外反母趾手術 リハ室で見かけた謎 - 2018.08.04
入院中、リハ室には車椅子の方もちらほら。50代くらいの女性が不思議な座りかたをしていました。
車椅子に座っているのだけど、両膝を曲げずに、前にまっすぐ伸ばしているんです。さらにその膝から下の足は、ぐるりと周囲をワイヤーが幾重にも囲んでいて、ガーゼか不織布のようなものでおおわれている。
あの布のなかはもしかして・・・?とPTさんに質問したところワイヤーの中で膝下が串刺しになっているのだそう!!やっぱり!!衝撃!!!!PTさんもその病院に来て(教科書以外で)はじめて見たらしい。寝るとき不便そう~寝返り打てなさそうだし、痛みも相当なものでしょうね。
それにしても、両足串刺しなら事故で骨折、とかではないだろうし(他に怪我してないし)、いったいあれは何のための手術なんだろう?膝下だけってどういう症状??よほど重度のO脚だったとか?などなど、ずっと考えていたのでした。結果的にはその方は足首のオペだったらしいと判明。膝が悪いと足首も悪くなるらしい。バランスとるから当然そうなるわけですね、納得。しかしO脚もせっかくなら骨切れば治るのでは・・・と思う。
自宅の本を紐解いてみたら、やっぱり!O脚も骨切するらしい!!一度読んだだけだと頭に入り切っていない細かい記述は、こういう機会に再読すると忘れないので良いですね。
O脚だと、体重が膝の内側に多くかかるので、内側の骨が早くすり減って痛みが出やすいからなのだそう。この本(バレエダンサーのからだとトラブル/蘆田ひろみ/音楽之友社刊)に掲載されている写真のケースはバレエをしている男性(35歳)。膝が7~8㎝開くほどのO脚で、仕事を辞めてまで手術に臨んだのだそう。ご本人の向上心と美意識に感嘆・・・!
「手術は、下腿の脛骨と腓骨を膝の下で骨切し、下腿の形を整えるもので、主に50代から60代の婦人でO脚だひどく、長時間の歩行や立位で痛みが出てきた人たちに行う。この時期をのがして70代後半ともなると、膝の手術は主に人工関節置換術(全層で関節を置き換えてしまう)が主流となってしまう。患者さんもこの方法は嫌うし、私自身も外科医でありながら、人工材料と言うものを好きになれないので。60代の膝の悪い婦人には早い時期の骨切手術を進めている。」
「私は毎日のようにO脚の患者に接している。整形外科というのは90パーセントが女性の患者で、しかも腰と膝の悪い人が大半を占めるのだ。注射したり投薬したり、物療をすすめながらも、弯曲した足を目の前にするとつい、「手術したら楽になるんだけどねえ」と言ってしまう。「手術はいやです。このままでよろしいわ」と反論されるのを承知で。そういう問答を繰り返しながら10年、15年経ち、70歳が85歳。外を出歩くことも少なくなったし、まあいいか、というのが私の日ごろの診療態度である。」
「O脚を治すために仕事や学校を半年も休む決意をする人はまずいない。こちらもそれがわかっているから、初めから勧めはしない。だいだい欧米なら、手術してから出直してこい、といわれかねないようなひどいO脚のアイドルが堂々とテレビに登場して人気を博している。O脚に対する認識が欧米と日本ではまったく違うのだ。日本人はプロポーションにはかなり鈍感な民族と認めるしかない。」