ロレッタブログ

ピラティスの負荷設定ミスが招く危険──弱すぎても強すぎてもNGな理由 - 2025.09.01

はじめに

ピラティスの効果を最大限に引き出すカギは、“適正な負荷設定”にあります。
しかし現場では、驚くほど軽いスプリング負荷で終始するレッスンや、逆に過剰な負荷や高難度の種目を連続して行わせるケースも少なくありません。

最近、私は様々なピラティススタジオで体験レッスンを受ける機会を多く持っています。その中で気づいたのは、負荷設定が極端に弱いスタジオや、逆に過剰な負荷を与えるスタジオが想像以上に多いという事実です。今回の記事は、そうした現場での実体験と観察結果を踏まえ、弱すぎても強すぎても危険な「負荷設定」について掘り下げます。

私自身、過去に複数のスタジオでの経験の中で、当時の身体能力を大きく超える負荷を立て続けに設定され、怪我を負ったことがあります。しかも、後日判明したのは、その人のピラティスセッションでは長年のバレエ経験者や筋トレ経験者、さらにはプロのピラティスインストラクターまでもが怪我をしていたという事実・・・。運動不足や低筋力だから怪我をしたわけではなく、負荷設定の判断ミスこそが原因だったのです。(ピラティスの知識が備わった今の自分が思い返すと、スタートポジションもかなり適当だった)

これはピラティスに限った話ではありません。過去には、フリーウエイトを使ったファンクショナルトレーニングで、負荷設定の誤りが原因で怪我をしたこともあります。最も残念だったのは、私が直接何度も担当トレーナー(複数名)に痛みや違和感、種目や負荷への違和感を伝えていたにも関わらず、それに関して各トレーナー間での申し送りや見直しが行われていなかった様子だったこと。最後のセッションを担当して下さったトレーナーは本当に色々配慮してくださったと思いますが、それ以前に私を担当した、諸々の違和感を訴えていたトレーナー達ってその調子でトレーナー業を続けてよいのでしょうか。フィットネス系の人は体育系部活のノリの人が多いので、先輩トレーナーに意見を言えない雰囲気がその施設内にあったのかもしれません。しかし、クライアントの体を壊すリスクを回避するために話し合いの場を設けるよりも、目先の自己保身を優先して「知らなかったふり」をするトレーナーなんてトレーナー失格です。プロならその己の弱さを変えましょうよ。オーナの方はしっかりしている方だと思うので、現場のアンバランスさが大変もったいないです。

つまり、ジャンルを問わず、負荷が弱すぎても強すぎても、身体にとっては危険な事態を招きかねないのです。それはインストラクターの力量が全てです。


負荷設定とは何を指すのか

ここでいう負荷設定は、スプリングの強弱だけを意味するものではありません。

  • 重量(ウエイトの重さ)
  • レップ数(1セットの回数)
  • セット数(繰り返し回数)
  • 種目の選択や順番
  • イクイップメントやツールの選択
  • 進行のスピード
  • 不安定性の有無(支持基底面の広さや動揺を含む)

これらを総合的に組み合わせて初めて「負荷設定」となります。それ以前にスタートポジションが適切であることは言うまでもありません。どれか一つでも適切でなければ、効果の低下や怪我のリスクが高まります。


弱すぎる負荷の問題点

  • 効果が出にくい:筋力・骨密度・代謝改善が期待できない
  • 誤った身体感覚が身につく:本来必要な抵抗やフォームの感覚、正しい動作が学べない
  • 安定性不足による怪我リスク:負荷が軽すぎてかえって関節や靭帯に負担

グループクラスの限界とパーソナルの誤解

マンツーマンの監督下で行う運動は自己流やグループ形式に比べて、効果が高く怪我が少ないことが示されています。特に高齢者では筋力やバランスの改善、転倒予防効果まで確認されています。だからこそ、パーソナルセッションには大きな価値があります。

一方で、「グループでは対応できないけれど、プライベートなら必ず安全・効果的」というのは誤解です。上記で述べた私の怪我の実体験は、プライベートセッションでした。つまりプライベートセッションであっても、インストラクターが適切に評価し、負荷を調整できなければ危険は同じ。つまり、繰り返しますが、形式よりもインストラクターの力量がものを言うのです。


強すぎる負荷の問題点(実体験)

  • 運動経験豊富な人でも怪我をする:長年のバレエ経験者、筋トレ経験者、プロのピラティスインストラクターも例外ではなかった
  • 原因はクライアントの現状を無視した設定
  • 「頑張らせれば効果が出る」という誤解は非常に危険

負荷設定ミスが起こる背景と原因

インストラクターの知識・経験不足

解剖学や生体力学の理解不足による負荷設定ミス。

「安全第一」の誤解

安全を優先するあまり極端に軽い負荷に固定してしまうケース。

マニュアル依存・評価スキルの欠如

一人ひとりの状態を正しく評価できず、マニュアル通りの負荷設定しかできない。

日本人女性の心理的な誤解と商業的背景

日本人女性の多くは「トレーニングをするとムキムキになるのでは」「女性らしさが失われるのでは」という誤解を抱いています。そのため、体験セッションで少しでも「しんどい」と感じたり、軽度の筋肉痛が出たりすると、それを「危険」「自分には合わない」と誤解し、入会につながらない恐れがあります。

この心理を過度に気にするあまり、インストラクターやスタジオが「体験レッスンや初心者向けレッスンでは負荷を極端に軽くする」方向に偏ってしまうケースも少なくありません。結果として、運動効果は出ず、むしろ「ピラティスは効かない」と感じて離脱してしまう。つまり、女性特有の心理的な誤解と、商業的な迎合が合わさることで、適正負荷が提供されない土壌が生まれているのです。

インストラクターの性格・姿勢の問題

まれに、顧客をライバル視したり、「こんなことも出来ないのか」と挑発する態度をとるインストラクターがいます。なかには、コテンパンにやっつけることを目的化してしまい、負荷設定を競争心のはけ口にしてしまうケースも存在します。自分相手に1人で戦っていて欲しいですね。どうか他人を巻き込まないで!同業者が相手だとこの手の態度を露骨に出す人がいます・・・。

クライアント側の主体性の欠如と体力低下

一方で、受ける側が自分のために口では「頑張る」と言いながら、実際は自重スクワット数回や450g・1kgのウエイトですら「もうできません~」とヘラヘラ笑って甘えるか、すぐにくじける場合も、当然ながら効果は得られません。もしその程度の負荷で何をやっても辛いなら、それは筋力だけでなく関節の可動性(モビリティ)も著しく欠如しており、もはや動物として1Gの荷重下で“動くために作られたはずの体”が、“自分の体重ですら支えることもできなければ、動くこともできない体”まで著しく退化・衰弱している証拠です。その体にしたのは、他でもなく、紛れもなく自分自身であり、そこから脱却するためには泣き言を言わず、真剣に自分のための努力を積み重ねるしかありません。

ある日突然、体が動かなくったり変形するならそれは難病か外傷です。使っていなければ機能が低下するのが体であり脳です。身体は何歳からでも、必ず変わります。しかし、身体は何もしなければ変わらないだけでなく、必ず後退します。変わるためには、一定の強度と頻度が必須です。

口で優等生、行動は怠け者、みたいな中途半端なコミットでだらだらしていると、1年どころか5年10年はあっという間に無駄に過ぎてしまいます。やるなら真剣に取り組みましょう。


負荷設定はプログラミングの一部

負荷設定は、運動指導者が行う「プログラミング」という作業の一部にすぎません。
プログラミングとは、クライアントの現状や目的、その日のコンディションを踏まえて、種目・負荷・順番・回数・休息時間などを最適化すること。これは運動指導の中でもっともスキルと経験を要求される作業であり、この的確さが効果と安全性を左右します。

 


Lorettaのスタンス

  • 初回セッションでの詳細な評価とヒアリング
  • その日の体調や前回の反応を踏まえた負荷調整
  • 弱すぎず、強すぎず、安全性と効果を両立する適正ゾーンを維持

まとめ

弱すぎる負荷は効果を奪い、強すぎる負荷は怪我を招きます。
負荷設定はスプリングの強弱だけではなく、重量・回数・種目選択など多くの要素から成り立つものです。
スタジオやジムでのトレーニング時は、「なぜこの負荷なのか」「なぜこの種目なのか」「なぜこのツールなのか」「なぜこのマシンなのか」「なぜこの回数なのか」を説明できるインストラクターかどうか、ぜひ観察してみてください。質問を嫌がるインストラクターや、はぐらかすインストラクターはお勧めしません。