ロレッタブログ

2025年のお気に入り動画<Part 4> 体脂肪率50〜5%が教えてくれた「ちょうどいい脂肪」の話 - 2025.12.25

今年最も印象的だった1本の動画としてご紹介したいのが、Jeff Nippard(ジェフ・ニッパード)の「What Every Body Fat % Actually Looks Like (50% to 5%)」という動画です。体脂肪率50%から5%まで、実際の男女の身体を例にしながら、「体脂肪率」と見た目・体調・メンタルの関係を丁寧に解説している内容です。

英語の動画ですが、視覚的にも非常にわかりやすく、「数字としての体脂肪率」と「人が実際にどう感じながら生きているか」のズレを、ここまでリアルに見せてくれるコンテンツは多くありません。長年サロンで多くの女性の身体を見てきた立場からも、「そうそう、まさにこういう感じ」と深くうなずく場面が多くありました。


体脂肪率が高いときに起きている「なんとなく不調」

動画の中で、体脂肪率が高い参加者たちは、単に「太っている」ということ以上に、次のような状態を語っています。

・常にだるく、気分が沈みがち
・階段や少し速足で歩くだけで息切れする
・靴下や靴を履くときに、お腹や胴まわりが邪魔をして苦しい
・自分の体を「機能的に動かせている」という実感がまったくない

これは、私がこれまで見てきた「体脂肪率がかなり高めの方」の典型的な特徴とも重なります。「自分で足の爪が切れない」「階段を降りるときに、お腹が邪魔して階段が見えない」もありますね。臨月の妊婦と同じサイズのお腹をずっと抱えている感じをイメージすると、分かりやすいと思います。

体脂肪が多い状態では、関節や内臓への負担が増えるだけでなく、全身に酸素や血液を送るために心臓や呼吸器が常にフル稼働しやすくなります。その結果、動いていない時間ですら、どこか常に疲れている・気分が晴れない・やる気が出ないといった「なんとなく不調」「鬱々とした気分」が続きやすくなります。

ここで強調したいのは、「メンタルが弱いから落ち込む」のではなく、「そもそも身体のコンディションとして前向きになりにくい状態」になっているという視点です。

この違いを知っておくだけでも、自分の身体への見方が少し変わるはずです。


女性の体脂肪率40%台は「今は元気」でも、将来の血液検査が心配

一方で、動画の中には、体脂肪率がかなり高めであっても、「今はかなり調子が良い」「エネルギーもある」と話す女性も登場します。日本でも、体脂肪率が40%台でも

・いつも元気で、仕事や家事をこなせている
・体力にもそれなりに自信がある
・筋力もそこそこあり、日常動作では困らない

という方は少なくありません。

ただ、ここで冷静に考えたいのは、「それは、今がまだ若いから成立している状態かもしれない」という点です。

日本人を含むアジア人は、欧米人と比べて、同じ身長・体重(=BMI)でも内臓脂肪が多く、2型糖尿病などの生活習慣病リスクが高くなりやすいことが分かっています。若いうちは、多少体脂肪が多くても、

・ホルモンバランスがまだ保たれている
・筋肉量もそれなりにあり、回復力も高い

といった「若さの貯金」で、体感としての不調が出にくいことがあります。

しかし、40代以降になると、

・血糖値やHbA1c
・中性脂肪やLDLコレステロール
・血圧
・肝機能の数値

など、健診の数字に「生活習慣病予備軍」のサインが少しずつ現れてきます。

つまり、体脂肪率40%台で「今は元気」でも、将来の血液検査の結果は、今の延長線上にはない可能性が非常に高いということです。

ですから、女性で体脂肪率が40%台に乗っていて「この先の健康寿命もきちんと守りたい」と考えるなら、「健康的とされるゾーンの上限ギリギリ」に居座るのではなく、そこから少し体脂肪を落としておくほうが安心だろうと私は考えています。


体脂肪率が低すぎるときに出てくる「別のしんどさ」

この動画が優れているのは、「痩せれば痩せるほど良い」とは決して言っていないところです。体脂肪率が極端に低い参加者たち(いわゆるボディビルコンテストコンディションに近い人たち)は、口をそろえて次のようなことを話しています。

・常に食べ物のことを考えてしまい、頭から離れない
・イライラしやすく、気持ちが落ち着かない
・疲労感が強く、集中力も落ちる
・睡眠の質が悪く、身体が回復した感じがしない

特に女性の場合、体脂肪率が10〜15%台といった「競技レベルの絞り方」を続けると、

・月経不順や無月経
・骨密度の低下
・ホルモンバランスの乱れ

など、ホルモンや骨の健康に深刻な影響が出やすいことが知られています。

そして、動画の中でも示されているとおり、そのような極端に低い体脂肪率を、日常生活の中で長期的に維持し続けることは、ほぼ不可能です。多くの人は、コンテストや撮影が終わると体脂肪が戻っていきます。

ここで改めて強調したいのは、体脂肪は「少なければ少ないほど良い」わけではないという、ごく当たり前だけれど忘れられがちな事実です。


日本人にとっての「ちょうどいい体脂肪ゾーン」はどこか

一般的な海外ガイドラインでは、ざっくりとした目安として、

・男性:体脂肪率10〜20%前後
・女性:体脂肪率20〜30%前後

あたりが「健康的な範囲」として示されることが多いです。

ただし、先ほど触れたように、日本人は欧米人よりも、同じBMIでも体脂肪率が高い傾向があります。また、「BMIは普通体重なのに体脂肪率だけ高い=隠れ肥満」というケースも、日本の若い女性の間で決して珍しくありません。

こうした背景を踏まえると、日本人にとっては、

・動画や海外ガイドラインで示される「健康的レンジ」の上限ギリギリ(男性なら20%前後、女性なら30%前後)にとどまるより、
・そのレンジの中央〜やや下限寄りに位置しているほうが、将来の健診結果や生活習慣病リスクの観点からは、より安心だろうと感じます。

これは、私自身が20代から現在まで、約25年にわたって多くの女性のお身体と長期的な変化を観察してきた感覚とも一致しています。特に「健康的レンジの上限ギリギリ(女性なら30%前後)」にとどまっている方ほど、「私まだ標準範囲内」と大変油断しています。そのようなかなり脇が甘いままで40歳に突入し、40代以降のメタボ健診で要注意判定を受けるケースが非常に目立ちます。そのままの状態で50代、60代へと年齢を重ねる中で、糖尿病などの治療が必要になる方も少なくありません。

・数字上は「ギリギリOK」の体脂肪率
よりも、
・同じ身長・年齢でも、体脂肪はやや低めで、筋肉量がしっかりある人

のほうが、40代以降の血液検査の成績や、日常の体力・気力が安定していることが多いのです。


「数字」だけでなく、「機能する身体」を目標にする

この動画を見て改めて感じたのは、「体脂肪率の数字」だけを追いかけることの危うさです。

体脂肪率が高すぎれば、

・なんとなくの不調
・疲れやすさ
・メンタルの落ち込み
・将来の生活習慣病リスク

といった「ジワジワ効いてくる負担」が増えていきます。

一方で、体脂肪率を極端に落としすぎれば、

・常に空腹で、食べ物のことばかり考えてしまう
・イライラや不安感が強まり、人間関係もギクシャクする
・ホルモンバランスや骨密度、内臓の機能に悪影響が出る

という、別の種類のしんどさが待っています。

大切なのは、

・朝起きたときの身体の軽さ
・一日を終えたときの疲労感
・仕事や家事に向かう集中力
・好きなことに向かう余力
・健診や血液検査の数字

これらを総合して、「自分にとってのちょうどいい体脂肪ゾーン」を探していくことだと思います。

ピラティスは、そのための強力なツールのひとつです。数字を急激に変える魔法ではなく、

・呼吸
・姿勢
・関節の動き
・体幹の安定
・筋肉のスイッチの入れ方

を整えながら、「機能的に動ける身体」「自分をきちんとコントロールできる感覚」を取り戻していくアプローチです。もちろん、「お腹の肉が邪魔して動けなくなっている自分」や「内臓脂肪の影響で胸郭を動かす本来の呼吸ができない自分」「ただ細いだけで、体に力をいれることすらできなくなっている自分の衰弱」に気づくこともできます。

体脂肪率の数字だけを見るのではなく、

・身体がちゃんと動いてくれている実感
・一日を終えたときの満足感
・将来の自分への投資としての安心感

こうした指標も含めて、自分のコンディションをデザインしていくきっかけとして、この動画を年末にぜひゆっくりご覧になってみてください。


この動画を「今年のお気に入り」として選んだ理由

毎年末、「今年印象に残った動画」を振り返る中で、この1本を選んだのは、単に「痩せましょう」「筋トレしましょう」というメッセージではなく、

高すぎる体脂肪のしんどさ
低すぎる体脂肪のしんどさ
・その間にある、現実的で健康的な「ちょうどいい体脂肪ゾーン」

を、具体的な人の顔とストーリーを通じて見せてくれたからです。

体脂肪率という数字に一喜一憂するのではなく、

「自分は今どのゾーンにいて、これからどこを目指したいのか」

を落ち着いて考える、良い材料になってくれるはずです。

来年の自分の身体と健康のために、まずは「現状を直視する一歩」として、この動画をシェアしておきます。