ロレッタブログ

青春漂流 立花隆 - 2021.06.30

立花隆さんがお亡くなりになりましたね。大瀧詠一さんが亡くなった時と、似たような感覚になりました。

というのも、このお二人にゆかりの深い方が、私の独立の背中を押してくれて当サロンの名付け親になってくれた方なのです。いや、名付け親というか、なぜかサロン名を勝手に決めてくれていた、というのが正確な表現ですが(笑)

様々な職業の11人のインタビューが収録された「青春漂流」を、人生のつらい時を支えてくれる一冊として位置付けている方は多いようです。私にとってのこの本は、たくさんの思い出も伴うひときわ存在意義の大きい一冊です。

「人生における最大の悔恨は、自分が生きたいように自分の人生を生きなかったときに生じる。
一見いかに成功し、いかに幸せに見えても、それがその人の望んだ人生でなければ、その人は悔恨から逃れることができない。反対に、いかに一見みじめな人生に終わろうと、それが自分の思い通りの選択の結果として招来されたものであれば、満足は出来ないが、あきらめはつくものである」(抜粋)

私が書いた本はかれこれ100冊近くあるから、とっくに絶版になった本も多いが、ロングセラーとして延々売れつづけている本もかなりある。先立って、アマゾンで調べてみたら、ロングセラーの第1位が『知のソフトウェア』(講談社)で、第2位が『ぼくはこんな本を読んできた』(文藝春秋)だった。第3位には『青春漂流』(講談社)が入った。

この本は85年に刊行されて、もう20年以上たつが、いまも文庫本で延々売れている。数多くの高校で高校生の読むべき本として推奨されたり、読後感を書かされたりしているかららしい。この本の登場人物たちは、不思議にみんなあるとき落ちこぼれだった人々で、エリートコースはもちろん、ナミのコースにも乗れないで苦労したことがある人々だった。彼らは、あるとき、何らかのきっかけで突如奮起して人並み以上の努力を重ねて自分の手で成功をつかみとっていった人々なのである。そういうところが若い人々に受けているらしい。

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/060502_20year/index.html

・・・とこれを読んで思い出しました!そうそう、たしかに「フレンチで皆さんとお会いすることになった」とか言っていたような記憶が!あの頃の自分を振り返ってみると、斎須シェフのコートドールを自分も訪れて楽しむ日が来るなんて思ってもみませんでした。

もうあれから15年が経ったのですね。記憶の引き出しのディティールがよみがえってきて、とても懐かしい気持ちになりました。私はあのころの期待に応えられるようなプロフェッショナルになっただろうか、と、今でも時折自問自答します。私の人生にとって、おそらくもっとも重要であり大切なターニングポイントとなった出会いでした。この本を世に送り出してくれた立花隆さんには、本当に感謝です。