ロレッタブログ

103歳で買ったもの - 2018.10.16

自宅で転んで大腿骨骨折して、立ち上がろうと腕を突いたら手首も骨折。
あまりの痛さにそのまま気を失い、22時間そのまま。
翌朝取材で訪れた方が異変に気づき、なんとか鍵を開けて発見され、そのまま入院、手術。
病院のベッドから落ちて反対側の大腿骨も骨折。
車いす生活になり、一人暮らしを諦めて100歳で老人ホーム「シニアメゾン鎌倉山」に入所することになったそうです。

老人ホームはご家族も安心な場所として重宝される場所ではありますが、バリアフリーで、何もかも介護の人がやってくれるので、ある意味でとても甘やかされてしまい、あっという間に筋力が低下するんですよ。しかも設備の良いところほど1つの施設の中になんでもそろっていて、どんどん身体を使わなくなり、頭も使わなくなり、老化がますます進行していくんですね。
ただし栄養管理はしっかりしているので、長生きはしやすくなります。
そういう現実については、私も施設にお住まいの方々や、そこで働く方からよく聞ききました。

この本にはこんな風に記していました。

「姥捨て山かと思ったら、シニアメゾンはお姫様生活でした。
スタッフはみなさん、明るく元気で、大事に大事にしてくださって。とにかくわたくしにとっては過保護ですから、快適なような、不便なような・・・。病院から退院すると同時にまっすぐここに来てみたら、1階のお庭に面したお部屋は、小さいながらなんでもそろっていて、新婚家庭のお部屋みたい。これでハンサムな新郎でも待っていてくれたら申し分なかったのですが・・・。」

「でもなんだか物がりない。で、最初に全身が映る鏡を買いました。誰に見られてもいいように、いつも身だしなみには気をつけなければ。壁には、言えにあった大好きなゴッホの「ひまわり」の絵にきれいな紫色のスカーフをあしらって・・・。
何しろ、この次はお墓に行くのですから、ここにいる間は気持ちよく、美しく、楽しく暮らしたいじゃありませんか。

「とにかくいつも好奇心。何かに心向けてときめいていたいですね。人間って年中ときめいていないとダメですね。
102歳で豪華客船の飛鳥Ⅱにお招きいただきました。横浜から乗って、横浜へ帰るクルーズは、『車いすでも大丈夫』ということで・・・・。90歳でもお元気で乗船なさる方がたくさんいらっしゃるそうなのです。
このお話には、心からときめきまいたね。
着るものはどうしようかしら。ドレスも作りたいし・・・。
それまでにリハビリを頑張って、車椅子なしで歩けるようになりたいし・・・。
そこで、昔を思い出してダンスのステップの練習を始めたりして・・・・。

一度は乗ってみたかった夢のクルーズです。
良い人みつけちゃおうかしらと、すっかりその気でいたのですが、結局、残念ながら、またちょっと骨の具合を悪くしてしまい、かないませんでした。
でも、引き続き、現在リハビリ中。治ったらすぐにでも乗る気満々なのです。」

「戦後、世の中からは美しいものが消え、目にするものは殺伐としたものばかりだったころがありました。
わたくしは香水が大好き。戦時下でも一番大切なものはフランスの香水でした。
そんなある日、仕事帰りに銀座を歩いていると、露天に美しい香水瓶がずらりとならんでいるじゃありませんか。」
「『わぁ、コティだわ!』と、幻のような光景に思わず吸い寄せられて近づいて。
ちょうどその日は、原稿料を沢山いただいた帰り道だったのです。
夢中で美しい香水瓶を買い込みました。
そのころ1俵のお米が1000円で買える時代に、なんと数千円も。
でも、もったいないとは思いませんでした。たとえ消えていくものでも、誰に何と言われようとも、自分を本当に幸せにしてくれるものにお金を使いたい。戦争が終わった喜びを思いっきり味わいたかったのです。
自分で働いたお金は、自分を本当に幸せにしてくれうるものに使っていいのでは。

こうありたいですよね!!!!
先日いらした60代のお客様のご意見にも、深く納得させられたばかりなのでした。

女性が美容予算を削り始めたら、その人は『老後の準備中』のつもりかもしれないけれど、もう『老後』なのよね。本人が気づいてないだけで、もう現役じゃなくて老人になってるの。」