じている人はいらっしゃいますか?あるいは、野菜や果物の酵素が人間の体内でもそのまま働くと思っている人はいらっしゃいますか?酵素と発酵を混同している人は?最近サロンでも酵素についての質問が続いたので、今日はこれについて記しますね。

果物や野菜の酵素はタンパク質なので、食べればペプチドやアミノ酸になって消化されてしまいます。食品を生・加熱のどちらの方法で食べようが、人の体内でそのような酵素が働くことは考えられません。もしも野菜や果物など外から摂った酵素が人の体内でそのまま機能したら、体内のバランスは食べるたびに予測不可能な変調を起こすでしょうから、良くなるどころか大変な事態になると思われます。(笑)それに、外部から取り込まれた酵素が働くとすれば、それに対して免疫も働くでしょうからアレルギー反応などが起こってもおかしくないはず。

加熱すると失われてしまうビタミンなどをとるためには、生で食べるのは有効な方法でしょう。しかし、酵素は生命体ではないので加熱すると酵素が死ぬとか、生で食べると生きたままの酵素が摂れる、という表現はとんちんかんです。加熱には殺菌などの役割もありますし、生食が望ましくない食品もあります。白インゲン豆ダイエットがTVで紹介されて、加熱不十分な白インゲン豆で食中毒が相次いだ事件もありましたよね。生食にはリスクもあるということです。
消化には多大なエネルギーが使われますから、加熱という方法で調理されたものを摂ることができるのは人間にとってメリットでもあります。人間は、草食動物のように胃がいくつもあるわけでもなく臼歯も小さい、そして肉食動物のような強く鋭い牙をたくさん備えているわけでもない。人間は加熱調理の恩恵を受けてここまで進化した、と言えるのではないでしょうか。

余談ですが、コラーゲンも摂ったからってそのまま皮膚のコラーゲンになるわけがないですからね。(笑)ゼリーに「コラーゲン〇〇mg含有」とか書いてるのがありますが、あれはゼラチンのことかと。ゼラチンはたしかにコラーゲンなので、嘘じゃないんですけどね。うまい表現に目をつけたなあとは思いますが、コラーゲンもタンパク質ですから、ペプチドやアミノ酸になって吸収されたあとは体内のいろんな場所で使われるわけで、食べた分だけ皮膚になだれこむはずがない。それから好転反応という言葉に対しても、かんばらさんは非常に懐疑的です。インチキ科学やニセ科学ではよくお目にかかる表現ですが、インチキではない科学的根拠を説明してほしい。
よくわからないドリンクや栄養食品に大枚をはたいたり、なんでも生で食べて食中毒にならないようにしましょうね・・・!

より詳しく知りたい方は、ぜひ下記の芦田嘉之先生のHPをご一読ください!
ようこそ 「やさしいバイオテクノロジー」 の世界へ! 
食べた酵素は働いてくれるのか? その01「結局どの酵素を食べたら良いのか」との質問にお答えして