ロレッタブログ

身体の癖の修正と3つのP - 2018.10.04

「身体を整える習慣は、早くスタートした方がよいです。」
と私が言うと、皆さんはじめのうちは意味がよくわからない様子。
なので運動については、質問されたら答えるけれど、こちらからは積極的に働きかけないという方針です。
本人が自発的に動かそうという気持ち、運動不足でどうにかしないと!と思わないと、傍からせっついたところで「余計なお世話」なだけですからね。
人にはそれぞれのペースがあります。その人にとっていつがベストなタイミングかなんて、本人にしかわからないですから。10歳がベストの人もいれば、50歳で受け入れられるようになる人もいるでしょうから。

ただしいったん自発的に動き始めたお客様は、ピラティスやパワープレートセッションを通じて普段の歩行や姿勢まで意識するようになってくると、「早くスタートした方がよい」の意味がストンと腑に落ちるようです。
無意識のうちに癖づいた身体の使い方の修正が、いかに地道でこまめな意識化を必要とする作業かを痛感するんですね。

身体の癖を修正するには、それが身についた年月の約半分を要すると言われています。

つまり今50歳の人は、1歳で歩き始めたとして、49年かけて染みついた歩行の癖や間違った使い方があるわけです。
それを修正してニュートラルに近づけるには、約24~5年かかると思った方が良い。
その頃には75歳になっています。
しみついた癖が、もしデスクワークによるものなら、大学卒業後の22歳から働き始めたとして、28年かけて染みついた癖。
50歳から修正を心掛けたら、14年後は64歳になっています。

私がピラティスのパーソナルセッションを受けはじめたのにはいくつか理由があるのですが、30歳で始めた理由の1つはこれでした。
私にとっては身体は仕事道具であり、財産。だからこそ「40歳で始めるのは私にとっては遅すぎる」と考えました。この先も身体が動く限り現役で数十年働きたいからこそ、旅行やブランドショッピングよりも、そちらの方が大切だったんですよね。そもそも車の所有欲も無いので免許も持っていないし、時計も実用本位で選ぶので。

22歳から働き始めて8年。仕事柄、各筋肉の付着部位の知識や身体感覚は備わっているほうなので、4年で大方の修正はできるだろうと予想。
しかしながら仕事が肉体労働でもあるので、デスクワークよりも筋力やスタミナは備わっているけれど、筋肉の酷使の度合いがヘビーかつ筋の発達や左右差のアンバランスは生じやすい、と考えました。
私にとって仕事は遊びの延長線上にあるのだけれど、その分だけ熱中できるし時間を費やせるだけに、偏りもでやすいわけです。

そういう酷使の度合いと修正の度合いと、どちらが上回るかというと、私のような仕事の仕方(起きている時間はほとんど仕事に当てても平気)だと、修正が追いつかない場合もありうるでしょう。
だからこそ、週1~2回のセッションを毎週欠かさず通い続けました。

現実的には、30代でトップインストラクターのセッション代(1時間1万2千円)を11年以上にわたり毎週支払い続けられる能力のある人も、そして継続する人もほぼいないようですが。日本はメディアが仕掛けた流行を自分の頭で精査するということをあまりしない傾向があるので、マラソンが流行れば走り、ヨガが流行ればヨガスタジオへ、加圧が流行れば加圧スタジオへ、飽きたらまた次の目新しいものへ・・・とエクササイズ・ホッピングをする人が9割以上のようです。

私自身の経験でも、コツコツ1つの事を継続して研鑽を積むという本来のトレーニングのあるべき姿を素直に実行する方は、幼少時からバレエやピアノなど、ゴールの無い身体技術をお師匠様の元で習い続けるという心身の躾がなされている人が、最も話が早い、と感じています。

ピラティス氏は、ピラティスには「鍛錬(Practice)、根気(persistence)、忍耐(Perseverance)の3つのPが重要である」と述べたそうです。
自分の弱さに負けると、自分の身体と健康を損なってしまします。
自己ベストの心身を獲得するためには、この3つのPが必要です。
他者を自分を比較するのではなく、自分自身に意識を向けて鍛錬すること。
実践すること。
そして、継続することです。