ロレッタブログ

⑤「きれいになって癒されたい トラウマ解消タイプ」 - 2013.11.12

⑤「きれいになって癒されたい トラウマ解消タイプ」
・これまで自分の人生にはなにもいいことがなかった、と思っている
・これまで自分は傷ついてばかりいた、と思っている
・なにもいいことがなかったり、傷ついてばかりいたのは、すべて自分の顔のせいだとおもっている
・自分の容貌はみにくく、いいところは一つもない、と思っている
・美容外科手術だけが自分を幸せにしてくれる唯一のものである
・美容外科手術にたいして怖いと感じたり、抵抗を感じることはまったくない
・いままでの生活には未練がないので、手術後はこれまでとはまったく違う人生を歩みたい
・まわりの人との関わりが未熟である
・美容外科手術を繰り返してしまう

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『美容外科を受診してくる女性たちの、みんながみんな自分の外見や自分自身にたいしてコンプレックスの塊になっていたり、自分自身にまったく自身が持てないというわけではありません。それなりに自分自身を肯定することができていたり、実際にとても魅力的である人も多いのです。たとえば、タレント志向タイプの女性たちは、自分の容貌にかなりの自信を持っていることが多いようです。また、キャリア志向タイプの女性たちにしても、容貌にたいしても少なからず自信を持っており、そのほかの能力にたいしても人には劣らないという自信を持っています。彼女たちは、それなりにいまの自分自身のことを肯定していて、自分にもなにかよいところがあるということをわかっています。そのうえで、さらにそのよさを強化したいという積極的な願望から、美容外科手術を希望してくるのです。ちょっときれいになりたいタイプや女王様ママを持つタイプの女性たちの場合には、自分自身にそれほどの自信は持っていません。まわりからの評価をとても気にしていて、そのような評価にたいして合格点をもらえる自分ではないと感じています。そして、そうした完璧でない自分を守るために、美容外科手術を希望してきます。

それにしても、ちょっときれいになりたいタイプや女王様ママを持つタイプの女性たちがもつ自信のなさというものは、トラウマ解消タイプの持つものにくらべると、ずっと限定的です。トラウマ解消タイプの女性たちにとっての自信のなさというものは、そうした限定的なものであったり、まわりの対応によって変えていかれるようなものではありません。もっと、その人の人生全般にのしかかっているもので、暗く覆いかぶさっているものです。彼女たちは、自分の人生のすべてを否定しています。そして、そのことの理由がすべて、自分の容貌のせいだと考えています。
だれに言われたわけでなくても、とにかくそう思い込んでいます。それは信念のようなもので、まわりの対応によって変えていかれるほど柔らかいものではありません。自分の顔がこんなだから、そのせいで自分の人生はめちゃくちゃになった、自分の人生はずっとずっと暗かった、と彼女たちは言うのです。』

『ですから、彼女たちの気持ちもいつも暗いものでした。気分はいつもうつうつとしていました。トラウマ解消タイプの人たちのうつ的な度合いを見てみると、そうした傾向がはっきりと見られます。そのように気分がいつもうつうつとしていることもすべて、自分の顔のせいだと考えています。』

『トラウマ解消タイプの女性たちは、そうした自分の「傷つき」を解消するために美容外科手術を受けようと考えています。
ほかのタイプの女性たちからも、いろいろな「傷つき」が語られるということはあります。たとえ語られなかったとしても、人生のさまざまな場面で「傷つき」体験があったかもしれないということは、察することができることです。しかし、他のタイプの女性たちからは、「傷つき」体験ばかりが全面的に語られるということはありません。』

『それにたいして、トラウマ解消タイプの女性たちのこころを占めているのは「傷つき」です。そこに見えてくるものは、自分が傷ついたという体験の羅列であって、まわりの物や人との関わりという部分はありません。彼女たちは、自分の「傷つき」体験ばかりを語り、その「傷つき」を払しょくしようという目的で美容外科手術を希望してくるのが特徴です。』

『しかし、だからといって、彼女たちはそれほどみにくいということはありません。世の中にそれほどみにくい人ばかりいるということはないでしょう。それに、その人の人生がうまくいっていないのはすべて容貌のせいだと考えることは、客観的に無理があるようにおもいます。それでも、トラウマ解消タイプの人たちの主観の世界においては、すべては容貌のせい、ということになっているのです。』

『ですから、いまのままの顔でいるかぎりは、なにをやってもむだなのだとあきらめムードです。現在の顔のままでいるかりぎにおいては、どんな幸運も訪れてくることは決してないのだと考えています。そして、この顔のままではうまくいくはずはないからと考えてしまい、なにかに挑戦することも始める前に断念してしまいます。このままでは、まさしく絶望的だと言えます。人生になんの希望も持てないのです。たとえそうではなかったとしても「いつか幸せになれますように」とか、「どうかうまくいきますように」と望むことさえできないでいるのです。望むことさえできない人生とは、どんなにかつらいものでしょう。トラウマ解消タイプの女性たちは、星に願いをかけることさえあきらめてしまっているのです。
しかし、彼女たちは美容外科を受診します。星には願いをかけられなくても、美容外科手術には願いをかけにやってくるのです。』

『ほんとうのところ、美容外科手術が、彼女たちの容貌を、生活を、人生を、そして彼女たち自身を、まるごと変えてくれるのかというとそれは疑問だと思います。しかし、トラウマ解消タイプの女性たちにとっては、美容外科手術のみがこの世で唯一、願いを託すに値するものに映っているのです。』

ほかのことはなにも信用できないのに、美容外科手術だけは素晴らしいものだと思っていて、それが独特なところです。』

『トラウマ解消タイプの女性たちにとって、現在の自分の容貌は未練のあるものではないし、美容外科手術にたいしても抵抗を感じることはありません。美容外科手術を受けることが決まると、ようやく平静で幸せな充実感に浸れるのです。しかし、それも嵐の前の静けさ、とでも呼ぶべきなのでしょうか。美容外科手術を受けて、とりあえず顔だけは希望通りに変わったとしても、人生は期待通りには変わらなかったとき、その充実している感じというのはもろくも崩れてしまうことになります。
そのように期待がはずれてしまったとしても、トラウマ解消タイプの女性たちの美容外科手術にたいする信頼というのは容易に崩壊するようなものではありません。
彼女たちは、再度、新鮮な期待を抱えて、美容外科を受診してくることになるのです。』

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■わたし(著者)からのメッセージ
「人生がうまくいかないのは顔のせいではない」
人生がうまくいかないのはすべて自分の顔のせいだ、ということはありません。
人生がうまくいかないのは、自分が自分自身を受け入れることができないからなのです。
顔が変わったからといって、とつぜん人生がバラ色になるわけでも、自分自身を受け入れることができるようになるわけでもありません。
美容外科手術とは決して全能なものではなく、その効果は限られたものです。基本的に自分を受け入れることができる人にこそ、その効果があるのだと思います。
そのためにも、いまの生活のなかで、なにか自分で変えられるところはないかということを考えるのも、大事なことだと思います。