ロレッタブログ

健康・医療の情報を読み解く 健康情報学への招待 - 2012.03.17

怒涛の勢いで3月が終わりそうですね。やっと梅が咲いたそうですが、昨日はロレッタに吉野桜が届きましたよ。
まだまだ空気は寒いですが、陽射しは少しずつ春に変わってきていますね!
さてさて、巷ではヨーグルトやトマトが売り切れたりしているそうで。
こうしたニュースを聞くたびに「(人の話をこれだけ鵜呑みにする人がいれば)振り込め詐欺もそりゃ無くならんわけだ」と思うのです。
かんばらさんは(何に関してもそうなのですが)特に健康・美容情報に関しては「これがいいよ」と言われても根拠のはっきりしないものに関しては「人の言うこと話半分」と思う性質なのですが、まさにそれを論理的に述べてくれる本に出会いましたよ。
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健康・医療の情報を読み解く 健康情報学への招待 [京大人気講義シリーズ] / 中山 健夫 / 丸善
実際のところ、健康情報はその「出どころ」によって、どれくらい信頼できるかに歴然とした違いがある。
この場合の「出どころ」とは「誰が言っているのか」ということだけではない。
「なぜそう言えるのか?」、つまりその「根拠」に目を向けることがとても大切である。
どんな「根拠」からの話かわかれば、その情報の信頼性、
いわば「信じてよい度合い」がおおよそ決まる。その度合いの高い情報は「質の高い」情報とも言える。
本書では、医学、公衆衛生学、情報学、行動科学、疫学やEBMの考え方に基づき、身近な実例の紹介を通じて健康や医療の情報の読み解き方平易に解説する。

ということで、ざっと記すと下記のような内容が平易に述べられています。‘人気講義シリーズ‘というだけあって、図解も沢山でとても楽しいですよ!
あとがきの「ものの「疑い方」を学ぶことは、その「信じ方」を学ぶことでもある」という言葉が最も心に残りました。
<医療情報を読み解くために>
・人間の話か、動物の話か?
・横断研究か、縦断研究か?
・分母は何か?
・バイアス(かたより)はないか?
・対照群はあるのか?
―その病気でない人はどうだったのか?
―その治療法をしなかった人はどうなったのか?
・観察研究か実験拳銃か(ランダム化されているのか?)
・交絡はないのか?
・統計的誤差(データのばらつき、変動)はどうなのか?
・どういう立場の人間が、誰にむけて、どういう目的で発せられた情報か?
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私たちは気付かないうちに「狭い思いこみの世界」の中に暮らしています。そこは決まったパターンが繰り返される、ぬるま湯的な気持ちよさのあるところです。
ですが、そこで自分の身体と心を動かすことを忘れてしまうと、特に悪意すらある他者の発する「情報」から、適切に、そして主体的に身を守ることができなくなってしまいます。
それだけではなく、自分自身が知らず知らずのうちに他者を害する「情報」の発信源になってしまうこともあるかもしれません。
「複数のものの見方」をもつことによって、自分自身で葛藤のもとを作ってしまうこともありますが、自分を制約しているみえない枠に気づいて、より広くものがみられるようになったときの「はっ!」とする喜びは言葉にできないものがあります。
~中略~
日本人は相手の言うことをそのまま信じることを美徳としているところがありましたが、本当は「きちんと疑うこと」を通してこそ「何をどこまで信じてよいか」がわかってくるはずです。
ものの「疑い方」を学ぶことは、その「信じ方」を学ぶことでもあるのです。
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余談ですが、根拠ない判断でのミス、というと肌が荒れたりかぶれているときに更に酷い状態に陥ってしまう原因のトップ2は、「友達のおすすめ」と「自己判断」です。
例えば、「私の肌も荒れてたのがこれでよくなったから、きっとあなたにも効くよ。使ってみたら?」や、良かれかれと思って自己判断で他社の製品やいままで行ったことのないお手入れに変える、などです。
基本的に、調子のよかった肌が急にぶつぶつ・赤み・痒み・ニキビ吹き出物・等に悩まされるようになった場合は、(レチノイド反応などの場合を除けば)、大きな要因としてあげられるのは、
①妊娠
②過剰なストレス (ホルモンバランスの乱れを含む)
のどちらかの場合がほとんどです。
特に①の妊娠に関しては、健康な男女が性交渉をもてば妊娠するのは自然なことですが、その自覚がないままに本人も知らないうちに出来てしまい、さらにそれに気づかぬまま、「なんでこんなにぶつぶつが出るの?化粧品が合わなくなったのかも?!」とパニックに陥り、とりあえず思いつくままに化粧品を変えて、ますます悪化に拍車がかかる・・・という事が在りがちです。
妊娠中はホルモンの分泌も全く違ってくるので、肌が極度に乾燥する人、ニキビが出やすくなる人、シミが濃くなる人、アトピーや花粉症が治ってしまった人、などなど、何がどう転んで出るかは全く予想不可能です。
ロレッタでも過去にそうした事例がありましたが、「妊娠の可能性はありませんか?」と訊いたところ、ご本人は最終月経日を把握しておらず、「そういえばなんか来て無いかも?」と調べて後日妊娠判明、ということが結構あります。