ロレッタブログ

秘蔵宝論 - 2019.03.09

高島屋カードの会報誌の「Book Lovers Vol.12」に、空海の「秘蔵宝論」が取り上げられていて、名越先生ぽいなーと読んでいたらやっぱり名越先生でした。(笑)

イラストの本はこちらですね。1か月の読書量は平均30冊以上だと思うのですが、こうして読みたい本がまた出てくるのでブックリストがちっとも減らない・・!

宗教もいろいろあるけれど、究極のものは哲学であり心理学と思うのですよね。心理療法の森田療法なんか、もう哲学としかいいようがないですし。精神科医である名越先生が真言密教を深く追求するようになったのはごく自然な流れのように思います。

エステや美容などの接客サービス業、看護師、医師、理学療法士などの医療従事者は感情労働の比重がつい重くなりがちなので、燃えつきも起こりやすいように思います。相手となる人は心身が弱っていたりメンタルが不安定な方も少なくないですし、親身に接していると境界線が分からなくなるタイプの相手もいますからね。かといって、仕事の現場でこちらの感情がいちいち振れないないように無関心・無感動を装うとクレームにつながりかねない職種でもあり、その装いが板につくころにはプライベートの場面までそれが図らずも侵食してきてしまい、その方自身のキャラクターや性格まで無関心・無感動に飲み込まれていってしまいかねないので、なかなかバランスのとりかたが難しい。

こういうのって意識的に、俯瞰して調整しておかないと危なっかしいんですよね。サービス業以外でたとえるとわかりやすいかな?沢山の部下や生徒や教え子を抱える立場で長く仕事をしている人が、プライべートでも部下でもない教え子でもない垢の他人にまでなぜか指示命令口調で振るまう、みたいなかんじです。仕事の役割にプライベートの自分まで乗っ取られてしまっているわけ。細かい調査や過程を必要とする仕事の人が、プライベートでも何にでも誰にでも厳密な一致を求めてしまい、寛容さや鷹揚さが無くなることで過干渉で神経質に思われうとましがられる、とか。人って知らず知らずのうちにそういう風にキャラクターが変容しがちなのです。気づいてないと、あぶないでしょう?

そういう意味で、精神科医であり、精神科救急病棟の立ち上げにもかかわってきた名越先生が、医学書院で看護師向けに「ナーシング・カフェ 医療者のための心の技法」 というセミナーを開いていたのは、またごく自然な流れのように思います。普段先生がご著書で語られていることがとてもわかりやすくまとめられているので、とてもおすすめです。

→●名越康文講義録(1) 心は一瞬にして変わる