ロレッタブログ

よいサービスを引き出せるお客様 - 2017.08.01

→昨日のつづき

人間関係って煩わしいもの。現代社会はできるかぎりそういうものを排除する方向で発展したけれど、どうしても残るのが家族、会社、友人、ご近所づきあいでしょうか。女性なら美容&健康関連施設の人たちとの関係も欠かせませんよね。そこで厳しいことを言うってことは、その人のことを大事に思うからこそ。どうでもいい人なら、そもそも心配なんかしません。

私はお金をいただいている「仕事」という前提はあるけれども、やはりせっかくうちにいらしてくださった、出会えたお客様とは、末長く良い関係を築いてどんどん綺麗になっていただきたい。だから私はその人が良くなることしか言わないし、適当なごまかしや嘘は言いません。そして、素直なお客様は人の意見が聞けるし、相談もできるんですね。聞く耳もって取り入れてくださった人は、どんどん綺麗になっていきます。美容室やクリニック、エステとか関係なく、こちらの力を100%以上引き出すことができる人って、そういう人です。

たとえば、お客様が2人いるとして。
1人目は、アドバイスをしたらその後の様子を報告してくれたり感謝を伝えてくれる。言ったことは100%実行するし、どうしても出来なかったことは相談する。気になることは質問してくれるからとことん話し合える。自分の希望を率直に伝える。クリニックを紹介したら「予約しました!」「行ってきました!」ってちゃんと報告する。紹介先に失礼をしない。

2人目は、何を提案しても「めんどくさいのはいや」「通うだけで精一杯」とこちらに投げっぱなしで、自分でどうにかしようという気持ちが無い。こちらが連絡しても、メールを読んだのかどうかわからない。自助努力を嫌いアドバイスは実行されないため、何年経ってもあまり変わりばえしない。自分の発言の受け取られ方まで気にしてしまうので、質問や希望をいわない。紹介者の顔をつぶす。

目下私が勉強しているアカデミーでも、連絡もせずに来なくなった生徒がいます。授業内容についてこられなくなった、いわゆる脱落組ですね。内容が超高度なのはわかっていたはずなのに。先生方がかわるがわる何度連絡を試みても音信不通。

やっぱり人って、前者のほうが「力になりたい」と思うものなんですよ。一生懸命で素直な人はそれだけで応援したくなるものですから。前者でも、自分の頭で何も考えていないのは素直じゃなくてただの能天気の世間知らず(依存)だし、後者の場合でも、たとえば本人が闘病中とかもう生きるだけで精いっぱいという時は別ですよ。

でもそれが平常時のことなら、こちらは後者から返事が無いことをずっと気にかけているんです。よくなってほしいからね。去年はこの時期に病気していたけれど今年も体調崩してしまったのかな、ご両親の介護が大変そうだったけど大丈夫かな、雨が降るとめまいがしてないかな、とか。紹介したクリニックには行けたのかな、購入した製品はちゃんと使えてるのかな、大丈夫かなって。

おそらく後者のような振る舞いをしてしまう方の中には「お金を払っているんだから何をどうしようがこっちの勝手でしょ」という発想の人もいるでしょう。でも、もしもっとこうしたいと思っていることを自分の思い込み(「こんなことを言うと迷惑なんじゃないか」的な)で伝えずに、うっすら不満をためているのなら、それは全然生産的じゃないし、もったいない。そういうのは謙虚じゃなくて自意識過剰です。こちらにはプロとして綺麗になっていただくためにたくさんできることがあるのに、自分の思い込みを優先させて綺麗になる選択肢を自ら狭めた先に、一体どんなハッピーがあるのでしょうか。そんなところでいい人ぶる必要は全然ないですよ。はっきり言ってこれを繰り返していると一生どこにいっても満足することがないので、最終的に自分にツケがまわってきます。

後者の根源的な問題は、これまでの人生でそこまで自分のことを気にかけてくれる人、大事に思ってくれる人と出会ったことが無いから本人が気づけないということ。向き合わなくて済む程度のぬるい人間関係しか築いてこなかったから、自分のことなのにどこかなげやりで、コミュニケーションの肝心なところがものすごく適当なんですね。自分の幸せや可能性を放棄しているなあ、という印象を受けます。そんなところで満足しちゃってていいのあなたは?そこはよほど居心地がいいの?って思えてならない。まあ実際そうなんでしょうけど。

まだこれを本人が「まずい、これは良くない」と気づいていれば軌道修正もできるんです。でも気がついていないから、おそらく同じような行動を他のサロンや美容室、クリニック、職場、友人、夫婦、家族、あらゆる人間関係において延々と繰り返しつづけているはずなんですよ。人って、あの関係性はこうして、この関係性はこうして、ってそんなに器用に使い分けられませんから。物を大事に扱わない人は、人も自分も大事にしないし、自分を大事にしない人は、他人からも大事にされません。その都度いろんな言い訳や言い分があるのでしょうが、自分自身の問題と向き合っていないのでその理論は破綻している。こういうのを人生という長い時間で考えると、そのマイナスは計り知れませんよ。これが最大の不幸。

こちらからより良いサービスを引き出すことができるかどうかって、最終的には人間性なんです。人に慕われる、信頼される、愛される、かわいがられるって、そういうことです。素直さが大事とはよく言われることですが、それはこういうことだと思うんですよね。打てば響くような素直なお客様と相対していると、エステティシャン側ももっとこの方にきれいになってもらえるように、もっと自分もブラッシュアップしよう!って頑張れる。そうやって、お互いの信頼関係が良好に回っていくんですね。