ロレッタブログ

審美系競技と摂食障害 - 2021.09.28

COVIナビで知った素敵すぎる才媛(というか天才)アメリカで小児精神科医として活躍されている内田舞先生。フィギュアスケーターの長洲未来さんとの対談動画が公開されていたので先月はそれも視聴していました。お二人の対談の要約はこちらに。↓↓

→〇FRaU 14歳で背負わされた重圧…フィギュア銅メダリスト「鬱症状」の告白

その動画の続きともいえる先日放送されていました。内田先生と長洲選手も含めて今回は4名の座談会です。私はスポーツ全般の鑑賞には別段興味はないのですが、審美系の競技に(非常に多い)深刻な摂食障害を克服したグレイシー・ゴールドに興味を持ち、インタビュー動画をさっそく一通り視聴してみました。(おそらく現在もカウンセリングなどのフォローアップは継続中と思われます)。

小柄で痩せていればいるほど高く飛べ、速く回転できるのだから、バレエやフィギュアはモデル業同様に摂食障害と隣り合わせの世界ですよね。性格も内向的でストイックで完璧主義の人が多いようです。まだ脳も発達途中の10代のうちに、世界中から自分の容姿を注目され、それに関する批評を読み、過酷なトレーニングを重ね、トレーニングにも高額な費用が発生し、試合にでればまた得点が付き、結果がどうであろうとインタビューにさらされ、スポンサーと大金が動く投資対象にもなる世界です。これを10代の女の子がたった一人で受け止めるのは、両親が側についていたとしても、あまりにもきつすぎるでしょう。

下の動画によれば、彼女がオリンピックに向けて大量の下剤の連用を続けていることに周囲は気づきながらも、誰一人として彼女の行為を止める人はいなかったそうです。えげつなさすぎる・・・。内田先生の上記の動画でおっしゃっていますが、明らかに彼女たちはまだ子どもの年齢です。その上でリスペクトして接すべきと思います。

ありとあらゆる下剤を大量に服用し、処方薬を乱用し、カフェインをがぶ飲みして何も食べずにただひたすら体重を落とし続けて到達した20歳の頂点がこちら。背景を知って推測するに、この超人的なパワーは飢餓状態で狂ったように分泌された脳内物質と生命の危機にある肉体の『最後の雄たけびのような舞』だったかもしれません。ランナーズハイでよく知られているエンドルフィンは、数キロやせた程度ではなく、深刻な飢餓状態つまり生命が危機にさらされたときに大量に分泌されるといわれているのです。生命維持に異常をきたすほどの減量と栄養失調に至ると、このエンドルフィンの作用で飢餓感はなくなり、ハイパーアクティブな躁の状態になります。しかしこれはあくまでも脳が脳内麻薬漬けでラリッて起こした錯覚なので、彼女がこの後何年もに渡り深刻な自殺願望を伴う鬱病に陥り、リハビリ施設で療養したのは無理もない・・・・。深刻な拒食症は20%が死に至るといわれています。

私は職業柄、エステやピラティスのクライアントも取引先もスクール業の生徒さんたち女性ばかりですし、大学も女子大だったので図らずも女性観察歴がずいぶんと長くなってしまったのですが、30代、40代、50代と年齢を重ねても10代の頃の容姿コンプレックスや当時の不快な出来事にいつまでも執着して自分で自分を根腐れさせていく人は少なくないです。不快な出来事や自分の不満足感の全てを当時のせいにしてきていると、無くてもいい卑屈さとか偏屈さが染みついてしまって今更どう手放していいかわからないのかも?と推測します。

そういう人たちは、たとえばこのグレイシーのように辛い時期を克服して自分らしさを取り戻した(しつつある)人たちのこうしたインタビューにたくさん接すると、今よりも少しだけでも目線を上げて、前を向いて生きられるきっかけになるかもしれませんよね。未来を見ずに過去に執着しつづける人にハッピーは訪れませんから。