握力計を購入しました ―「手の力」は健康のバロメーター - 2025.10.07
ピラティスやトレーニングの現場では、老若男女問わず「運動以前の基盤」に問題を抱えている方に多く出会います。スマホかペンしか持たない生活で使っているのは「目」と「指」だけです。
瓶のフタが開けられない、プルトップが引けない、ボタンが留めにくい、水の入ったペットボトルを落としやすい、掃除をしようとしたら雑巾がうまく絞れない…。
これは下肢だけでなく、上肢や手指の筋力・感覚が大きく衰えているサインです。
その現状を客観的に知っていただくために、当サロンでも握力計を導入しました。
なぜ握力なのか?
握力は単なる「手の力」ではなく、全身の筋力・健康状態を映し出すバロメーターです。
研究によれば、高齢者において握力が強い人と弱い人では、寿命に最大10年の差があるとも報告されています。
また、握力は全身の筋力低下や衰弱度と関連し、転倒リスクの予測にも有効とされています。
栄養状態とも深く関わる
高齢者の栄養指導でも握力は測定されます。
理由は明快で、握力低下=筋肉量低下=栄養不足の可能性を示すからです。
特にサルコペニア(筋肉減少症)の早期発見に有効で、食事改善やタンパク質摂取の見直しにつながります。
握力レベルの目安(成人女性の場合)
握力には「平均値」や「健康リスクの目安」となるラインがあります。以下は研究や統計に基づく目安です。
| レベル | 握力目安(片手・kg) | 状態の目安 |
|---|---|---|
| 平均的健康域 | 約 25〜30 kg | 成人女性の標準的な範囲。日常生活は概ね支障なし |
| 日常に支障が出始めるレベル | 約 15〜20 kg | フタが開けにくい、買い物袋を持てないなど不便を感じやすい |
| フレイル/虚弱レベル | < 18 kg | フレイル判定の一要素。筋力低下リスクが高い |
| 重度低下/自立困難リスク | 10〜15 kg以下 | 日常動作に大きな制限。要支援・要介護の可能性を含む |
※握力のみで「要介護」を断定できるわけではありません。あくまで健康チェックの一要素と捉えることが重要です。
年齢階級別・女性の平均握力(日本人統計より)
| 年齢階級 | 平均握力(kg) |
|---|---|
| 20〜24歳 | 約 27 kg |
| 30〜34歳 | 約 28 kg |
| 40〜44歳 | 約 28 kg |
| 50〜54歳 | 約 27 kg |
| 60〜64歳 | 約 26 kg |
| 65〜69歳 | 約 25 kg |
| 70〜74歳 | 約 23〜24 kg |
| 75〜79歳 | 約 22〜23 kg |
| 80歳以上 | 約 19〜20 kg |
加齢とともに少しずつ低下していくのが一般的です。当サロンのお客様を測定してみたら、握力に自信のある女性でも、20㎏~25㎏前後です。
測定方法や器具の違いで数値が若干変動することもあると思いますが、お値段も手ごろなので、おすすめです。
ちなみに、成人男性の握力の平均は20代から40代で約45kg前後が一般的です。35~39歳がピークで平均約46kg程度となり、その後50代以降は徐々に低下していきます。
まとめ
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握力は「手の力」だけでなく、全身の健康度や寿命の目安になる
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18 kg未満はフレイルのリスクとされ、15 kgを切ると日常生活にも強い制限が出やすい
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栄養状態や筋肉量の確認にも役立つ
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当サロンでは、こうした科学的な指標も活用しながら、個々に合わせたケアを行っていきます
まずは自分の握力を知ることから。健康づくりの出発点として一緒に取り組んでいきましょう。
