ロレッタブログ

トレーニングは心身の余裕を作る - 2020.09.19

何の目的でエクササイズをするかは人それぞれですが、意外と目的がぼんやりしているのが一般の方の「あるある」です。

プロスポーツ選手なら勝つためのトレーニングが必要ですし、体重過多による生活習慣病のかたには治療の一環として痩せるための運動と生活習慣全般の見直しが必要でしょう。マラソン大会で記録を伸ばしたい、ゴルフのスコアを上げたい、ダンスやバレエをよりもっと美しく踊れるようになりたい、ヨガをもっと上達したいなど、その目的は様々ですが、肝心の目的がぼんやりしたままでは人は生活習慣としての運動を続けるのは難しいのではないかと感じています。

一般的な10代や20代の女性の場合は、全身を引き締めてスタイル良くなりたい、でしょうか。もしかしたら、30代にもそういう方がいらっしゃるかもしれませんね。

私がお客様と接していて感じているのは、30代後半や40代前半になると、少しずつ「前よりも疲れやすくなった」と実感する機会が増えて、健康な身体を維持するためにこの年代からエクササイズやトレーニングに取り組む方が少しずつ増えてきます。聡明なかたほど、20代後半や30代前半というまだ若いうちから自分の将来に想像をめぐらし、エクササイズに真剣に取り組みはじめます。

40代後半や50代前半になると、運動と呼べるもをあまりしてこなかったかたや、していても頻度が少なすぎたかたは、だいたい平均して20歳のころに比べると筋肉量は20%以上減少しています。したがって、そこから自分のお尻を叩いて運動を始めるのは、とてもハードルが高く険しい道になります。なぜならば、頭ではわかっていても、脳で理性をつかさどる前頭葉も老化が始まっており、体も活力自体が既にかなり低下しているからです。更に仕事もプライベートも多忙な年代ため、運動のための時間や予算配分よりも、ついストレス解消や気分転換の旅行や呑み会や食事会やショッピングを優先してしまい、体力低下を自覚して不安は高まり自信を喪失している内心に向き合うことができぬまま、ズルズルと何年もやり過ごししまうケースが多いのです。

しかしながら、稀にですが、腹をくくって奮起して真剣にトレーニングに取り組むかたも現れます。

前者と後者の二極化は、この年代から加速度的に進行します。断言しますが、この年齢から重い腰をあげて(←本当に重量も増えていることが多い)運動に取り組むのは、相対的にきつい道のりになります。しかし、頻度を守って毎日コツコツ取り組めば、必ず身体は変わります。ちなみに、当サロンではありがたいことにもともと聡明で根気よく取り組まれるインテリジェンスの高いお客様が多いので、私もとてもやりがいがあります!

前者が50代や60代になると、介護や孫の育児など用事はさらに増え、そんな状態の身体で慣れない用事をこなすのですから、筋力低下による怪我や故障で通院やリハビリが必要になり、さらに健康状態が悪化して痛みや苦しみでよりメンタルが落ちていく・・・というかたは、少なくありません。筋力低下で長時間立ったり、膝をそろえて背筋を伸ばしてというふうにちゃんと座っていられない人も多いです。そうなると、頻繁に「あちこち痛い」とか「具合が悪い」「疲れやすい」と口にする人をなかなか外出に誘うのも申し訳なく感じる人も現れるので、周囲からの社交のお誘いも減り、社会定期に孤立が進みます。

70代以上の高齢者の孤立しやすさは、同年代の方が亡くなっていってしまうという事情もありますが、周りの方にお話をうかがうと「本人の健康状態が良くないと、誘う側もひょっとして具合を悪くしないかって気を遣うから、誘いづらいのよね。何かあると申し訳ないでしょう」という、思いやりだったりもするようです。

目的がどんなものであれ、トレーニングは積立貯金のような性質を持っているので、貯金をもじって「貯筋」と言われたりもしますが、これは駄洒落ではなく、まさにその文字通りなんです。毎日コツコツ積み上げて筋肉を育んできた成果が、持久力や柔軟性や俊敏性や可動性や協調性として現れます。貯金と貯筋の違いは、お金は他所から借りることはできても、筋肉は借りることは決してできない、ということ。

運動ができるぐらい筋力や体力や時間にも余裕があれば、心にも余裕ができますし、運動することで筋力や体力が向上すれば、めったなことでは疲れないので、こなせる用事も増えるし、長時間集中力も持続できるので生産性も高く保てます。そうした日々を過ごすことがさらに心の余裕につながります。そして、運動をコツコツ続けるという行為の積み重ね自体が、誠実に物事に取り組む忍耐力や向上心などのメンタルも培います。何か不測の事態があったときにやり抜く力が備わっているのは、運動をほとんどしてこなかった人と運動してきた人では、後者の方に軍配が上がることが多いように感じています。

誰もがトレーニングや運動をしてまで心の余裕を絶対に育まないといけない、というわけではありませんが、体が思うように動かなくなると、心もそれにつられて調子を崩しやすいのは事実です。体が元気で、身体能力に余裕があることは、心を良好に保つ余裕になるだけではなく、怪我や病気の予防にもつながります。

コロナ禍でも先進国が長寿の時代であることに変わりはありません。なんとなくぼんやり運動に取り組んでいる人は、今一度ぜひその目的を明確化してみることをおすすめします。