ロレッタブログ

摂取物質や行動によるドーパミン分泌量の違いについて - 2022.09.23

昨日のブログでは、私が脳と依存症と回復の動画をよく観ていることを記しましたが、なぜそこに興味があるかというと、現代社会は程度の差こそあれ、マイルドな依存症の状態で生きている人がほぼ99%だからです。そこにはもちろん私も含みます。

たとえば私の依存対象は、猫、エクササイズ、野菜やフルーツや大豆製品を毎日食べること、コーヒー、香り、向上欲、読書、気持ちのよい寝具、エッセンシャルオイルを入れたお風呂での入浴・・・・ざっと挙げるだけでもこんなにあります(笑)。こうした行動や物が自分の人生に存在することで、我々の脳からドーパミンが分泌されて、日々の生活に張り合いが出たり、自己向上に繋がったり、心地よさやワクワク感を得られるなら、その対象の数は少ないよりも多いほうがストレスは軽減しやすいだろうし、無いよりもあったほうが充実した時間を過ごしやすいように思います。

ただし、この仕事で様々な人を定点観測していると、健康や人生全般に中長期的にはあまり良い結果をもたらさないものに手を出し、悪習慣からなかなか抜け出せない人(ギャンブル、喫煙、多飲、暴食、運動不足、破滅的浪費、)加齢とともに心身の健康をさらに損なう人、亡くなる人も見てきました。

私はそうした人たちや行動を目の当りにしながら、一体どうすればドーパミンの加減を上手にコントロールできるのか、コントロールするためのコツがあるとすればそれは何なのか、またコントロール不能になるというのはどういうことなのか、分泌の前と後とで起こる変化や、依存から回復できる人とそうではない人の違いは何なのか、などに大変興味があるんです。


では、私たちの脳で分泌されるドーパミンの量は、その対象となる行動や物質を摂取する前(ベースライン)と、行動や摂取をした後とを比較すると、一体どのぐらい変化するのでしょうか?大変興味深いリサーチ結果があったので、シェアしますね。

  • チョコレート・・・1.5倍。ピークを迎えた数秒~数分後に直ちに低下するため食べだすと止まらなくなりやすい
  • セックス (そのバリエーションは別として行動自体またはそ消費)・・・ 2倍 
  • ニコチン・・・2.5倍。ドーパミン分泌量がピークを迎えた直後に低下するためチェーンスモーカーという行動に繋がる
  • メタアンフェタミン・・・10倍
  • エクササイズ・・・本人がどの位そのエクササイズを主体的に楽しんでいるかに左右される。本人が能動的に楽しみながら取り組んでいれば分泌量は2倍でセックスと大して変わらず、本人が楽しんで取り組めていなければ分泌量はゼロ、またはマイナス。

一番最後のエクササイズの主体性と楽しみでの結果の反転具合が面白いですよね!これは決して「好きでもないのに無理やりその行動や物質が好きだと自分に言い聞かせればよい」というようなことではなく、脳のPrefrontal cortex(前頭前野)にあるMesocorticolimbic pathway(中脳皮質辺縁系神経路?)という部分に関連している現象だそうです。ここは記憶や感情の制御や行動の抑制など、さまざまな高度な精神活動を司っている重要な場所です。私たちがエクササイズなり何かなりについて書き、考え、その良さを理解し練習したりを主体的に実行することがドーパミンの分泌量を上げることに繋がるそうです。

つまり、「この運動は嫌い。この勉強は嫌い。この人は嫌い。でもそのあとのご褒美が好きなんです」という行動は、かえって状況を悪化させるし、これで運動が好きになったり、勉強が好きになったりすることはなく、むしろドーパミンの分泌を阻害することになるのだそうです。

確かに私の経験からも、こんな感じで何事にもケチをつけたり主体性に欠けている人ほど、加齢とともに鬱っぽくなったりおかしくなっていく印象があったのですが、これは自分で自分の脳を鬱っぽくさせる言動を数十年続けた結果なのかもしれませんね。運動に関しては、楽しみながら動けるコンディションのうちに、楽しめる運動を見つけて継続していくことが望ましい、ということがよく分かります。

ただし、難しいのは、人は本気で辛かったりひどい目に合ったりなどの痛みを伴わなければ自分を本気で変えようとも思わない人が圧倒的に多いので、運動を開始するきっかけも、自分も健康や身体の状態がいよいよどうにもならなくなってからようやく焦って重い腰を上げる・・・となりがちなんです。この時点からの運動デビューになると、何かを少しやっただけでも「ものすごくしんどい」となりがちなんですが、まあそのまま老いにまかせてあちこち不自由になっていきたくなかったら、ドーパミンが出ようが出まいが、最初のうちはある程度の結果が出るまで自分で腹くくってやるしかないんですよね。

脳に関する日本語のサイトも記しますね。

→〇人間らしく生きるためには「前頭前野」が大事

→〇脳科学レポート 脳を知り、脳を守り、脳を育てる

こうしたトピックをはじめとして、非常に興味深い話が満載の動画はこちらです。Andrew D. Huberman教授は、スタンフォード大学医学部神経生物学科で脳の発達と可塑性、神経の再生と修復を研究しているそうです。