ロレッタブログ

BW映画とフィーちゃん - 2015.08.08

ブライアン・ウィルソン御大の自伝的映画 「Love & Mercy」を観てきました!いかにもビーチボーイズファンらしい男性ばかりの場内。(笑)

相変わらず分かりやすい町山さんの解説。ダニエル・ジョンストンが比較に出てくるところがまたマニアックで。

真の天才がその絶頂期を迎える20代は、精神病の好発年齢でもあります。さらに当時は1960年代。幼少時から続く父親からの虐待に、ライバルのビートルズもスーパークリエイティブ期を迎えており、レコード会社からは対抗するレコードセールスを上げろと厳しいプレッシャー、さらに(精神病の誤ったセルフメディケーションにありがちなのですが)アルコールやLSDの乱用・・・これではシングルパンチどころかトリプルパンチ以上の継続的ダメージ。精神に異常をきたすのも到底無理はないように思う。

ScientificAmerican.comにもPsychological studies also indicate that highly creative people share an elevated risk of serious mental illness. For certain individuals, such ailments may actually contribute to their soaring achievements. Yet often the same condition eventually ruins their inventiveness and their lives. Perhaps no story better exemplifies how mental illness can free up creativity, then crush it, than that of Brian Wilson.とあるのでした。

ペットサウンズで絶頂期を迎えたブライアンは、ついに精神病を発症してスマイルを完成させられぬまま約20年間ほぼ廃人になったのでした。いったい何をどうすればよかったのか。そもそも狂気は避けられたのか。それは誰にも判らないことだけれど、それにしても天才と狂気は文字通り紙一重・・・。

誰よりも早く死にそうだったブライアン。今でもネガティブな幻聴を含む精神症状は続いているので向精神薬が欠かせません。病名はこのインタビューによると「Schizoaffective disorder, which is a manic depressive with auditory hallucinations」とあるので、暗黒時代の誤診「妄想性の統合失調症」ではなく「統合失調感情障害」と言われるもののようです。 90年代後半の西海岸ツアーに私がしばらく同行していた時も、ブライアンは一人で真っ暗な部屋に佇んでいたのでした。今でも、ブライアンが交わした言葉にはっきりとした反応を返したときには、周りのメンバーから「今のはよく覚えておくといいよ。ブライアンが人の言葉に本気で反応するのはとても珍しいことだから」と言われるのでした。その瞳はいまでも本当に子供のままです。現在はこの唯一無二の天才をリスペクトして支えてくれる心優しい人たちに囲まれているので、ファンも安心ですよね。

映画ではこのプロモもよく再現していて感心しきり。
The Beach Boys – Sloop John B

ペットサウンズセッションのレッキングクルーに「なんか知り合いが出てそうな気が」と思ったら予感的中。ティンパニにジム・レスパザ(The Muffs)、オルガンにトッド・ジャガー(The Carsのエリオット・イーストンによるElliot Easton’s Tiki Gods)を発見。真剣な観客ばかりの中、私は笑いをこらえるのがとっても大変でした!!二人とも顔立ちがとっても素敵なので、見たらすぐ判りますよ!

ポール・ダノは若いころのブライアンに本当にそっくり!!!ジョン・キューザックは今のブライアンに話し方がとっても似てました。ハイパークリエイティブな60年代はポール・ダノが、そして暗黒の洗脳時代(80年代)をジョン・キューザックがそれぞれ演じているのです。
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エンドクレジットでもポール・ダノのピアノ指導が友人のダリアンだったり(案の定)、GFのデビーも名前が出てきたりと、予想通り友人知人のオンパレードなクレジットでした。みんな今年はUSツアー、そして来年は最後のヨーロッパツアーと、大忙しです。2016年はペットサウンズ発売から50年の記念の年だし、また日本に来たら一緒に遊ぼう。ちなみに、ブライアンのバックバンドには3つ以上の楽器に精通していなければ参加できないといわれています。そのぐらい複雑な楽曲なので、一つや二つの楽器が弾けるぐらいでは話にならないのですね。

帰宅して久々にSurf’s Upのレコードを聴いていたら、ターンテーブルに興味を示すフィーちゃん。
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乗ってみたけどレコードには触れない。(笑)
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The Beach Boys -Til’ I Die

The Beach Boys – Feel Flows ←ジョン・キューザックといえば音楽オタク映画「ハイ・フィディリティ」ですが、同時期に公開されていた「あの頃ペニーレインと(Almost Famous)」のエンディングではこれが流れて思わず涙。