ロレッタブログ

「骨太=がっしり体型」って本当?見た目と骨の真実 - 2025.04.30

よく、体つきががっしりしていることを「骨太」ということがありますが、「骨太」は日常会話でよく使われる言葉であり、医学的な専門用語ではありません。医学的には、骨の健康状態を評価する際に、「骨密度」と「骨質」という指標が用いられます。いずれも、骨粗鬆症や骨折に関する情報でよく聞くタンゴですよね。

  • 骨密度:骨に含まれるカルシウムやミネラルの量
  • 骨質:骨の構造や柔軟性、コラーゲンの状態

したがって、医学的に「骨太」という状態を説明するならばこの2つの指標を用いて、骨密度が高く、骨質が良い状態を指す、ということになります。

では、平均的な身長や体格の人でも、大幅に骨の太さが違うことはありうるのでしょうか?
私たちの骨の太さは、遺伝的な要因、食生活、運動習慣、ホルモンバランスなど、さまざまな要因によって影響を受けます。例えば、以下のような要因が骨の太さに影響を与える可能性があります。

  • 遺伝:遺伝的に骨格がしっかりしている人
  • 運動:若い頃から適度な運動を続けることで、骨が太く丈夫になる
  • 栄養:カルシウムやビタミンDなどの栄養素を十分に摂取することで、骨密度が高まり、骨が丈夫になる。


つまり、日常的に強度の高い運動習慣を継続しておらず、食生活も適当な人が、骨が歴然と太くなっている・・・ということはあまり考えられないのですよね。多くの場合はその骨の太さには大差がなく、纏っている脂肪の量が違うのだ・・・ということがよく判る画像をみつけました。↓

最も左側の画像(a)から最も右側の画像(d)の順に従って、皮下脂肪(Subcutaneous adipose tissue)や内臓脂肪(Intra-abdominal adipose tissue)が増え、筋肉量が減っているのがよくわかります。そして脳がスカスカになっていたり、心臓の位置もズレていっているのもわかりますね・・・。

つまり、見た目は体格がどっしりして見えたとしても、その骨を動かす筋肉量は圧倒的に少ないために、「ちょっと動いただけでとても疲れる」という状態になります。だからますます動かなくなるのですが、そうなると健康は加速度的に損なわれます。


こんな画像も見つけたのですが、運動しようとしても分厚く纏った皮下脂肪が邪魔をして、うまく動くことができなさそうですよね。うまく動けないから余計に運動することが嫌になってしまうのだと思います。この負のスパイラルから抜け出して、健康を取り戻して、快適に動ける身体に蘇るためには、やはり食事を見直して脂肪を落とすことが不可欠でしょう。


英国人男性のキース・マーティンは44歳で亡くなったそうですが、このスキャン時の体重は444kg!この画像は合成の可能性もあると言われているそうですが、444㎏ならこれだけ脂肪がついていてもおかしくなさそうです。事実、当時42歳の彼は11年間家から出たことがなく、2年間ベッドから動いたこともなく、歩くことも、洗濯することも、トイレに行くことさえままならないほど大きくなったため、自立するために必死だったそうです。

1日20,000キロカロリー(成人推奨摂取量のほぼ10倍)。典型的な食事は、朝食に卵6個分のフライを食べ、昼食と夕食にピザ、ケバブ、中華料理のテイクアウト、ビッグマックなどを食べ、コーヒー6パイントとソーダ2リットルで流し込むというもの。

2年間ベッドに寝たきりだっため、減量と理学療法による8ヶ月間の厳しいプログラムに取り組み、20キロ以上の減量に成功したものの立つことはできなかったそうです。しかし、太りすぎで死ぬ前に減量手術(胃の大半を摘出するスリーブ状胃切除術)を受ける必要があります。2週間後、ようやく立つことに成功し、手術を受け、その手術自体は成功して大幅な減量に成功したのですが、そもそも健康状態が悪すぎたために患った肺炎から回復することができず、手術から8カ月後に死去したそうです。

内分泌疾患(甲状腺疾患、クッシング症候群)や慢性炎症性疾患(結核、慢性関節リウマチなど)による消耗などの病気のケースは別ですが、肥満や痩せすぎの人は多くの場合メンタルに問題を抱えています。彼の場合は、自身の過食は心理的要因、特に10代の頃に母親を亡くしたことに起因している鬱病と不安症に関連していると語っていたそうです。

痩せも過体重も、健康に百害あって一利なし。身体的、心理的な要素を含む複雑な健康問題なので、生命に被害が及ぶ前に専門家に相談することをお勧めします。

健康な女性と肥満の女性のMRIスキャン画像

内臓脂肪が減らない人の生活習慣