2024年のお気に入り動画<Part4>ホームレス高校生→ハーバード医大助教授へ Dr. Christopher M. Palmer - 2024.12.21
UCLAによるThe BrainSPORT Podcast。大好きなAnna Lembkeのインタビューが上がっていたので、それを視聴していところ・・・
ついでに見つけのがDr. Christopher M. Palmerのインタビュー。Dr. Christopher M. Palmerは、精神医学と代謝の分野で活躍する著名な研究者・臨床医らしく現在はハーバード医科大学の精神医学助教授のようです。Dr.PalmerのBrainEnergy Theoryは精神疾患を脳の代謝障害として捉える革新的なアプローチで、ものすごく端的に言うと「全ての精神疾患や脳疾患の元凶は、ミトコンドリアの機能不全だ」ということになるようで、私も「まあ、とどのつまり、そう言ってしまえばそうなんだろうけど…」的に聞き始めたら、これが非常に面白くて!
彼の理論は、従来の治療法で改善が見られない患者に対する新たな治療戦略の可能性を提示していて、治療抵抗性のある患者が、食事の改善や運動により精神疾患や諸症状に改善がみられるということなのです。従来の薬物療法だけでなく、代謝を改善するアプローチ(例:ケトジェニックダイエット)の可能性を示すことで治療の選択肢を広げています。
「睡眠、食事、運動の生活習慣が大事なんて、とっくに知ってる」という人が大多数だと思いますが、では規則正しい生活習慣管理が日々できているか?というと「全くそうではない」という人も、大多数だと思います。「ただ知っている」のと「実際にできている」は、別物なのに。本当に大切なことだからこそ、書籍であれインタビューであれ番組であれ、違う人の視点で同じことを述べているのだと思うのです。だからこそ、どんな人も、「できていないこと」を日々着実に変えていけば、長い目で心身は確実に良いほうに変化するはずです。
脂質やたんぱく質が欠乏していると、脳も神経系もホルモンもろくに機能しないのは間違いないのです。昨年のお気に入り動画の1つに挙げた、元拒食症で管理栄養士のMichelle Hurnの動画を思い出しました。三大栄養素の全て、もしくはそのいずれかが極端に欠乏している場合はケトジェニックダイエットのように極端に脂質(三大栄養素の1つ)を徹底的に摂取する方法が有効なのはなんとなく感覚的にありうるようには思います。ビタミンの吸収が良くなるとか、細胞膜の原料だとか、良質な脂質摂取は必須ですから。ただし、そこまで健康に支障が出ていない人がケトジェニックダイエットに取り組む必要もないとは思いますが。
2023年のお気に入り動画 <Part6>Michelle Hurn ‘Standard Anorexia Dogma isn’t working
ということで、Dr. Christopher M. Palmerに興味を持って、いくつかインタビューを立て続けに視聴したのですが、感銘を受けたのがこのThe Tim Ferris Show出演時の回。
Dr. Christopher M. Palmerが12〜13歳頃に母親が”psychotic break(精神病的な発作)”を経験し、自殺念慮を伴う鬱病へと進行し、最終的に精神病にまで発展し「自分はマグダラのマリアである」という妄想を抱き、世界の終わりが来ると信じていたそうなんです。幼い子供にとって、身内の、しかも母親がこういう状態なんて惨憺というか悪夢というか・・・。
こうした出来事が両親の離婚に繋がりました。当然ながら離婚手続きは母親に不利に進み、8人の子供全員の親権、貯金、家族事業などの資産を失う結果となったのですが、当時13歳のPalmerは母親の健康を心配し、「母親が死んでしまうかもしれない」と考えて一緒に暮らすことを選びました。その結果、彼は親の状態と資産の喪失の結果、PalmerとPalmerの母親は一時期ホームレスとなり、なんと高校初日をホームレスシェルターで過ごしたのだそうです。
言うまでもなく、その後猛勉強に猛勉強を重ねて現在のキャリアを築いたのは間違いないのですが、こうした話を知るにつけ、聞くにつけ、ちょっとした悩みや困りごとが、いかに騒ぐほどのことではなくたかが知れていると思いますね。私がこういうインタビューをみたり聞いたりするのが好きな理由は、卓越した人は実際に本当に比類ない努力家で、知的かつ謙虚で、ユーモアもあり、機知に富んでいて、その有様にいつもとことん感嘆させられるから、なんですよね。
こんなに賢くてインテリジェンスのある人間には自分は到底なれないけれど、こんな人たちの話を浴びるように聴いて良い刺激をもらえる今みたいな時代に生きられて、本当にありがたいです。