「痩せていれば病気にならない」は誤解 - 2021.04.06
着々とフレイル→ロコモへと進みつつある方が多い現代ですが、「油断しているなあ」と感じるのが、痩せた人。痩せすぎも、太りすぎと同様に栄養失調なのはご存じでしょうか。
標準体型よりも少し細身だと、痩せ願望が高い現代社会では女性からも「本当にスリムだよね」「ウエスト細いね~」などと言われるので、ご本人も「私はスタイルが良い」と自負していたりします。が、実はこの気が緩んでいるうちに手を打たなければ、30代から体は緩やかに衰退していきます。筋力低下が顕著な50代になると、明らかにお尻やバストが極度に垂れ、ウエストのメリハリがなくなり、筋力と筋量と神経系の低下でバランスを崩しやすい。将来は転倒→骨折→寝たきり要介護コースの予兆がみられます。痩せた女性は、筋肉量も筋肉の質も低く、高血糖をおこしやすいのです。
ただし、ご本人はご自分をまだ「自分は若い」「私はきれい」「自分は他の女性よりもイケてる」と過剰な自負をしているケースが多く、これが近い将来の命取りにつながります。もっとはっきりいうと、運動の必要性や、運動量の増加の必要性(←ちょっと歩く程度では全然足りないから身体が変わっていないく)をいくら説いても、ちっとも耳を貸さないんですね。「もっと動こう!」みたいな記事を目にしても、ご本人の回答は一様に「歩いてます」と言うパターンが多く、しかしテクテク歩くぐらいの運動量では負荷も強度も足りないので、身体がちっとも変わらないのです。なのに、それでよいと思っていて、それ以上の運動を提案したら、露骨に嫌な顔をする始末(笑)。
運動不足の人ほど、身体の関節も筋肉も長年使わなさ過ぎてまともに動けないし、動かないので、動くようになるまで毎日ご自分でも動くように、脳と筋肉のコネクションを意識しながら、負荷・強度を高めた運動を日々継続するしかないのですが、この「自分のためのもうあとひと頑張りができない人」が非常に多いです。
「もう生きることに飽きちゃったのかな?」と思ったこともあるのですが、どうやらショップ店員や男性にちやほやされるのは好きらしいので「ちやほやされて気楽に生きたい。しんどいことはぜーんぶ親と男に任せるの。だって私は一生キレイで老いないはずだから!」みたいなビジョンなのかも?思想信条は個人の自由ですが、そんな身体とメンタルで、一体この先どうやって生きていくのでしょうね?親は自分より先に死ぬもので、パートナーも自分より先に死ぬケースが多いわけで、一生庇護のもとに生きられるわけではないのは事実として誰もが知っているはずで、人生100歳までのらりくらり遊んで暮らせる人は決して多くないはずで、それができたとしても脳に刺激が無い生活は認知症になりやすく、楽をする生活は四肢も脊柱も動かなくなりやすく、子どもは子どもの人生があるのにも関わらず「子どもが面倒みてくれるはず」と身内の巻き添え前提で庇護されると思っているならそれは人非人。
ですから、誰と夫婦になろうが家族になろうがともに住もうが別居しようが、自分は自分一人で生活の始末ができてなんぼが前提のはずで、それが精神的かつ経済的な自立と自律だと私は思うのです。が、そういうことは一切考えてこなかったのかもしれません。「考える」ということをしていないのだと思う。お金があっても、マンションや戸建てがあっても、身内がいても、それは自分の健康な心身の代替には決してならないのです。人生100年時代に、骨と筋肉と脳が機能しなければ話にならないのです。そして、人はなかなか簡単に死なないのです。
ご本人の現状への危機感と自覚のなさに、相対しているこちらのほうが心配になります。「自分の頭で考えている人」と「何も考えてこなかったから考えることすらできなくなり、情報に反応しているだけの人」が二極化しています。また、こんな風に描くと、慌てて何かをはじめて、毎度の通り結局何1つ続かない始末‥という方が非常に多いのですが(苦笑)、私も含めて自分の人生のつけは自分が払うことになります。要介護になる可能性も限りなく高い体形が、「痩せ」も「肥満」も同様です。
痩せた女性研究