ロレッタブログ

自分の生活は自分で楽しく - 2018.08.10

名越康文先生が先日こんな風におっしゃっていました。
「ええ店があったら支えるんやで。そうすると、もっとその店が好きなる。支えるからって出しゃばったり、威張ったりしたら台無しやで。 そうやってる内に、そこがかけがえのない自分の居場所の一つになるねんで。こんな豊かな人生ないねん。支えることが商いの半分。」

最近はネット上でコミュニケーションが完結したと勘違いして、外出や行動を控えてや出会いまで逃してしまう人が多いように思います。でも実際には会って話さないとわからないこと、伝わらないことのほうが多いんですよね。私もこのブログに書けない話題は山ほどあったりしますから。

人間は社会的動物だから、生きるためにコミュニケーションが必要な生きもの。年を重ねるとすぐに「分かった」と言いがちですが、実はそれについてそれ考えるのをやめたというだけだったりします。ネットでいろんなことを把握した気になり、自分が傷つかないように見知った世界だけに閉じこもっていては、人生は何もよくなりません。停滞しているときほど、どんどん外に出てリアルで他者に会わない限り、現状は何も変わりません。

私の主治医のタカナシ院長の引退決定を知り、「いつか」「そのうち」と構えていたお客様も一様に慌てています。(笑)人には人の事情があるし、私は3年も前から「先生はもう数年で引退しますよ」ってお伝えしていましたよね。それがその通りになっただけ。「いつまでもあると思うな」は親と金に限ったことでは無い。サロンも病院も飲食店も、いつまでもあると思うな、なんですよね。

うちの相方のワインバーも、女性のお一人客はとっても多いです!もともと行きつけのバーが数件あるという方もいれば、バーを一人で訪れるのは初めてという方も。女性は母親、妻、社員、娘、妹、姉など、肩書ありきの振る舞いを続けているうちに、すっかり一人の女性としての自分を見失ってしまっている人は少なくないです。

人のお世話をしていると当面自分が役に立ったような気がするので、自分自身のことをじっくり考えなくても済んでしまうんですよね。そうして人生の半ば以上が過ぎ、ふと立ち止まった時に「一体自分が何をしたいのか、どう生きたいのか分かりません」となる。できればそうなる前に、またはそうなった後でも女性が美容院やエステ以外に、自分のためだけに一人になれる場所がとても大事だと思うので、藤森も私も、大人の女性がゆっくりできる場所としてご利用いただければ嬉しいです。ぜひ気軽に、お1人で足を運んでみてくださいね。

それに、いつでも知り合いと一緒、友達と一緒、夫と一緒、子供と一緒・・・そうでなければ心細いなんて、大人の女性の振る舞いとしてはちょっと残念すぎる。肩書つきで誰かに連れ歩いてもらえた方が安心なのかもしれないけれど、それでは見知らぬ場所や見知らぬ人、そして見知らぬ自分にも出会えなくて(これが一番の醍醐味なのに!!)、自分で自分の人生を閉ざしていてとてももったいないです。

そしておそらく、こういう傾向は年齢や経験値の問題じゃないんですよ。だってうちのお客様も「私、バーに一人で行くのは初めてなんです!」的な20代の方でさえ、たった一人でうちの相方のお店に行ってますからね。
これがもし本人が「私は家が一番好きだから、夜は外に出かける気がしないの」というのなら良いのだけど、「出かけたいのに連れていってくれる人がいない。だから私はどこにも行けない」というのなら、問題の本質は連れて行ってくれる人がいないことじゃなくて「誰か私を連れ出して」という依存心と臆病さ。連れだしてもらえくて退屈して不機嫌・・みたいなオチになってしまう人も少なくないんですが、こうなるといよいよ誘ってくれる人すら周りにいなくなります。

自分の生活は自分で楽しくするものです。誰かにお膳立てしてもらうものではありません。自分と相性のよいお店にたどり着くまでの過程も、また冒険のひとつとして楽しめばいいと思うんです。もしそういう冒険すら「めんどくさいからイヤ。連れていってくれないとイヤ」というのなら、それは怠惰という精神の老化現象。

あと、「初めての場所でどうふるまっていいか分からない」という方もいるみたいなんですが、別に「どう振る舞う」とか考えなくていいんと思うんですよ。肩の力を抜いてのんびりと程よい加減で楽しめることは、ちゃらんぽらんに振る舞うのとは別物。せっかくの貴重なオフの時間なんだから、肩肘の力を抜いて、フラッとただその場を楽しみにいけばいいだけなんです。だってお客様にいらしていただけるのは喜ばしいことじゃないですか!しかもそもそも彼らは接客業のプロ中のプロ。男女問わず、お1人さまは何万人ももてなしてきているんです。だから、もっとプロを信頼して気楽に過ごしてくださいね。

「よいお客としてふるまうべし」みいたな「○○すべき」「○○しなければ」のべきねば思考に基づいた規範をなぞることをよしとするのも女性に多いですよね。名越先生も「一生懸命はええけど、頑張りすぎはあかんよ」というぐらい、自意識過剰な気張りすぎは女性に多い傾向です。
そういう人は神経質すぎるぐらいに過剰な敏感さが反応レベルで沁みついているので、細部を気にしてはいちゃもんつける的なことを繰り返すことに陥りがち。だからなかなか難しいとは思いますが自分に合う場所を今からでもいいから、ご自身で見つけられるといいんじゃないかと思いますね。ご自分の好みに合う場所がなかなか無いのは既に自覚しているでしょうし、誰かの紹介でお店に行ったところで後々あれこれクレームをつけたくなる可能性のほうがは高いでしょうから。

もっともったいないのは、そういうことになると、「紹介して」というリクエストに応えてよかれと思って紹介した側もだんだんしんどくなるので、せっかくの友達やお店とのご縁も心証がとても悪くなるんですよ。そうしてどんどん人が離れていき、ますます孤独に陥る・・・というオチになりがちです。しかし本人はそれが自分の性格とかものの見方、受けとりかたの問題と気づいてないから余計にこじれるんですよ。
だから好みが難しいと自覚している人は、他人の紹介に頼らず自力で自分に合う店をみつけたほうがよさそうに思います。あっ!でも「お店では楽しまなければいけない」とか「気楽にふるまわなければいけない」「リラックスしなければ」なんて、くれぐれも思わないように!(笑)新たな修行みたいになったら本末転倒ですから。(笑)

1人でカフェはいいけどバーは×、ランチはいいけどディナーは×という気持ちも世慣れてないうちならまあわからなくはないけど、今どき東京は無数にお店はあるのだから、本当に出かけたければ選びようも遊びようもいくらでもありますから。いずれにせよ、ぜひ出不精にならず、おっくうがらず、どんどん外に出たいものです。

ちなみに、もうあと1つよく聞かれる声は「バーに女ひとりって男漁りに来てるみたいに見えそうで嫌」「1人なんて寂しそうに見えそうで嫌」という恐れの声。こういう理由でお店に尻込みしている女性の声について、バーテンダーの方々に私からご意見を聞いてみたんですが「そんなお客さんみたことないけどなー(笑)」ってみなさん笑っちゃうぐらい気にしてないです。(笑)

曰く「そういうバーがあったのは大昔の海外で、そういう商売の場所になっていたバーもある、という話」らしいです。私は大抵一人でどこでも行くんですが、一人のほうがお店の人や居合わせたお客さんともお話する流れになったりして、楽しいですよ。連れがいるといつもの「連れとの世界」で完結してしまいがちで、せっかく新しいお店に行っても世界が閉じたままでになって、逆に楽しくないように思います。どのお客様同士を隣り合わせにするかは化学反応みたいなもの。それこそがプロの采配の発揮しどころなんです。その反応を一人で楽しみにいけばいい。ジャズセッションみたいなもんです。そこに必要なのは寛容さ。心に余裕、手にお酒でいればいいだけ。

あとね、うちのサロンも含めて接客業は「客なら誰でもウェルカム」ってわけじゃなくて、いくらお金を使う人でも出禁扱いにすることって、実はいくらでもあるんですよ。お店にいらっしゃるほかのお客さまに迷惑になるような人は、それなりに扱われるもの。よいお店は心あるお客様を守ります。なので、マナー違反が過ぎる人はもちろん、客だと思って調子こいてる人、つまり無粋な人はそれなりの扱いをうけるか出禁扱いになるのがオチです。はっきりと本人に出禁宣言するか、やんわりフェイドアウトしてもらうか、お店によって方法は違うでしょうが、実はそれが現実です。

「一人でいると寂しそう」とかも、気にしなくていいですよ!皆自分の楽しみのために足を運んでいるわけで、見知らぬ人が一人だろうといちいち気にしていません。お店に入るなり注目を一身に集めるほどの超大物なら話は別ですが、そもそもそんなオーラと外見を備えている人は10代でモデルか芸能人か女優になっていることでしょう。(笑)われわれあくまでも一般人。そこまで気にすることはないと思います。

他力本願じゃないとどこにも行けないようでは機を逃すし、新たな出会いもひらけません。「いつか」と言いながら機を逃すのは、人生が豊かになるチャンスを逃すことだからもったいないです。業種問わず「いつか」じゃなくて、興味をもったら即行動。あるうちに意欲的に自分で足を運んでなんぼ、ですよ。