ロレッタブログ

か弱いくらいが可愛い? - 2020.10.12

摂食障害の人を見ていて私が受ける印象は、他人からのタッチを拒絶することを、まるで胃の入り口を閉じること(拒食)で表明しているような感じを受けます。ものすごく周りの人に気をつかうけれど、コミュニケーションを徹底的に拒絶したかたくなさがある、という感じでしょうか。またそれとは逆に、過度のタッチ(暴飲暴食)で埋めようとする人もいます。また、拒食と過食の両方を繰り返している人も多いです。

スキンハンガー

・・・と以前のブログで述べましたが、摂食障害は結局は精神的自立と成長の問題だと思うのだけど、いくつになっても依存か利用かでしか人と関われない、対等な大人同士の関係性が成立しない人って、少なくないですよね。人に弱みを見せられない完璧主義は未成熟の証で、「周囲の注目を集めずにはいられないほど完璧で理想的で誰からも好かれて愛される自分」なんてものは、そもそもファンタジーの世界にしか存在しないのだけど、それを追い求めて「山ほどの謎のマイルール」に縛られている人は、女性に特に多い印象です。劣等感の塊だから、他人から変化がわかりやすいルッキズムや学歴とかブランドも熱心に好む人が多いかな。実際、こういう仕事をしているとよくお見掛けします。

いまでは関連書籍も沢山出版されていますが、摂食障害を扱った小説は、まだそうした症状があることすらあまり知られていなかったというか、まだまだ聞きなれず珍しかった1980年代に書かれた、松本侑子さんの「巨食症の明けない夜明け」でしょうか。

私が読んだのは、高校生か中学生ぐらいのころだったかな?

ということで、とてもわかりやすくて素晴らしい当事者の文章をみつけました。

第53回NHK障害福祉賞 優秀作品
~第1部門~「今の私のままで」

著者 : 竹口 和香 (たけぐち わか)  東京都

はじめに

摂食障害とは、食行動に何らかの異常が見られる精神疾患である。本稿では、五年間に及ぶ私自身の摂食障害の体験、そして今の心情について記述する。

可愛(かわい)くなりたい女子高生

きっかけは、当時通っていた高校での「ダイエットブーム」。私もそのブームに乗った年頃の女子高生のうちの一人である。もともと学校でも目立つタイプで他学年や他校にも顔が知れており、手前味噌(みそ)だが同性に憧れられる事も少なくはなかった。自分にも自信があり、ただその一方で「私は完璧な自分でいなきゃいけない」という意識は人一倍強かったのかもしれない。お弁当を少し減らしたり、お菓子を我慢してみたり、そんな身近な方法から私のダイエットは始まった。二週間もすると、太ももの間の隙間が少し広くなって、顔がしゅっとして目が大きくなった気がした。学校へ行くと
「あれ、痩せた? 羨ましい!」
と何人もの子に声をかけられた。昨日の自分よりも可愛くなれる簡単な方法、それが、私がダイエットに抱いた印象だ。学校でのダイエットブームはというと、一か月もすればブームはとうに過ぎていた。それは「私だけが可愛くなれる絶好の機会」だった。制服のスカートのウエストが少しゆるくなって、二回折りしていたスカートもいつしか三回折りになっていた。

加速する自己コントロール

次第に私は自分の中でダイエットルールを作るようになる。毎日携帯のメモ帳にその日の摂取カロリーと運動量を記載し、一日の摂取カロリーは一〇〇〇キロカロリー以内、寝る前の筋トレ、毎日三〇〇キロカロリー以上の有酸素運動、半身浴と、私の生活はダイエットに支配された。家族で食べる夜ご飯も、自分のご飯は一〇〇グラムを量って盛るようになり、おかずもメインはほとんど口にしなかった。当時、休日にアルバイトをしていた私は、朝ごはんは手のひらに乗るような小さなパンとカロリーカットの豆乳を食べアルバイトに行き、昼休憩で一〇〇キロカロリーのゼリーを飲み、夜は食べずに家に帰る生活をしていた。母には、「ご飯は食べてきた」と嘘(うそ)をつくようになった。平日も、「友人とご飯を食べてくる」と帰宅を遅らせて夜ご飯を抜くこともあった。家に帰るまでは当てもなくウォーキングをしていた。一日の摂取カロリーが一〇〇〇キロカロリーを超えると明日起きて体重が増えているのが死ぬほど恐ろしくて、口に入れて飲み込まずにシンクに吐き出した。この頃自分が異常だとは少しも思っていなかった。私にとっては、ただ細く可愛くなるための手段だったのだ。そんな生活を続けて、私は半年で八キログラム、一年弱で十三キログラム体重が落ちた。暇さえあれば食べ物のカロリー表を眺めているせいで、いつしか目の前の食べ物が何キロカロリーあるか、見るだけで頭に浮かぶようになった。高校二年が終わる頃には、体脂肪率十三パーセント、低血圧、無月経、慢性胃炎、便秘になり、体にわかりやすく異変が起きていた。毎日胃薬を二種類飲んで、下剤は一度に十錠近く飲んでいた。学校の木の椅子がお尻の骨に当たって痛む。昼寝をしないと一日体力が持たなくなった。でも、これくらいがか弱くていい。か弱いくらいが可愛い。「みんなが細くてかわいい私に注目してくれている」、その感覚が気持ち良くてたまらなかった。

つづきはこちら。セロトニン分泌が調整されてしっくりくる方策と出会えてよかったですね。ホットヨガとか、1日中やってる人も中にはいますから、「万人に合う」という解決策も、ないんですよね。

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