ロレッタブログ

生活不活発と廃用症候群 - 2020.04.16

在宅ワークで運動量が一気に落ちたことに危機感を覚えて、自宅での運動を始めたという方が多いと思います。早い方は2月から外出を自粛されているので、行き詰まりの悲鳴のような声が、あちらこちらから聞こえてきています。

  • これまで何にも大したことやってこなかったから、理想に全然追いつきません!筋肉ってこんなにもつきにくいんですね。甘かったです。
  • 在宅になったら1日中家の中にいて200歩も歩いてなくて、本当に怖くなりました。これがずっと続いたら絶対に寝たきりになると思いました。
  • 当日に急な飲み会の誘いがはいって、ピラティスを当日キャンセルしてたりしたけど、あれに時間もお金も使うぐらいなら1回でも多くセッションしに来ていればよかった。
  • 甲原さんみたいに6km速足で歩いてみようとしたけど、途中でもう脚が疲れてしまって、速足が続きません。歩くというよりも、ようやく歩いているみたいな感じになってしまい・・・。そのあとの数日は、足も棒のように固く、お尻も筋肉痛で、ガタガタになってしまったのですが、これが運動をやってこなかったツケですね。なかなか甲原さんのようにはいきません・・・。

きっと、私が常日頃から「今日が人生で最も若い日だから、今日から、今から始めたほうがいいですよ。みなさん行き詰ってからようやく後悔しているけれど、そんな風になってほしくないんです。1日でも早く始めた方が」と言っていた意味が、痛いほどよくわかっているようです(笑)。

自分の心身からドクドク血が流れ出てしまうようなとことん痛い思いをしないとわからないことって沢山あると思いますが、健康はその最たるものでしょう。

付け焼刃で1か月間とりあえず動いてみた身体と、10年20年と毎週頻回のペースで運動を続けてきた身体とでは、その全身の質には雲泥の差があります。60歳で元気な人は、60歳でいきなり元気になったわけではなく、ずっと身体を動かして使い続けているからこそ60歳でも元気なんです。59歳まで大してなにもしてこなかった人が、60歳になってから急に元気で動けるようにはならないのです。耳に痛く聞こえる方もいらっしゃるとは思いますが、これが現実です。だからこそ、気づいたら今から、ひたすら継続あるのみ、です。

では、身体は使わないとどうなるのでしょうか?「廃用性萎縮」や「廃用症候群」については、これまでも記したことがありましたが、酒井Medの公式サイトにとてもわかりやすい解説をみつけました!さすが酒井医療ですね!

今日はそちらのページをご紹介します。ぜひリンクもご一読ください。このまま運動から逃げ続けた自分と地続きにある、近い未来のお話だと思って読むことをお勧めします。なかでも、委縮による変化のうち、最初の4項目の衰えは「運動不足の人あるある」だと思うので、抜粋して掲載します。

→●廃用症候群とは 酒井医療株式会社

1. 筋力低下と筋萎縮

不動により筋蛋白の合成低下、分解亢進により生じる。特に大腿四頭筋や殿筋群、腓腹筋など重力に抵抗して働く筋肉(抗重力筋)に強く起こりやすいとされます。
最大筋力の20%未満の活動では筋萎縮や筋力低下が起こりやすいとされています。
安静臥床のままでは、約1〜3%/日、10〜15%/週の割合で筋力低下が起こり、3〜5週間で約50%に低下すると報告されています。

2. 骨萎縮

不動により骨吸収亢進が起こり骨萎縮が進行します。低栄養状態やステロイド治療などの骨量減少を促進する要因が合併している例では骨萎縮は起こりやすいとされています。

3. 関節拘縮

不動により、関節周囲の皮膚や筋肉、靱帯、関節包などの軟部組織が短縮や癒着し、関節可動域が制限されます。実験的には、関節固定を行うと、3日目に顕微鏡レベルで拘縮が生じ、7日目には臨床的にも拘縮を生じると報告されています。

4. 運動耐容能力の低下

酸素運搬機能に不活動が影響すると全身持久力低下が起こり、脱力感や易疲労性が生じます。

https://www.sakaimed.co.jp/knowledge/elderly-people-rehabilitation/rehabilitation/reha03/

「4」の「運動耐容能力の低下」というのは、ちょっと歩いたり立つ時間が続いただけで「疲れた。座りたい。休みたい。」となってしまうということです。

具体的な例では、みなさまからよく伺うお話では「友だちと旅行したら、観光とかショッピングでちょっと歩いたら、その友達が休憩したい、お茶して休みたいってしょっちゅう言ってきて、ペースが全然合わなくて困った。びっくりしたわ」というケースがあります。

要介護や筋力低下による寝たきりのことなど「まだ遠い話だし、まさか自分がなるわけない」と思いがちな30代、40代のうちから、筋力や体力といった重力に抗って活動する身体能力の差は、実はジワリジワリとこんな風に現れているのです。特に今はインターネットで何もかも済ませられる傾向に拍車がかかっているので、この在宅ワークが浸透する間に、早いかたでは10代や20代という若い年齢でもこのような虚弱の変化が体に及んでいるかもしれません。

この地球で生きる限り、1Gの重力に抗いながら活動することから誰一人逃げることはできません。

しかしこの重力に抗うための基本である、立つ→歩く→三面で動く、という動作に対して、少し動いただけで耐えられなくなっているのです。つまり、1Gの地球上で生きられる身体ではないことを意味します。そのような身体の将来は、「自力で立ち、移動する」ができなくなりますから、すなわち「車いすか寝たきり」となります。

あなたはどちらになりたいですか?それとも、どちらになりそうでしょうか?