反対されてやめる人<つづき> - 2017.05.21
身近な例だと、転職がイメージしやすいかな。今の職場では先が見えていて、やれるところまでやり切った感もあり、ここでこのまま留まるわけにはいかない、周囲に不義理をしようが、しばらく無収入になろうが、万が一転職が失敗して自分のささやかなプライドが傷つこうが(己を知る最高に良い機会)、どうしても次に行きたかったということ。成績が良ければ褒めてもらえた学生時代と違って、現実はもっと理不尽だし、容赦ないし、手厳しい。転職や独立は、市場で自分にいくらの値が付くか査定されにいくことだから、プライドが高くて腹くくれない人はむしろ向かないかもしれませんね。反対されてやめるぐらいなら、それほどキャリアアップしたくもなかったってことです。
エステみたいな接客業・技術職も同じことで、気にいったらまた来る、気に入らなければ二度と来ないし、学歴や肩書がいくら立派なエステティシャンでも顧客が主観的にメリットを実感できなければ一切用無し、というとてもわかりやすい世界なんですよ。だからこの業界は脱落者が続出するんです。私はその分かりやすさと甘えを許さない美意識の高い女性のシビアさが、一心不乱に成長するしかない原動力になってくれるので性に合っています。うちが毎回現金都度払いにしているのも、何十万ものエステチケットを顧客に買わせて、チケット消化のために仕方なく通ってもらうようなセコい商売したくないからです。成長したいなら、逃げ道を絶つのが最も効果的ですから。最初から逃げ道を残した戦で、勝ちを獲れるような自分の限界点を突破したパフォーマンスができるわけがない。
親兄弟は自分では選べないけれど、友人や彼や伴侶は自分で選ぶことができます。どうしても相いれない場合は、自分の意思を尊重してくれない人を選んでしまった自分のミスでもあります。男女にかぎらず、仕事でも友人でも、なんとなく適当そうな相手を選んで、当初は気が合っていても、お互いの成長のスピードや見ている方向性にズレが生じてきてうまくいかなくなることって、いくらでもあります。だって生きてるんだもの、そりゃ出会った頃のままではいられませんよ。自分をとりまく人間関係の問題って、自分の問題なんです。それを認めるのに強い抵抗を感じる方は多いでしょうが、目をそらしたいことこそが真実。
その違和感に耐えて、騙しだまし生きるのはかなりしんどいですよ。自分の本当の気持ちや違和感や欲求に嘘をついて、流されるままになんとなく付き合い、結婚して、なんとなく今の仕事を続けたり、流されるままに家を買い子供をもうけて、気付いたら身動き取れなくなってる人って本当に驚くほど多い。他人の人生じゃないんですよ、自分の人生です。自分の人生の運転を、他人にハンドル握らせてどうするんですか。自分の意思で運転しましょうよ。しっかりしてください。わかっていても損切できない人の方が多いのを承知で書きますが、人生もビジネスも損切が肝腎。問題解決を先送りにすればするほど、事態は悪くなります。それができないと最後は自分がつぶれます。そして相手を恨むことになります。
これを読んでいるあなた。「私は恨んだりしない」って思った?でもね、これが恨むんですよ。人間そんなに清廉潔白じゃいられないんですね。心の底では、相手への怒りと人生の舵取りを放棄した自分への怒りがふつふつとたぎっているから、機嫌が悪い怒りっぽい人になるんです。あるいは鬱。日本は同調圧力ゆえに普段から感情を抑える癖(反射)がある方が多いので、自分のモヤモヤとした違和感や怒りにも気づくことができなくて鬱になる人が多いんです。怒りっぽい人は怒りが外に向かっているのですが、鬱は怒りを外に向ける気力も無くなって、内(自分)に向かっているんですね。自己肯定感の喪失が鬱ですが、呑みすぎ、吸いすぎ、暴食などの健康管理不全も怒りが内に向かう行動の1つです。つまり緩慢な自殺。これが極まるといよいよ自殺します。なんとか生きている人はそれでも時折、口では「これでよかった」と言ったりするんですよ。そうじゃないことは自分が一番よくわかっているのにね。そうでも言わないともうやってられないんでしょうね。生きてて全然楽しくなさそうなのが一目瞭然なのにね。本音は「こんなはずじゃなかった」なのに。後悔先に立たずとは言いますが、まさに後悔は心を病にするほか、何の役にも立ちません。
だから、整形に限らず、むかし誰かに反対されて今でも心残りのことがあれば、これからやればいいんです。大人になって、自分で時間もお金もやりくりできるんですから。行動に移さないことを、他人のせいにしない心持ちのほうがよほど大事です。現実を前に足がすくんでいる己の臆病さや、自己評価>他者評価が露呈するのを恐れるプライドの高さや、何も失わずにいいとこどりしたい自分の狡さも見つめましょう。誰かのせいにしたほうが被害者でいられるので短期的には楽ですが、それをいつまでも続けるのって潔くないです。回避と自己犠牲と我慢の果てに幸せはありません。