数年ぶりの映画館体験と、デミ・ムーア主演『サブスタンス』 - 2025.06.12
先日、ほんとうに久しぶりに映画館へ足を運びました。
たまたま水曜日の「映画サービスデー」に午前中の仕事が空いたのもあり、朝8時半からの回で、デミ・ムーア主演の『サブスタンス』を鑑賞。「朝イチ映画でホラーってどうなのか?」と思わなくもないですが、朝イチで自分のために時間を使えると贅沢な気分になりますね。
この作品、ジャンル的には「ホラー」や「ボディホラー(身体変容をテーマにした恐怖映画)」とされることが多いようですが、私にとっては、終盤はもはやブラックコメディに近い感覚でした。
たとえば、デニス・クエイド演じるプロデューサーの役名が“ワインスタイン”だったり(ご想像通りのあの人物が元ネタでしょう)、スタンリー・キューブリック作品を彷彿とさせるカットがあったりと、グロテスクながらも痛烈なユーモアが随所に。制作者たちの意図に思わずニヤリとしてしまう場面が多々ありました。

正直、日本版のDVDも、ぜひこのビジュアルで発売してほしい!
映画の空気感そのままに、パッケージも含めて一つの作品として完成している印象でした。
思い出したのは「ヘルタースケルター」よりも…
ネット上では、岡崎京子さん原作の『ヘルタースケルター』やその映画版と重ねて語られることが多いようですが、私が真っ先に思い出したのは、ロザンナ・アークエット初監督のドキュメンタリー映画『デボラ・ウィンガーを探して』でした。
この作品は、「ハリウッドでは40歳を過ぎた女優たちはどう生きているのか?」をテーマに、30人以上の著名女優たちと素顔で語り合う異色のドキュメンタリーです。
余談ですが、出演者の中でも印象に残ったのは、ウーピー・ゴールドバーグのコメント。誠実で本音がにじみ出ていて、深く共感できるものでした。
逆に、グウィネス・パルトローのコメントは少し上滑りな印象で・・・全く内容が響いてこなくて、お記憶にすら残っていません(笑)。
その点、エマニュエル・べアールの“夢見る少女”的な語りはむしろ潔くて魅力的で、こういう世界観が許される女優が他にいるとすれば、イザベル・アジャーニくらいかもしれません。

特殊メイクと制作の舞台裏に感動
こちらの動画(↓)は、一部ネタバレが含まれますが、
- ホラー映画が苦手で鑑賞を迷っている方
- 事前に「どのくらいグロテスクなのか」知っておきたい方
には参考になると思います。
特殊メイクチームが、どのようにして“プロステティック”を作り、実際の撮影でどう動かしていたのか、またエンディングの“何トンもの血しぶき全開”なシーンの撮影舞台裏などが収録されていて、技術的な面でも非常に見応えがありました。私は思わず興味津々で最後まで見入ってしまいました。人の皮膚や産毛や毛細血管、ギラギラした切開した断面を何で作っているのか、などなど本当に面白かったです。
デミ・ムーアの存在感が際立つインタビュー動画
そして、もうひとつおすすめしたいのが、デミ・ムーアがチャーリーズ・エンジェルの3人とともに映画について語っているインタビュー映像です。
この作品、デミ自身がプロデューサーとして制作にも関わっているのですが、その姿勢がまた潔くてカッコいい。若く未熟な依存症の両親のもとで生まれ、離婚した母親からの虐待と貧困、デビュー後も摂食障害やアルコール、薬物依存からの立直り、離婚、米国エンタメ界で仕事を得るために若く美しい容姿を保ちつづける努力と外圧やプレッシャー、男優と同等のギャラを現実化したパイオニア、リスキーな役でも積極的に引き受ける向上心。そして今この映画で年齢や業界の価値観を軽やかに超えて、笑い飛ばすようにしなやかに立ち続ける彼女の姿には、純粋に励まされます。
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