ロレッタブログ

ストットピラティス=インテリジェント・エクササイズ - 2025.03.04

上はそれぞれ、PCの前で座っている人と自転車に乗っている人の典型的な姿勢の画像です。この時の骨の位置と各関節はどのようなポジションでしょうか。2つの姿勢に共通する問題は過度の屈曲です。

  • 頭部前方位 (Forward Head Posture): 頭が体の中心線から前に突き出ています。これに首の後ろの筋肉に過度の負担がかかり、頭痛や首の痛みの原因となることがあります。
  • 猫背 (Dowager’s Hump) : 胸椎上部が過度に後弯しています。これは長時間の悪い姿勢によって引き起こされる可能性があります。
  • 胸郭の圧迫 (Rib Pain) : 前かがみの姿勢により、肋骨が圧迫され、肺や心臓が押しつぶされ、呼吸が浅くなります。
  • 腰痛 (Low Back Pain): 座位での屈曲姿勢は、腰椎に過度の負担をかけ、腰痛の原因となることがあり、ヘルニアと呼ばれる椎間板の突出を引き起こす可能性があります。
  • 股関節の屈曲 (Hip Pain): 長時間座っていると、股関節屈筋が短縮し、股関節の痛みや、関節の可動性の著しい低下を引き起こします。

つまり、座ること自体が問題なのではなく、立っていようが座っていようが、正しい位置に骨を収めることができないほど抗重力筋や深層筋(インナーマッスル)が弱化していることが問題なのです。

現代人の姿勢不良や、それが引き起こす慢性的な痛みに悩む人々の本当の問題は、本来あるべき十分な頻度で毎日体を動かしていないこと=同じ姿勢が長時間継続していることです。それはつまり、全身の骨がある一定の位置で停止している時間があまりにも長すぎることを意味します。毎日この長時間の不動を継続することで、私たちの体は悪い姿勢をさらに強化し、さらに不良姿勢に適応していきます。

では、このパターンを逆転させるにはどうすればよいかというと、自分の正しい骨の位置がどこなのかを理解し、実際にその位置に向けて頭(脳)で骨の動きや位置を内観しながら日々動かしていく、ということに尽きるのです。ストットピラティスは、そうした思慮深く科学的で身体感覚に集中するアプローチゆえに「インテリジェント・エクササイズ」や「マインドフルネスのリーダー」とも呼ばれます。

不良姿勢の期間が長ければ長いほど、その脳に搭載されたGPSは「自分的には不良姿勢がなんだかしっくりくる姿勢なんです」と誤認知しています。ですから、ストットピラティスのパーソナルセッションを始めたばかりの頃は、正しい骨の位置を保ちながら動くことがとても難しく、かつ動作や姿勢が不自然に感じられるかもしれませんが、実はこれこそがいかに長年間違ったドライビングテクニックで運転し続けてきていたかの証明に他なりません。

ストットピラティスののアプローチは、クライアントが自分の体と動きのパターンをより意識することを促し「本来の安全で正しいドライビングテクニックの習得」を促します。そのドライビングテクニック向上に必要なのは、動きに集中して脳をよく使いながら行われる継続的な反復練習、です。

やれば変わる、継続すれば変わる、集中すれば変わる。変わるための鍵は適切な頻度、強度、高い精度。

・低頻度、低強度、低精度では期待するほどには変われない。低精度で回数だけこなすのはむしろ逆効果。

これは語学習得やピアノやダンスの習得の課程と全く同等とお考えください。