ロレッタブログ

自分で採りにいきましょう - 2018.07.05

先日のブログ記事■夏に重宝するアイテムを読んだお客さまから、ご質問をいただきました。

『「アルゴテルムとフィトメールって、同じタラソテラピーブランドだけど何が違うの?」「エラバシェとエステダムってどう違うの?」などの質問に、どうして他の化粧品会社やエステの人たちは答えられないんですか?他のエステとか百貨店の化粧品コーナーの人たちの受けこたえもなんか肩透かしだから、答えられるぐらいの知識をもってないような気がするけど、やっぱりそういうことですか?』とのこと。

そうなんですよね。
自分が講習をうけたブランドのこと、自分が働いたことのあるブランドのことは知っていても、他社を含めた体系的な化粧品業界、エステ業界のありかたが把握できていないでしょうね。そもそも各メーカーにとっても最重要課題は、自社製品を売ること。他社や業界全体についての把握なんて、接客スタッフは理解していなくてよいわけです。エステのメーカーなら自社製品を仕入れてくれるサロンを増やすことが大事なんです。だって資本主義だから。

だから大局的な視点から業界全体のありよう、エステティックのルーツから現在までの発展の経緯、各国別の特徴、メーカー別特徴などを教えてくれる研修はないと思います。美容専門学校なら、エステの歴史ぐらいは教わるかもしれないけど、メーカー別、国別の特徴とかはおそらく教わらないようにおもう。むしろ研修や授業を担当するトレーナーやインストラクターも知らないんじゃないかな。でも、そこを理解していないと「新製品も新ブランドも新技術もなにがなにやら全部よさそうだし違いがよくわかりません」という、一般人、素人と同じ混乱におちいる。というか、陥ってる人が99%以上だからこそエステ業界ってずっとこの調子なんですけどね。

だから「オーガニックコスメと、アロマセラピー化粧品と、手作りコスメと、百貨店コスメと、国産、海外ブランド、エステ専売化粧品、ドクターズコスメって、それぞれ何がどう違うの?」みたいな業界を網羅した質問に対して、ロジカルにお客様に説明できる人間は育ちようがないんです。むしろこういう質問には、化粧品開発者のほうが答えられるかもしれませんね。しかし開発者はお客様を接客したり施術を担当することは無いので、サイエンスの知識と実際の現場との乖離はあるでしょうね。

エステティシャンは、それができるほど数多く物も見ていないし、関わってきていない。だったらそういう人材になれるように自ら勉強すればよいのだけど、大抵のエステティシャンは、休みの日は「ショッピング、友達とお茶、彼氏とデート。たまに旅行」なんじゃないかと思います。なんとなく人生の数年エステ業界に身を置いて、キャリアプランもないまま去っていく。

なぜかというと、当ブログでも何度か言及したことがありますが、エステ業界の離職率ってこんな状態なんですよ。そもそもエステ業界にベテランがいない。じゃあ数少ないベテランほど良いのかというと、そうでもない。進化することをやめて昔教わったことを延々続けているケースは少なくない。

たとえば会社でも、ただ毎日会社にきて座ってるだけの人とかいますよね?仕事はルーティンでこなしているだけで、一職業人としての進化、工夫、提案はない。会社に来る目的は、毎月給与もらって退職までクビにならずに居続けること、という人達。時間と人生がすごくもったいない。

手に職のエステティシャンなら、なおさら休日は勤務日にできない勉強、他店リサーチ、自分よりも優れた人との出会いに時間とお金を投下して、自分の市場価値を上げていったほうがよいと思うんですよ。自分の市場価値を上げることに無関心のままだと、40代以降はもうシャレにならないぐらいつぶしがききません。そして中途半端な手に職は、その業界で生き残れないどころか、他の業界ではただの役立たずです。

詳しくはこちらへ→■この仕事を選んだ理由

「会社で教わらなかったので知りません」「他メーカーのことは知りません」という人の問題点は、知らないことを知らないままに放置することに疑問をおぼえていないところ。学習法が受け身なんですよ。巣のなかに座って口を開けていれば、どこかから食べ物が勝手に降ってくる、と思っていそうな感じ。
待っていても自分の欲しい食べ物は手に入らないから、自分で採りに行こうという発想に至らない。その一方、巣の中に寝転がってどうでもよいゴシップをスマホで読むひまはあったりするんじゃないかな?

自分の命の残り時間を割くのにふわさしいのは、果たしてそこなのか?

頭と四肢は、自ら考え、行動するためのものです。せっかく備えているありがたいものを役立てないなんて、実にもったいない。自分の仕事を支え、応援してくださるお客様にもっと応えられるように、もっとお役に立てるように、自分の血肉になる知識や技術の向上に時間と労力を自発的に注ぎたいものですね!