40歳からのライフスタイルチェンジ—更年期を“迎える前”に、整えはじめよう。 - 2025.10.18
毎年10月18日は、World Menopause Day(世界メノポーズデー)。
日本では、一般社団法人 日本女性医学会が中心となり、更年期やホルモン補充療法(HRT)についての正しい理解を広げる活動が行われています。
けれど私がこの仕事を通して強く感じるのは、「その時が来てから整えよう」では、手遅れになることが多いということです。
更年期の準備は、その症状が起きてからや閉経してからではなく、40歳になった時点で“始めておくべき”なのです。その準備は、ただ「婦人科の定期健診を受けに行く」ことだけではありません。
1. 更年期を軽やかに迎えるための“助走期間”
女性ホルモンの変動は、一般的に40歳前後から少しずつ始まります。
けれど不調を自覚してから運動や生活を整えようとしても、体質・代謝・神経系の柔軟性はすでに大きく変わり始めています。
20代・30代では細胞の再生力と免疫力で乗り切れていた無理が、40代以降は確実に“借金の返済”として心身に現れます。
生活を変えるとは、単に「健康に気をつける」ことではありません。
それは、生き方そのものを見直すことです。
運動・食事・睡眠のリズムを整えることは、未来の自分への投資であり、40代のうちに軌道修正できなければ、50代以降は病気や治療、後遺症、そして老後のQOL低下として表面化するリスクが高まります。
2. 「いつも少し先の未来を想像して行動する」という生き方
私が常に意識しているのは、「少し先の未来を想像して今から行動を始める」こと。
健康も美容も、今だけを整えるための“流行”や“感覚的なオシャレ”ではなく、未来の自分をどう生きたいかという選択の積み重ねです。
多くの人が「心の準備ができたら行動しよう」と考えがちですが、実際にはその逆です。
環境と行動を変えることで、心が変わる。
まず、身体を動かす環境を整え、食事や睡眠のリズムを整え、「行動」を先に変える。
その結果として、少しずつ心が追いつき、やがて生き方そのものが変わっていくのです。
完璧を目指す必要はありません。
大切なのは、自分を丁寧に扱う習慣を積み重ねること。
そうした行動の先に、揺らぎにくい“軸”が育まれます。
ちなみに私は、仕事柄とはまた別に、自分事としてHRTに関する情報収集は、30歳の頃から積極的に開始しています。必ず訪れることが分かっているホルモン変動の事前学習を疎かにしたせいで、体形が崩れたり、好きな服が着られなくなったり、生活習慣病まみれになって通院や待ち時間で命の残り時間を無駄にしたり、投薬や手術などの治療とセットの副作用にも極力遭遇したくないし、心肺機能が落ちて少し動いただけで汗だくでハアハアゼーゼー・・・みたいな自分がしんどい思いをするようなQOLの下降に甘んじたまま、あと数十年生きるなんて「絶対に嫌!」、というとても単純な動機です(笑)。
3. 60代を迎えたときに、運動してこなかったことを後悔していない人はいない
私はこれまで、多くの女性のからだと向き合ってきました。
その中で強く感じることがあります。「60代を迎えたときに、30代から、遅くてもせめて40代のうちに運動を習慣化してこなかったことを後悔していない人」に、私は出会ったことがありません。
むしろ、後悔するのは「なぜあの時、始めなかったのだろう」「なぜあの時、続けなかったのだろう」なぜ、あの時に自分は逃げたのだろう」という声。つまり、自分を大切にしてこなかったことの後悔の声です。「あの時は仕事があったし」「あの頃は子育てしていたし」と言い訳を連ねても、旅行や買い物や外食やレジャーには行けていたはず。そこにお金と時間を使うことを決めたのは、自分の選択。そして、そこに体力を維持向上させる活動を組み込んでこなかったのも、自分の選択なのです。
身体は年齢とともに変化しますが、“いつ始めるか”と“始めたものをきちんと続けるかどうか“で、その後の10年、20年は人生が全く違う方向に進むのです。その人生の舵取りをするのは自分しかいないのです。
4. 我慢ではなく、理解とケアを

「必要なのは、我慢ではなくケアと理解。更年期は、自分自身を大切にするきっかけです。」
日本女性医学会のポスターの言葉です。この言葉に深く共感します。
更年期は終わりではなく、これまでの積み重ねをどう生かすかの転換点。
だからこそ、「自分の未来を信頼できる日々」を今からつくっていきましょう。
5. 信頼できる情報とともに
📘 日本女性医学会『ホルモン補充療法ガイドライン(一般向けガイドブック)』
公式サイトにて全文ダウンロード可能です。
Q&Aには、「30代ですが生理がたまにしか来ません。HRTをするほうがよいでしょうか?」という、まさに30代の方にも読んでいただきたい情報が含まれていたりしますので、「まだ私には早いのかな?」と思った方も、ぜひ一度読んでみることをお勧めします。今と未来の自分のために。
