ロレッタブログ

エレガンスの条件 - 2014.05.31

アメリカ女性が目指すのはグラマラスでセクシー、フランス女性が目指すのはエレガントでセクシー。でも日本人女性でエレガントであることを意識している人ってどのくらいいるのかな?そもそもエレガンスの定義が難しいよね。日本ならお上品で気取っていることをエレガントと勘違いしている人が多そうだし、とぼんやり考えていたら見つけたのがこの本。

エレガンスの条件/朝吹登水子/ソニーマガジンズ
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2010年のドゥマゴ文学賞で朝吹真理子さんの名に翻訳者朝吹登水子さんとF・サガンの小説を思い出した人は多いかと。著名人9名がそれぞれにエレガンスの条件を上げているのですが、フランソワーズ・モレシャン(なつかしい)と朝吹さんの定義は秀逸でした。

■朝吹登水子
1.公徳心のあるマナー
2.生きる歓びとゆとり
3.自分のスタイルをよく知ること
4.虚飾のない堅実な生活の気品
5.伝統の中に美を見出す生活
6.香水は生活の潤い
7.他人の幸福を祈って花を贈る
8.自分のユニフォームを見つける
9.知性と教養のある女性
10.自分を磨く

■フランソワーズ・モレシャン
1.努力や苦労を人に見せないこと
2.人にこびない。自分の尊厳を保つ。勇気を持つ。
3.エレガンスはお金の問題ではない
4.自分を磨くこと、自分を知ること。文化と教養を身につけること
5.人への思いやり、人間への思いやり
6.おしとやかで、おとなしいだけがエレガンスではない
7.失敗はエレガンスの母。自分のスタイルを作る
8.自分を誇示したり、自己顕示しないこと
9.人の悪口を言わないこと
10.エレガンスを忘れて、人生を楽しく生きること

エレガンスは私の人生で、もっとも大切な要素というか、憧れであり目的なのに、なぜか『エレガンス』を日本語で語ると気になることがあります。日本語の『エレガンス』はフランス語のニュアンスと少し違うようなのです。
日本の辞書を引くと、「優雅」「上品」「気品」という単語が並んでいます。もちろん翻訳として間違いないのでしょうが、この言葉だけでは‘お常飲で気取っている‘というマイナスのニュアンスを与えてしまいます。しかも、皇族とか伝統社会とか「超VIPな社会に生まれ育たないとムリだわ!」という先入観をも植え付けてしまいます。さらに‘優雅で上品で気品があって‘という形容は外見の雰囲気や物腰だけを表現しているようで、私には何か物足りなく思えるのです。
フランス語の辞書(GRANDE LAROUSSE)でEleganceを引くと、次のように説明されています。
「外見や内面において、優雅さ(la grace)や自然な余裕(l`aisance)によって特徴づけられる資質。例えば、服飾や身振りのエレガンス」「特に装いにおいて、余裕と控えめ(discretion)を伴う着こなしのセンスの良さ。『エレガンスは人を驚かせないことである』(ジャン・コクトー)」
そして最後に、「道徳的に(moralement)、または知的に(intellestuellement)特徴づけられる人の資質」とあります。
つまり、エレガンスはシックな装いをして、おしとやかで、お上品といったイメージだけではありません。おしゃれが自分を表現する手段であるように、エレガンスは人の内面から生まれてくるライフ・スタイルであり、人生や精神のあり方、優雅、上品、気品に加えて、粋、スマート、さりげなさ、つつしみ(控え目)、余裕、思いやり、尊厳、敬意、わびさび、勇気、優しさ、愛情・・・もっともっとたくさんの好きな言葉が、このエレガンスに集約されているのです。私にとってエレガンスは「人間である条件」だと思えます。
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