ロレッタブログ

グロテスク - 2013.09.01

そういえば最近は読んだ本のことを書いていなかったのですが、今年も沢山の刺激的な本/作家に出会っております。
以前お客様から「面白いけど怖いよ」と一押し(?)していただいたこの本は、今年の初めに読みました。
2段組みの530ページ超を一気に読了!!
かんばらさんは気に入った作家は全作品読破する性質なので、他の桐野さんの本も読んでみることにします。

グロテスク / 桐野夏生 / 文藝春秋

どこで見つけたのか失念してしまったのですが、下記の桐野さんのインタビューを読んでから再読するとまた面白いかもです。

「私ね、この世の差別のすべてを書いてやろうと思ったんですね。些細な、差別と思っていないような差別。
お金も美醜も、家柄も地域も、勉強できるできないも、全部の小さな差別をいれていこうと思ったんですよ。
エリートになればなるほど、たぶんものすごい差別がいろいろたくさんあると思うんです。競争が激しい。それが女の子の場合、もっと複雑になるというのかな。厳しいんじゃないかと思うんですよ、女の子は。」

「ユリコは「わたし」から見ると「頭が悪い」のですが、本当は明晰で一番言葉を持っている人間。分析的に物を考え、客観的に起こったことを語ってくれる人です。」

「あの「わたし」という人はイメージがあったんです。語り部自身が信用できない。その語り部がだれに話しかけているかのかというところも謎なんですね。」

「そうでしょう」と話しかけていますが、もしかすると鏡を見ながら自分でしゃべってるかもしれない。独り言か もしれませんよね。そういう薄気味の悪さをただよわせつつ、心の迷路に入るような物語にしたいなっていう気持ちがあったんです。」

「でも、意外だったのは、これは女性のための小説だと思っていたのに、案外と男性が面白いと言ってくださったことですね。かえって女性からは、ここまで書かれると「痛い」という感想が多い。」