ロレッタブログ

美容整形と化粧の社会学 - 2016.06.29

美容整形と化粧の社会学/谷本志穂/新曜社

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美容整形は精神医学ではリストカットと同じ自傷行為に分類されてしまうらしいってご存知でしたか?私はそれにはずーっと違和感があってですね。自傷行為でする人もいるろうけど、自己満足と越境の楽しみで利用する人もいると思うんですよ、私みたいに。私は新しい勉強のネタ、つまり最高の暇つぶし欲しさもある。

これについても論じていて、参考文献も既読のものが多かったので読みやすかった。レーザー治療はもはや特別なものでもないし、(医師の技量は差が激しいけど)注入物も定番化した。美容整形の動機を深刻な劣等感や嗜癖や病理にするのはちょっと無理がある。もっとポップに軽やかに外科のハードルを飛び越えていく女性は今後ますます増えると思うから。まさに下記の引用のとおり。

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整形に関する言説に次のようなものがあった。「たとえていうなら、気にらない服を着て出かけたら何に対してもノレない。外見も同じじゃないですか」。服を変えれば、自己を転倒させるほどの変化はないが、ちょっと違う自分を味わうことができる。気にいっている服を着ることができた一日は、確かに越境の楽しさや私がズレていく快楽を味わえる。だとすると、美容整形のように身体を加工することは、少しだけ自分をズラし、ちょっとだけ自分の枠を越境できる経験を「味わう」ためのスパイスのようなものなのかもしれない。スパイスは確かに量を間違えると中毒にもなるが、生活を豊かに彩る調味料でもある。「素の顔に味付けしたみたいな。」という美容整形実践者の声は、まさにスパイスとしての整形を指し示しているように思える。

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・参考サイト社会学からひもとく美容整形と美容医療

確かに、コンプレックスとナルシシズムが肥大してメンタルも外見も壊れる人もいるし、むしろ自分の痕跡なんて残されたくない(「別人になりたい」)醜形恐怖症もいる。今よりももっと強くなるためにタトゥーや整形を繰り返す人もいる。そのなかには神経症、統合失調症なんかも紛れているだろうから、やっぱり一概に自傷行為とは言えないかな。

そういえばオペ前に服用薬の確認で統合失調症や抗うつ薬が無いかどうか聞かれるのには笑っちゃいました。まあ、導眠剤やSSRIを常用する人はもはや珍しくもないし、「手に水かきがある」とか「鼻がどんどん伸びる」とか、色んなことを言う人もいますからねえ・・・。

日本人はセロトニン分泌量が少ない民族で、かつ男女を比べると女性がもっと分泌量が少なめ。パニック障害やうつ病が女性に多いのは無理もない。脳内物質とホルモンでいくらでも思考はかわるんだから。日本で流行るドラッグがアッパー系が主流なのって、日本人は放っておくとどんどん落ちる民族だからなんじゃないかな。ダウナー系のヘロインとか、日本じゃあまり聞かないですもんね。ダウナー系はアメリカほどニーズがないからだと思う。イタリアは躁病が多くて日本は鬱病が多いのも、国民性を反映していておもしろい。