ロレッタブログ

ほくろとシミの除去(トラネキサム酸) 続々報 - 2016.01.13

シミや肝斑の内服対策として、トラネキサム酸に関してご質問いただいたので、私の意見をお答えいたしますね。

トラネキサム酸内服でシミはマシにはなるものの、中止すると色調が再び濃くなる人が殆ど。少なくとも私は内服で「シミが無くなった人」にはお目にかかった事がない。当事者からも「薄くなはった気はするけど、止めたらまた濃くなった」という人ばかり。なので、私からは積極的にはお勧めしていません。

肝斑は30代~40代に気にする人が多いのですが、閉経を境に60歳くらいになると(ほぼ)消失します。つまり、40代でさんざん肝斑ケアをしたけれど、結局は経年で自然消失という人が多いのです。

私自身はすでに血栓リスクがあるホルモン剤をここ10年間内服しているので、そこにさらにトラネキサム酸で血液がどろっとするのはあまりよろしくないと判断して摂りません。ホルモン剤の血栓リスクは常識ですが、特に私が飲んでいる薬はフランスでは血栓で死亡者が出て発売中止になったので、さらにトランサミンで血液をドロッとさせる必要はないと判断しました。私はお酒もよく飲みますしね。
ただし、ホルモン剤の血栓リスクについては、過去にクロミッド3倍量処方、ルトラール、プレマリン、ノアルテンD(←どれの副作用だったか忘れたぐらいどれもしんどかった)で治療を受けた時のほうが全身のむくみや下肢の疼痛が余程ひどかったのは事実。あの頃は、夜中に痛みで目覚めて眠れなくなるぐらい痛くて痛くて・・・正直足を切り落としたいぐらいでしたから!!!
今のお薬では体調は良好。むしろ副作用まみれの20代の時よりも快調なので、フランスでの使用中止の件も主治医に質問した上で、私には合っていると判断して継続しています。

■参考リンクFrance pulls acne drug after contraception deaths France has suspended sales of an acne drug whose use as a birth control pill has been linked to the four women

実際、トラネキサム酸はワーファリンやアスピリンのような抗凝固薬を投与している人には処方しないようですし、薬疹やアナフィラキシーの報告もあるので、ペニシリン系薬剤で薬疹が出た自分としては、薬疹リスクも高めたくないというのもある。(笑)
ホルモン剤でシミが濃くなるかどうかについては、私の場合はほぼ関係ないと思っています。10年かけてこの程度の色調ですから、経年のUVダメージが視覚で認識できるぐらいになってきたのだと思われます。(とはいえ、知りたがりな性格なので個人的には今のホルモン剤でプラスミノーゲン値がどのくらいになっているのか、測ってみたい気はあります。)

こういう内服薬に限らず、レーザーも美容整形なども含めて、そもそも医療とは「デメリットとメリットを比較して、本人の人生や日常生活においてデメリットよりもメリットが上回ると判断したときに実施するもの」だと考えています。ご自身にとってメリットよりもリスク(デメリット)を取りたくない気持ちが大きいのであれば、その医療を受けなけなければよいだけのこと。判断は本人にゆだねられているのですから、誰かがやっているからといって安易にトライすべきものではない。「自分はどうしたいのか」をとことん考えて、自分で決めることが大切。人間は欲の生き物だし、その欲を実現するためにあらゆる技術が進歩してきた。医療従事者が職業的使命感でありとあらゆる手を尽くそうとするのは当たり前。むしろ、最先端技術では打つ手があるにもかかわらずそれを伝えないほうが問題ですよね。それらをふまえて「何をどこまでやるか」を決めるのはご自身の価値観に基づいて決めればよいわけで。自ら下した決断は、他者のせいでも、技術の進歩のせいでもないのです。向き合うべきは自分自身の欲望。

出来ることならば強欲な自分と向き合わずに生きたいという人には、正直キツい時代だとは思いますが・・・。本来は宗教がそういう時の判断のよりどころだったはずですが、日本人の宗教感っていまいちぼんやりしているので、よりどころもなく自己責任の観念も薄いままに(個人という言葉がそもそも日本には無かったのだし)流されてクラゲのように漂うのも無理はないのかも。

と、ここまで記していてタカナシクリニック院長と中村うさぎさんのブログを思い出しました。以下引用。
ドクターは職人で、デザイナーはあなた自身です。
『手術を受けると決めたのはあくまで本人さんなのですから、自分の選択には責任を取るべきだと私は考えます。
手術が失敗したのなら執刀医が責任取るべきだと思うけど、手術自体は成功してるのに「ホントはやりたくなかった」などと言いだすのは、自己責任という概念のないお子様なので、そういう人は美容整形自体を受けるべきではないと思う。
ドクターと話し合う時は、真剣に臨みましょう。自分の身体のことなんですからね。』