体力の衰えより早く来る「感情の老化」は脳の老化 - 2019.12.09
今年も残り3週間になりました。
運動不足の生活が続き筋力が低下すると、免疫力・気力・体力・脳力のすべてが落ちていきます。
新しいことに挑戦する意欲が湧かず、変化を避けたくなる気持ちは、実は「脳の老化」が始まっているサインでもあります。
運動指導者の友人によると、エネルギーや生命力が低下している人ほど
「疲れるからイヤ」
と言いがちなのだそうです。
けれど、筋肉を増やしたり体力を底上げするには、ある程度“疲れる刺激”が必要不可欠。
疲れるほど動かさないからこそ、ますます疲れやすくなり、気力も落ちていく。
つまり、「疲れたくない」という姿勢は、現状維持ですらなく、ゆるやかな後退のはじまりです。
「疲れない程度」のことだけを続けて「運動したつもり」になっても、身体も脳も活性化しません。
結果、新しい刺激を避け、保守的な生き方が定着すれば、心身ともに衰弱していくのは当然といえます。
溌溂とした人に共通するのは、適切な負荷をかけ続けることで、生命力の源泉を絶えず循環させている点です。
サロンでお伝えしている少し辛口の本音を、あえて書きます。
チャレンジを避け続ける人は、これからの社会では「選ばれにくい」存在になっていくでしょう。
フリーランスであってもサラリーマンでも、主体的に学び、行動し、改善を重ねる人こそ、信頼と仕事を得られます。
雇用の場面を想像してみてください。
1)新しい仕事や課題に前向きに取り組む=日常的にトレーニングを継続し、自己管理ができる人
2)慣れた業務しか受けたがらない=少し難しい運動や提案も拒み、自分でできる努力をしない人
雇用主はどちらと仕事をしたいでしょうか。もちろん、1)です。
他者へ要求する前に「自分はどうか?」と振り返ってみること。これは、大人の最低限の自律です。
■「感情の老化」は40代から始まる
イライラが続く、やる気が湧かない、落ち込むと長引く。
こうした変化は、体力の衰えより先に訪れる「感情の老化」の兆候です。
鍵を握るのが「前頭葉」。
加齢で脳は萎縮しますが、その中でも前頭葉は最初に機能低下が起きやすいと言われています。
早い人では、40代から萎縮が始まるという報告もあります。
前頭葉が弱り始めると、
・意欲が湧かない
・怒りのコントロールができない
・柔軟な思考ができない
などの変化が目立ってきます。
しかし、「老化が始まった」と気づいた時点で、まだ間に合います。
行動によって進行速度を緩め、脳の可塑性を保つことができます。
■感情の老化は、全身の老化を引き金にする
意欲が失われると、身なりを整えることが面倒になり、外出や運動を避けるようになります。
結果として体力が衰え、さらに外に出なくなる──という悪循環が起きる。
これは、心身の老化を一気に進めてしまう危険な流れです。
50~60代以降の生き方は、「感情の老化」にどれだけ逆らえたかによって大きく分かれます。
生き生きと働き続ける人と、早々に活力を失ってしまう人。
差がつくのは、日々の“小さな行動”です。
■脳の老化を助長する言葉
「もう年だから」
「面倒くさい」
「疲れた」
「でも」「だって」「どうせ」
こうした言葉が口癖になっているなら要注意。
それは、自ら脳の老化を加速させているサインかもしれません。
もし野生の世界なら、弱りきった動物は真っ先に淘汰されます。
文明の恩恵で長寿の時代を生きられる私たちだからこそ、「自分を甘やかして老化を放置するリスク」を冷静に見つめる必要があります。
■人生は二択
老いに身を任せ、非生産的で陰鬱な未来を辿るか。
自己管理と挑戦で、しなやかに変化へ適応し続けるか。
どちらに向かうかは、自分で選べます。
私の周りには、半身麻痺や車椅子生活でも挑戦を続ける人がいます。
一方、健康な体と時間に恵まれていながら、不平や愚痴をこぼし、現状に甘んじる人もいます。
壁にぶつかるのは、挑戦している証。
退屈のかわりに、成長や充足を選べるかは自分次第です。
「今より少しだけ良くなりたい」
そう本気で願うなら、まず一歩動くこと。
フラストレーションを含めて、成長のプロセスそのものを引き受けられるのが大人です。
■残り3週間をどう過ごすか
今年は、まだ3週間もあります。
ただ時間を消費するのではなく、「少し負荷をかけた行動」を積み重ねてみませんか。
未来は、今日の選択の積み重ねでつくられます。
感情の老化に気づいた瞬間こそ、立て直しの好機。
日々、できることを丁寧に積み重ねていきましょう。
