ロレッタブログ

正しいスキンケア事典/化粧水のコットン使用ついて - 2010.10.30

ジムに通っていた時に、シャワー後に洗面台で女性たちがスキンケアをする様子を見ていると、とっても勢いよく顔を叩いている人がいます。
化粧水の量が極端に少ないコットンで、音が出るくらいの勢いと強さで、ばんばん叩いている!もしくは、素手に化粧水を取り、音がするほど叩いている!友達同士で「100回はやったほうがいいって言うよね」「そうそう」と、根拠のない伝説を信じて、100回数えていたりもします。
当然、お手入れ後の顔はかなり赤い炎症状態・・・。

化粧水の量はたっぷりひたひたに含ませて、といくらアドバイスしても、少なめに使う人も非常に多いです。
その理由には「そんなに使うと、すぐ化粧水がなくなっちゃうからもったいない」という気持ちと、「いままでの化粧水だってこの程度の量でつかってきて、別に不都合なかったから、これでいいや」という自己判断の2つがあると思われます。
「高い化粧品だと量をケチッて使う」とはよく言われることですが、実際には「ケチる人は安い化粧品でもケチる」というのが観察してきた実感です。

また、「この程度の量でつかってきて、別に不都合がなかった」というのであれば、客観的に皮膚の状態を観察出来ていないと思われます。大抵は少ない使用量のせいで、摩擦刺激で表皮が荒れ、乾燥、炎症による赤み、色素沈着が起こったりしています。

朝晩2回×1年365日=730回、正しく使った人と、自己判断や誤った方法で使った人と、10年後(≒7,300回)、20年後(≒14,600回)、30年後(≒21,900回)と、大きく差が出てくるのは、当然のことと。

共著書の正しい読み方(その4)
( 解説 )
今回は59ページの「ふだんのスキンケアでは、コットンを使う必要性はないでしょう。」という化粧水のコットン使用について補足します。
この項目は吉木先生の担当なので、私の方から特にコメントを入れませんでした。
コットンの使用に関しては皮膚科医の立場と化粧品メーカーの立場では意見が分かれるところです。
ただし、共通していることは、強すぎる摩擦で皮膚の角質層を痛めることをしないということです。
その為には、コットンに十分化粧水を含ませて優しく滑らせて使うことです。
パッティングも適度な強さで、適度な回数で行うことです。
61ページに「100回パッティング」について、強すぎ、深く浸透しない、無意味とのコメントがあります。

これは私にも取材で質問が時々くるのですが、どこのメーカーか判りませんが、100回くらいパッティングをすることを奨めているケースがあるそうで、それはパッティングをやり過ぎだと私もコメントをしています。
では適度とはどういうレベルかと言えば、心地よくということにつきます。
これは個人差もありますので、具体的にどのような強さで、何回とは言えないものです。まあ肌がヒリヒリしたり、赤くなってなかなか引かないくらいパッティングをするのは度が過ぎます。

それから大事なことは、化粧品メーカーがコットン使用を奨めている時は、必ず使用する化粧品はコットンとの相性を考えてつくられているということです。
そして手使用よりもコットン使用の方が、なじませる時に効果的であるという意味性もあることです。だから化粧品の使用説明書にコットン使用が書かれていれば、コットン使用の方が化粧品の効果をより引き出せるのです。

私は使用説明書は化粧品開発者からのラブレターだと説明しています。
開発した化粧品をより効果が引き出せ、快適に使用してもらいたいという開発者の気持ちが込めてあります。
あともう一つコットンについて理解をして欲しいことは、コットンはセルロースという多糖類からなる繊維から出来ています。
その繊維も緻密な構造をしていますが、化粧用のコットンは脱脂行程や叩いて繊維をほぐして柔らかくする工程を経てつくられています。しかも、硬い繊維や柔らかい繊維をブレンドして、様々な風合いの製品がつくられています。
しかし全て共通するのは水分を含むと柔らかくなるという性質です。
だから使用時に、十分な量の化粧水や乳液をなじませて使って欲しいのです。
そうすれば、過度の摩擦による角質層へのダメージを与えることはないのです。