ロレッタブログ

【外反母趾】手術の時期について - 2022.08.05

外反母趾の手術の時期は、いうまでもなくその重症度によります。

  • 軟部組織が重度に損傷していて、もやはオペを行ったとしてもMP関節での可動が不可能になってしまうケースもあります。その場合は(あまり一般的ではないようですが)関節置換術、もしくは関節癒合術を適用せざるを得なくなります。つまり、関節や軟骨など軟部組織がボロボロになってからのオペでは遅いのです。足と全身の機能解剖の点から考慮した場合、母趾MP関節の癒合術は、機能的ではありません。また拇趾の可動域が無くなるため、歩行時のストライドは短くなり、足は外旋し、足部の蹴り出しも早くなり、股関節伸展の可動域も狭くなります。つまり、MP関節の背屈ができないことによる代償が全身に及ぶのです。なお拇趾MP関節癒合術後に IPJ関節で歩行を再現しようする人もいますが、IPJ関節はそもそもの背屈可動域がMP関節ほど大きくないため、IPJ関節背屈で通常の歩行を再現することはできません。
  • 運動療法で外反母趾は改善しますか?という質問もいただきますが、その答えは「かもしれませんね」「程度にが。、よるでしょうね」です。外反母趾では、関節のシフトの現象を引き起こしている筋肉の力が、どの筋肉からどのように働いているのかを考慮しなければなりません。足の内在筋の強化自体は絶対的に必要です。しかしながら、足のエクササイズだけで外反母趾の進行が止められたり、あるいは可逆できるかというと、そうとは言えません。
  • 外反母趾の足の外観が一見似ているからといって、骨格や関節の状態も同様とは限りません。外観からはまだそれほど重症ではない人でも、ひとたびレントゲンを撮影してみるとMP関節の偏移が大変重度に達しているケースもあります。これが一体どういうことか知りたい方は、ぜひ以下の動画を10:05から参照してください。このエミリーの患者の場合は、中足骨遠位が造骨しているので、骨を削って人工関節置換術を行ってもうまく機能しないため、置換した人工関節を取り除き、最終的には関節融合術を選択するしかない、ということになるのだそうです。

以上はこの動画でDr Emilyが解説している内容を、ざっくりまとめたものです。オペに関心のある方は、ぜひどうぞ。

ほとんどの方が手術には及び腰になるのは、心情的には理解できます。しかしながら、私自身が外反母趾と内反母趾という二度の手術を経て、かつピラティスとファンクショナルエクササイズのトレーニングに携わる立場からあえて言うならば、やはりエミリー同様に、手術の適した時期をどうか逃さないでください、ということを強く伝えたいと思います。

外反母趾の重症度の判別は、外観から「外反母趾の出っ張りがひどくなってたから」「合う靴が無くなってきたから」という風に判断するのではなく、レントゲン写真で判断すべきですまた、外反母趾のオペの適用時期は、関節の偏移の程度だけの問題ではなく、軟骨などの軟部組織の健康が損なわれていないことが大変重要です。軟部組織が損なわれてからのオペでは、遅いのです。