ロレッタブログ

映画「素晴らしき、きのこの世界」 - 2021.10.07

吉祥寺では、アップリンクで公開中の映画「素晴らしき、きのこの世界」を鑑賞してきました。毎晩必ず食べるキノコ。普段食べるのは、エリンギ、しめじ、えのき、まいたけ、平茸、たもぎ茸、マッシュルームなので、アガリグスやレイシなど薬効高そうなキノコのことはまだよく知らないのですが、出演者に「人間は料理をする」のマイケル・ポーランの名前もあり、わくわくしながらアップリンクに向かいました。

きのこが植物と動物の間に位置するって、ちょっと面白いですよね!抗生物質の成分には、きのこ由来のものがあるのだそうです。ア毒茸もあれば薬茸もあり、ルックスも個性的で考えてみれば不思議な生物ですよね。環境汚染の浄化にまでキノコが役に立つなんて、地球上に初めて誕生した生命体の菌類が現代の地球を汚染からも救う的な展開が壮大・・・。

キノコの成分と幻覚の話は外せませんよね。米西海岸の1960年代ヒッピーカルチャーの流れに連なるヒューマンポテンシャルムーヴメントの流れが思い起こされますが、映画で出てきたのはやっぱりエサレンでした。ですが、ここを深堀りしていくとゲシュタルト療法とかアレンギーンズバーグとか独特なニューエイジ&ヒッピーカルチャーがきりがないほど出てくるので、映画も私もそこは省略(笑)。

キノコを大量摂取したり、キノコの成分を濃縮した錠剤を摂取することによる超常体験の話も出てきて、被験者は真剣に癒されているのだとは思うのだけど、私は自分の外科手術の鎮痛でフェンタニル投与した時のトリップ体験を思い出してちょっと笑ってしまいました。おそらくフェンタニルの方がトリップ度としては断然に上だと思いますが、あれは乱用すると完全な廃人ゾンビ化、最悪の場合は歌手のプリンスのように死んでしまうので、パニック障害とかうつ病の患者さんにたった1回の投与で症状が回復するならキノコ由来成分の方がよさそうです。

ちなみにフェンタニルにはこの映画みたいな幻覚とか感覚過敏はなかったので、脳内では似て非なる部位を刺激しているのだとは思いますが、やはり根底にある恍惚感と時間感覚の超越と外界と内界との境界が揺らぐような感覚になるのは共通してるように思えました。この恍惚感のエピソードは、ジル・ボルト・テイラー教授が脳卒中の時に体験した感覚とも共通しています。

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)

脳科学者である「わたし」の脳が壊れてしまった――。ハーバード大学で脳神経科学の専門家として活躍していた彼女は37歳のある日、脳卒中に襲われる。幸い一命は取りとめたが脳の機能は著しく損傷、言語中枢や運動感覚にも大きな影響が……。以後8年に及ぶリハビリを経て復活を遂げた彼女は科学者として脳に何を発見し、どんな新たな気づきに到ったのか

映画では案内人的な役割を務める菌類学者のポール・スタメッツ氏は、自身の吃音がなんとたった一度の(大量の)キノコ摂取によるトリップ体験で消失したのだとか。心を寄せていた女性と初めて目を合わし、挨拶を交わすことができ、それ以来ただの一度も度盛らなくなったそうです。作中ではお母様のステージ4の乳がんが消失したエピソードも紹介されていました。