ロレッタブログ

肥満大国の胃切除手術 - 2021.01.31

最近リスニングの勉強もかねて、YouTubeでドキュメンタリー番組を視聴しています。肥満人工の多さはアメリカが最も有名ですがイギリスもかなり多いそうで、先日は病的肥満者に対する消化菅の切除、つまり胃の切除手術に関する放送を観ました。

https://youtu.be/G1lbnYFDYQM

 

https://youtu.be/SMS3EtZMp9E

病的肥満者の食行動はメンタルの問題の表れですが、たしかに独特の精神というか心理的な傾向の人達がそうなる印象があります。

というのも、私の友人でLA在住の数人(男性)は、ファストフードのメッカと車移動が欠かせない土地柄もあるのかもしれませんが、エコノミークラスに座れないぐらい太ったり痩せたりする人がいた(いるの)です。太るのは失恋や離婚後、そして新しい恋人や再婚ができたら痩せるという、非常に分かりやすい変化をするのです。

そのうちの一人は、現地の友人ですら「心臓に負担がかかりすぎだよね」と突然死を心配するほどでした。が、数年ぶりに再会したら、随分スッキリ!本人に聞くと、「胃の切除手術を受けた」らしい。胃を物理的に小さくするのだから、食物が入る容量が減るので満腹になりやすいでしょうから、自ずと食物摂取量が減るのでしょうね。まさに最終手段という感じですが、おそらく掃除機並みに手あたり次第口に詰め込んで、お腹がはちきれるぐらいか吐く一歩手前まで食べないと「食べた」と感じられないレベルだったと推測するので(むしろそうでもないと、そのレベルまでは太れなさそうだ)、突然死などの健康リスクを軽減するためにも必要な手段だったのでしょうね。

しかし、これを読むと、「じゃあ私もいっそそのうち・・・」みたいにだらしがない発想が頭をよぎる人もいるかもしれませんから、その怠け心を打ち砕く情報も今日はあわせてご紹介しますね(笑)。


ざっと調べてみたところ、高度肥満症患者に対する外科療法の対象者は、既に内科的な病気を発症しており内科的な治療も受けているが、改善が見られない患者で、かつBMI 32以上の条件が課されます。では、BMI 32はどのぐらいかというと、身長163㎝の人なら体重が86kgをオーバーしてようやく対象者入りです。

睡眠時無呼吸は血圧にも心臓に負担もかかるので突然死のリスクも高いし、糖尿病も足が壊死して切断したり失明してからじゃ遅すぎますものね。糖尿病はその恐ろしさをもっと啓蒙するためにも、『全身血管ボロボロ病』に病名を変更したほうがいいんじゃないかと思ます。内科的疾患だけではなく、体重を受け止める骨組みや関節も変形しそう。BMI 32は生命が危険にさらされた異常事態です。


BMI 106のこの女性は自分の体重で肺がつぶれて、鼻から酸素を供給しないといけないらしい・・・。日本人ならこのレベルに至る前に糖尿病を発症しそうですよね。

https://youtu.be/G2jDTed12dg

肥満外科手術の手術適応

当院では日本肥満症治療学会のガイドライン(2013年版)に準じて手術適応を検討します。

手術適応

・年齢が18歳から65歳までの原発性(一次性)肥満
・内科的治療を受けるも十分な効果が得られず、次のいずれかの条件を満たすもの。
1) 減量が主目的の手術適応は、BMI35 kg/㎡以上であること。
2) 併存疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症、肝機能障害、睡眠時無呼吸症候群など)治療が主目的の手術(適応は、BMI32 kg/㎡以上であること。
ただしこの適応での手術は臨床研究としてのものであり、厳格なインフォームドコンセント、臨床登録および追跡調査などを必須とする。

→2020年の保険条件改定に伴い、当院での手術適応は原則、保険適応を満たす症例に対応しています。COVID-19の流行状況により、肥満手術を含む良性疾患手術を中断、延期することがあります。

保険診療による腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の適応

・6か月以上の内科的治療によっても、十分な効果が得られないBMI35 kg/㎡以上の患者であって、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、または睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上を合併していること。

・6か月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られないBMIが32.5~34.9の肥満症およびヘモグロビン(Hb)A1cが8.4%以上の糖尿病患者であって、高血圧症、脂質代謝異常、または閉塞性睡眠時無呼吸症候群(AHI≧30の重症例)のうち1つ以上を合併していること。

自治医科大学付属病院 外科学講座  消化器一般移植外科部門

→●日本における高度肥満症に対する安全で卓越した外科治療のためのステートメント2010


せっかく長寿が可能になったのだから、楽しようなんて虫の良い考えは捨てて、良い生活習慣と人間関係を築いて、お互いに良い刺激を与え、励まし合い、健康を保って生きたいですね。