ロレッタブログ

60代からの急激な衰弱<つづき2> - 2019.07.22

<筋骨格系>

人間の身体を構成するブロックに相当するのが骨です。それを繋いで動かす粘土やゴムが筋肉や靭帯や腱と考えてください。

筋力は、我々人間の直立二足歩行に欠かすことができない『脚』から低下します。運動不足だと脚だけではなく全身の筋力も低下します。したがって、全身の骨を筋肉や靭帯や腱でバランスよく支えられなくなります。

すると、次にアラインメント(骨の配列)が崩れて、あちこちの関節に負荷が偏り、痛みが出てきます。上半身では首、腰の椎間板のトラブルが増えます。

下半身は、重力に対して全体重を受け止める股関節と膝、足首に故障が増えます。エストロゲン分泌の低下とともに全身の水分は減少し、関節を支えている軟骨や関節が硬くなり、特に手指の関節にこわばりや痛みや変形などの諸症状が現れます。足のアーチも経年変化にこれらの諸条件が重なり、筋肉と靭帯が弱くなり、開張足など足の故障が増えます。

骨はどうなるか。閉経4~5年の間に急低下する骨密度は、運動不足でその低下に拍車がかかります。踵で重力を受け止めることで骨密度は維持・向上します。つまり直立二足歩行は、私たちの体を体として機能させるために必須条件なのです。我々の心身は生命維持のために毎日動き続けることを前提に作られています。

座る時間が長ければ長いほど、横たわる時間が長ければ長いほど、衰弱まっしぐらです外的刺激が減れば、感覚器や神経も退化します。脳も当然衰えます。身体はますますおぼつかなくなり、以前は平気だった動作がしづらくなったり、物を落としたり、怪我をしやすくなります。

痛みや筋力低下による疲れやすさ、これらの諸症状が重なり、能力や機能の喪失と老化という厳しい現実に直面してウツ傾向になる人が少なくありません。そうすると、ますます動かなくなります。動かさないことで関節はさらに可動域が狭くなり、滑らかさが減少し、筋力が低下するという負のループに陥ります。そこからいよいよ歩行困難になると、加速度的に衰弱が進行します。

筋骨格系は、家にたとえると、柱や鉄骨が骨。板材などの壁が筋肉です。肥満の人は、柱や鉄骨はボロボロで板材は薄く脆くなっている家の屋根に大雪が積もっている状態です。家のあちこちにひずみがでて痛くなってきます。長年積もった雪かきは、一朝一夕には終わらない。

いっぽう、運動しなさすぎで筋肉も栄養も虚弱なかたはもっと心配。柱や鉄骨や板材がペラペラで薄く脆くスカスカになり、雪どころか自分の家の屋根さえ支えられなくなっている状態です。「きゃしゃなほうがかよわそうに見えるし、守ってもらえそうだし女らしい」なんて喜んでいる場合じゃない。そんな身体は要介護になる最短コースです。

潰れたり傾いたり壊かけている家の工事は、本人にしかできません。周りが励まそうが、叱咤しようが、褒めようが、やらないひとはやりません。周りにできることは、結局見守ることだけです。

ついでに言いますが、「衰えたのは筋力だけで、ほかは超健康」なんてことはありえません。どこかが衰えていれば、本人の自覚の有無にかからわず、脳も骨も筋力も感覚器も神経系も、全身的にまんべんなく全てが衰えていきます。肝心なのは、加齢と老化は完全にイコールではないということ。加齢は全ての人に平等に訪れますが、老化の進行とその度合いは、個々の生活習慣で変わるのです。

数か月どころか年単位であらゆる生活習慣を改善する覚悟が必要です。生活習慣改善の計画と実行に、最も必要なのは知性です。しかし60代まで何も自分を省みてこなかった人は、そもそもそこが弱いことが多い。だからツケが回ってきているわけですね。でも改善しないとよくならない。以下、堂々巡り・・・。

続きは明日。