運動習慣化のコツ<つづき> - 2021.12.23
一番最後の6つ目の「真剣かつ徹底的に取り組み続けていればいつか訪れるブレイクスルーまで淡々と行う」が、日本人の女性はとにかく苦手です。流行に飛びついて、ラン、太極拳、ラジオ体操、ヨガ、加圧トレーニング、筋トレ、と手当たり次第に手を出し広げている人に問いたいのは、ではそれを1日何十分、週何回の頻度で、何年間継続しましたか?ということです。
「えーと、週1回を2年位です。たまに2か月ぐらい休んだりしてました」とかで、それも隣の人としゃべりながらやれる程度の運動強度や大して筋肉痛にもならない強度で「(疲れたから)やったつもり」になって、ロッカールームで友達とおしゃべりして、帰りも友達とカフェでスイーツとお茶で1時間半喋りまくって、移動は車で普段の買い物は宅配を使いまくって、和牛やとんかつやシュークリームやパフェやフルーツサンドや饅頭やドーナツ食べてビールとワイン飲んで、満腹の目安は「苦しいぐらい」で、他の思いつく運動は「電車で立ってます」程度で(←これが運動⁉)、「あー私の1日今日も充実してたわ!」と個人的に思うのは勝手ですが、じゃあそんなんで「引き締まった身体に変わるか?」って聞かれたら、そりゃ変わるわけがないですよ。食べて喋ってばかりの人が最もトレーニングしているのは口輪筋と咀嚼筋と胃袋です。
意外に思われるかもしれませんが、継続を前提に考えれば、当初の目新しさややる気や熱い気持ちはすぐに消えるので、そういうものに頼らないほうがいいんです。「初心忘るべからず」なんていう言葉もあるぐらい人は良くも悪くも忘れる生き物だから。目新しさもやる気も情熱もはじめのうちだけということを前提にすれば、ではくじけそうな時にどうやって続けていけるのかという対処法を、取りくみ始める前に考えておくことができるはずです。
ではどうやって続けるかというと、人間万事塞翁が馬の精神に倣って、日々の生活のなかでただ淡々とやるのが習慣化のコツだと思います。その淡々さはどのぐらいかというと、朝歯磨きしたり、顔洗ったり、髪の毛をブラッシングしたり、コップ1杯の水を飲むのと同じレベルです。朝起きて「なぜ私は歯を磨こうとしているんだろう・・・」、「どうして今日も私は顔を洗うのだろう・・・なぜ・・・」とかいちいち深遠な思考はしませんよね。虫歯になりやすいから磨き残しが無いようにもっと丁寧に磨けるようにしてみようとか、もうちょっとフロスをうまく使えるようになりたいから毎食後かけることにしようとか、洗顔のすすぎが不十分って甲原さんに言われたから、言われた通りもうあと20回はすすぐようにしようとか、よりディティールに関心を払う試行錯誤やトライ&エラーはしても、歯を磨き顔を洗い髪を梳き水を飲むというのは、口腔内と皮膚と毛髪の衛生と健康の維持と社会生活を送るために必要な最低限の清潔さを保つために必要な行為だからやるのであって、運動もこれと同等です。行為自体にいちいち悩まず、これをやると一度決めたら、自分のクオリティを上げることだけに専念すればいい。
たとえばですよ、情熱をあてにすると、隣にいるパートナーをみて「なんでこの人うちにいるんだろう。これ以上一緒にいる意味ってあるのかしら」とか考えこんで、新たなときめきを追い求め、常にそれを保つために数か月毎にパートナーチェンジすることになるでしょう。が、自分が変わらない限り何度相手をかえても似通った展開になるはずです。そしてこれにもお金と時間と体力(←運動!)は必要です(笑)。(ちなみに「一緒にいる意味」なんていうのをいちいち考えるのはおそらく女性だけで、情熱やときめきや激動の展開がないと一緒にいられない人は少女漫画やハリウッド映画に影響されすぎている人にありがちな傾向です。あれは漫画と映画の中だけの世界です。)まあパートナーを変えるのは本人の自由ですが、運動や体力づくりから逃げても、いずれ「あちこち痛い」「しんどい」「もう疲れた」をお経のように唱えることになるので、せっかく五体満足に生まれたのに自分で台無しにしたまま長生きというのも、あまり楽しくないでしょう。
若さのピークは10代~20代、それ以降は死に向けてあらゆる機能が低下していくのが遺伝子レベルのプログラムであり、長生きすればするほど誰もが等しく認知症になり、老眼にも白内障にもなり、生物は100%の確率で最後は死ぬので人生は有限です。そして寿命カウントダウンにおいて今日が最も若い日です。全部事実なんですが、なぜか事実に拒否感を示す方がある一定数いるのがとても不思議です。そういう人に遭遇するたびに私が思うのは、じゃあこの人は「あなたに限って悪いことが起こるはずがないですよ。ずーっと何も変わらず若くてきれいなままですよ。絶対に大丈夫!」とか、その人にとって毒にしかならない気休めを言って欲しいのかな?本当にそんなものにお金を払いたくて、働いているんですかね?旦那さんや親のお金だとしても、時間と努力の総体がお金なんだから、そんなものに払って、親や旦那様の労力や大切な時間を無為にしてしまってるとは思わないんですかね?そもそも、自分の頭でよく考えて行動してるのかな?私は、自分がわざわざ貴重な時間を割いて働いて稼いだお金を、何の役にも立たない気休めや嘘を聞くために払うのって、本っ当に時間とお金の無駄だと思いますね。学びや研鑽や至らぬ自分のことを思い嫌われる覚悟で厳しい指摘をしてくれる人に払う方がよっぽど価値があります。
なので、私はこの手の安易なことは言いませんし、「これさえやればOK!」「あっという間に変わる○○!」みたいなのでお客さんを集めるのは、虚偽広告で詐欺行為だと思うし、私の良心とモットーに反するので、こうしたことも言いたくないんですよ。「1日5分でみるみる変わる」「○○さえやればOK」「60代でも20代の若さのままでいられる方法」とか、あーりーえーまーせーーーー--ーん。これもみなさん数十年生きていれば「薄々気づいてる」んじゃなくて「本当はもう分かってる」ですよね?わかっていることなのに何一つ実行できないし続かなかったし、でもそれを自分のせいだと認めたくない己の情けなさに気づかされるのはもっと嫌だから、うまい話に逃避したくなるのかもしれません。平凡恐怖症的に「だって私はもっと優れた人間のはずだから」って心の隅っこで思っていませんか?現実逃避と自己弁護を続ける者は、年をとればとるほど生きるのがキツくなるというのも自分の頭で考えていればわかるはず。
こんな風に、運動であれ自分の頭で考えることであれ、数十年間もさぼってきたことを自分だけで立て直すというのは、私としては「できない」という言葉は極力言いたくないのでそうではない言葉で表現するとしても、そういう人たちにとっては並大抵の努力ではなかなか難しいんじゃないでしょうか、と思います。1日でも早くとりかかればよかったと今になってから気づいても、後悔先に立たず。失った時間は取りもどせません。私はそういう女性も沢山見てきました。
ですから、当サロンでピラティスやパワープレートに取り組んでいらっしゃる皆様も、モチベーションが停滞したり、なんか今日はやる気が出ないなという時も、新しい習慣を自分の生涯の当たり前にしたいなら、いちいち悩まず考えこまず、気休めに逃げず、自分で決めた短期・中期・長期の目標に向けてひたすら淡々と実行してください。そして、忌憚ない意見を告げてくれる人との繋がりと時間を、自分の最大の味方に変えてください。
幸い当サロンの今のお客様はこれを理解できる器のある方々が沢山いらっしゃいますし、各々の目標を達成するだけの価値のある方ばかりだと感じています。必要なのは自己卑下でも熱い情熱でもやる気でもなく、お互いに刺激しあえる人との繋がりと、時間と頻度を味方につけることのできる冷静な頭と、毎日のアクティブな実践、練習です。