ロレッタブログ

香水 - 2010.12.10

資生堂のパフューマーだった堅田道久さんの著作。
これも20年以上昔の本ですから、もはや「古書」ですね。
b0105586_1511576
中はこんな感じ。
こうした白檀の扇子は、いまでもありますよね。
b0105586_1511576

b0105586_15111341

原料の白檀自体が大変希少になってきているのでお値段も相当はります。高価故に偽物も出回っているのだとか。
あくまでも香りをたのしむための扇であって、涼を楽しむような作りではないらしい。写真のとおり、扇の板に透かし模様が沢山彫られているので、仰いでも、あまり風が立たないから。

シャネルNo5を創作したエルネスト・ボーの晩年は、ずいぶん不遇な日々を送ったと知り、驚きました。
バラの咲き誇る5月に亡くなったのは、ジャスミンとローズを斬新なアルデハイドでひきたたせた人らしいかな。
ミス・ディオール(クリスチャン・ディオール)、タブー(ダナ)、マ・グリフ(カルバン)など数々の名香を創作した天才調香師ジャンカール先生に師事した時代のエピソードなども。

「ローマは一日にしてならずの譬のように、卓越した調香技術は一朝一夕に習得できるものでなく、つね日頃のたゆまぬ努力と、すぐれたセンスによって、はじめて芸術的作品は完成するものだ。」

「日本人は大変努力家で器用なことは世界随一である。この点大いに敬服する。しかし、外国のよいものをみると、すぐ模倣するのには驚いた。悪く言えば、猿真似だ。香水も絵や音楽と同様に1つの芸術作品である。模倣したものには、何らの価値がない。むしろ軽蔑される。東洋独特な匂いを創作しなさい。」

堅田さんの著作にはエッセイあり、サイエンスありで盛り沢山の「香りの魅惑と謎」という本もあります。
化粧品に香りを付けるだけではなく、歯磨き粉を作るためにひたすら試し続ける毎日の大変さ、また「肌が荒れたらいつもやり玉に挙げられるのは香料」とぼやいていたり(←しかもこの現状が30年後の今でも変わっていないというありさま・・・)、くすくす笑いながら一気読みしたものです。