ロレッタブログ

ホピ族の取材とSFの思い出 - 2007.07.30

「ここしばらくLAを離れてアリゾナの僻地のアメリカ先住民のホピ 族の居留地に取材旅行に行ってました。メールはおろか携帯も届かない陸の孤島でした。
でも、逆にそういった現代社会とはなれて生きている彼らの話を聞いていると、果たしてどっちがまともなのかなと、結構考えさせられました。」
とは、例の写真展のアシスタントとして活躍した友人からのメール。
だからメールしても返事がなかったんだね!わかったよ!うんうん!
8月の東京で会えるのを楽しみにしているよ!この機会を逃すと、次は何年後か本当にわからないからね。本当に。
そういえば、西海岸を一人で旅していたその頃、SF滞在中にカードを出しに郵便局まで行きました。
「今日は郵便局は休みだよ。」といわれたことや、「危ないから避けた方が良いよ」と言われていた駅のこともすっかり忘れて、Civic Center Stationで下車。
郵便局のあるはずの方向へ歩いてるのに、なぜだか殺伐としている空気。
通り一つ入っただけで、張り巡らされた有刺鉄線に、吹く風までも異様に寒い。
アジア人で歩いてるのは私だけ。
というか、黒人の貧民層ばかりなんですけど、どうやら`希望`と‘平和‘いう単語がおよそ似合わない所のようで、これは安全とは遠い場所にきてしまったかなー、と。
あれ?歩道脇では車が燃えている?
へー、爆発しないのかな。危なくないのかな?何で火がついたのかな?
なんだか怪しい雰囲気が漂うこの通り、電柱の張り紙はブラック・モスリム(白人至上主義のKKKの逆バージョンみたいなの。マルコムXが入っていた教団)では?
歩いていても郵便局は無いし、どうやらこの辺は危ないようです。
なんて言ってる場合じゃないんですけど、とりあえずじゃあまだ人がいそうな表通りに出ようかな、とするとちょうど目の前を歩いてた兄ちゃん(極寒の中、半袖Tシャツでしかも汗だく)がなんか振り回しはじめた。
なんだか様子が変な人だとは思ってたけど、あらー、ふりまわしているのは刀?
どこで買ったんだろう?とういうか、こんなに大きなのどこに持っていたんだろう?
日本刀ほど長くはないんだけど、こういうのはアメリカのどこで売ってるのかな?
近くを歩いてた黒人の兄ちゃん達も「これはやばい。」とばかりに後ずさりして、ダッシュで散っていく。
蜘蛛の子を散らすってこういことかも。納得納得。
私も一緒に走っていければよかったのですが、その頃ちょうど足首を捻挫していて痛いからそんなに走れないしなぁ。しかもこの人と私ってなーんか同じ方角に進んでいて、こっちがどう進んでも、そこにいる。(苦笑)
「ここで振り向かれた時には終わりかもね。人間死ぬときゃ死ぬし、死ぬ奴は引き止めても死んでいくもんなー。人生何が起こるか全くわかりゃしないわ。いやねぇ。」
と妙に冷静に考えてる自分が笑えたのですが、結局、通りがかった黒人の男の子が「ゲゲ!」と目を見開いていて、ちょうど真横にいた私と目配せして暗黙の了解。「こっちに走れ」と。
一緒に別の筋に逃げ込めたから何事もなかったのでした。
とりあえず2人で走ったあと、それぞれ「ちょっとヤバかったね。用心用心。」みたいな感じで別々の道に分かれたのでした。
帰国後、友達に聞いたらこのあたりはブラック・モスリムの集会所とかもあって、とても安全とは言い難い場所らしく、以前ここで安宿(1週間$90)をとったら、隣のベッドが薬の売人で一晩中ブツブツ言ってたり、発作を起こしてうるさくてしょうがなかったらしいです。
でも、そこまで安いのは貴重かも。
ちなみに、この時のSFでの宿となった友人の家は、ゲイストリートで有名なかのカストロストリートのすぐそばで、夜はゲイのお兄ちゃんばかりでとてもにぎやかだったのでした。
ちょっと思いだした旅のお話。