ロレッタブログ

純粋力 - 2013.05.16

麻雀の会でお会いした、末井さん。
お仕事は編集と伺ったのですが、友人曰く「末井って、末井昭?昭和の雑誌文化の一時代を築いた人だよ」と。アラーキーと‘写真時代‘という雑誌や、パチンコ雑誌も作っていたのだそうです。

こんな本も出ていました。(早速読書リストに追加)

そして、ロレッタのお客様からは「西原さんの漫画‘まあじゃんほうろうき‘にも‘すえいどん‘の名前でよく出てくる」のだそうです。毎度のことながら、せっかく色んな人にお会いしてもちっとも知らなくて、後日周りからその人について教えてもらって初めて知る、というかんばらさん。

呑み会では、今何の仕事してるの?なんで会社やめちゃったの?とかポツリポツリとお話したのでした。
満員電車に何十年も乗る生活にはどうやったって自分は向いてないし、会社やブランド名を自分の力だと錯覚して周囲に威張り散らす上司は、尊敬するどころかバカバカしいだけだった。売り上げを伸ばすのは会社だから必要だけれど、だからといって部下に威張る必要はないし、出入りの業者を顎で使う、そういう‘相手によって態度を変える‘というメンタリティーがもう全く理解できなかった。薄給で身体と精神を壊して次々人が辞めていく会社のシステムもおかしいと思ったし、引き抜きの声は他社からかかるけれども、どこに行ってもロクなサロンを作れそうにはなかった。それなりに大きくて、名の知れた会社にいくつか籍を置いてきて、つくづくそう思った。そうなると、もうお客さんが一人もおらず、知り合いが誰もいない土地でも、とにかく自分でやってみるしかなかったし、そのほうがよっぽどマシだと思った・・・等々お話したのですが、著書に相通ずることを記されていました。
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純粋力 / 末井昭 / ビジネス社

人間はそれぞれそんなに違いは無いし、弱いものです。
しかし、‘権力‘を持つと自分が強くなったように錯覚するんです。それにプライドもありますから、エバることでプライドを満足させたりするんです。でも、しょせん‘権力‘は借りものですから。
僕は、会社の中では取締役編集局長という役職を与えられていますから、ちっちゃな‘権力‘を持った立場ですけど、本当はその役職を捨ててしまいたいというのが本音です。もちろん、その‘権力‘をなるべく行使しないよう勤めていますけど。‘権力‘を持っていても、それを行使するかどうかが問題なんです。
前にも言いましたけど、会社でちょっとした役職を与えられて、部下を怒鳴り散らしたりしているうちにエバるクセが付いて、居酒屋なんかで店員を怒鳴ったり、家に帰って奥さんに「誰に食わせてもらってるんだ」とか言ったりしてね。そういうクセがつくと、孤独になるだけで何も良いことはないと思うんですけど。
僕は、たとえば朝、奥さんと喧嘩したりすると、よほど重要なことがない限り会社に行きません。「俺には仕事があるんだ」とか言って、会社に逃げる方が楽なんです。会社に行って仕事をしていれば、喧嘩のこともすぐ忘れますしね。
でも残された奥さんは、家でずっと一人でモヤモヤした気分でいるわけでしょう。そういうことが続くと、心は離れて行きますよ。気がついた時は、離婚届を用意されていたりします。
‘権力‘を持つことの弊害は、人と対等に付き合えないことです。会社のバカな社長なんかだと、周りにイエスマン、つまりゴマスリばかりが集まっているのに気がつかなくなって、それが間違っていても誰も指摘してくれません。「社長、すばらしい考えです」なんて言われていい気になって、あとでとんでもないことになったりしてね。
みんなからチヤホヤされると、自分が慕われていると錯覚して安心したりしますけど、心が通じていないから孤独ですよ。自分の‘権力‘がなくなると、イエスマンたちはサッといなくなりますから。だから、一度‘権力‘を持つと、財産を持ったときと同じように、失うことが怖くなるんです。
社会的地位があることだけでなく、厳密に言えば、お金を持っていることも、知識を持っていることも、言葉を多く知っていることだって、‘権力‘を持っていることになりますから、自分には‘権力‘なんかないと思って安心しないことです。‘権力‘を持っているという認識と、それを行使しないことが大事です。

こちらにレビューも。
ダイナマイトな『純粋力』は無意味な体験に宿る~“やりたいこと”なんてなくても大丈夫
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そういえば、自殺の理由第1位はお金や仕事じゃなくて、健康の問題、ということも教えてもらったのですが、連載もされているようです。
朝日出版社 第二編集部ブログ
あとは、億単位の借金を銀行から踏み倒したというお話も伺ったのですが、「持ってる服で一番ボロボロの服着てヨレヨレな感じで銀行にいけば大丈夫」らしいです。
そんなに簡単じゃないと思うのですが。(笑)
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そういえば末井さん、女装するっていっていたのですが、確かにそのとおりの表紙で、早速読んでみた2冊。
タイトルは、ダイナマイトで隣の男と心中してしまったというお母様が由来かと。

ゆる~~い回答が脱力しすぎてて笑えるのがこちら。
中島らもの「明るい悩み相談室」がお好きな方には、とてもおすすめ。(笑)