ロレッタブログ

ドリフターズ診療 - 2022.03.14

「更年期外来にやってくる患者さんの話がとにかく長くて、主訴が何かわからないケースが非常に多い。愁訴を箇条書きにしてから来院してほしい」という現役医師の話があったのですが、施設がどこであれ時間はその人のためだけに無尽蔵にあるわけではないし、ボランティアとは違い、相手も仕事なので経営面も考慮した対応になるのは当然なのだけど、最近あちこちから聞こえてくるエピドーソから推測すると、その辺りのバランスが分からない人が増えてきているようです。

こうした「私を全てを受けとめて話を聞いて」的な承認欲求の不満は、加持祈祷系の占いやスピ系、自己啓発系が請け負い、お金をどんどん吸い上げているのが日本の実情だと思います。これは非常に良くないし、どうせ同じ時間を割いてお金を払うなら精神科や、自称のカウンセラーではないちゃんとしたカウンセリングを受けに行く方がよいと思うのだけど、心理的にハードルが高く感じる人が多いみたいですね。精神科受診という表現を嫌がる人には、メンタルクリニックや心療内科など別の表現で言わないといけなかったりするという事情から、そうした施設も増えているのに、ちょっともったいないですね。

特に女性は「あなたは自分を全面的に受け止めてくれる理想の人なはず!」みたいなのを一方的に、相手に押しつけやすい傾向が少なくないと思います。幼児期ならともかく、成熟した年齢に達すれば本来はそういう発想にはあまり至らないはずなのだけど、色々あって不本意ながら視野狭窄したり客観性のバランスが崩れてしまった人もいるのかもしれないし、軌道修正しようにもしきれなくなっているのかもしれませんね。

こうしたメンタルの問題に限らず、何かにつけて日本では専門家に相談しに行くという行為は、物事がよほどのレベルに至らないとやらない傾向があるような印象がありますが、ギリギリまで我慢して自分にできることをやりつくして破綻寸前になってから相談するよりも、問題との距離をとりなおすために「専門家に相談する」という行為が、もっと気軽ににできるようになった方がよいと思います。当サロンには様々なご職業の専門家がいらっしゃいますが、「もうちょっと早く相談してくれていたらよかったのに」というケースが本当に多いらしいです。専門家って、問題や課題に対して自分よりもはるかに詳しくて場数を踏んでいる人が「専門家」なわけですから、一人で鬱々するよりも「とりあえずまず相談」という行動をとるほうが、多くの人にとっては良い実を結びやすいのではないかと思います。

ちなみに、精神科では1日数十人もの患者さんを診察するときに、「風呂入ったか?」「顔洗ったか?」「歯磨いたか?」と声をかけて、締めくくりが「また来週!」で終わる数分の診療をババンババンバンバン♪のドリフターズ診療(ドリフ外来)と揶揄することがあるそうです(笑)。

私の個人的な意見ですが、この対応が全て×というわけは決してなくて、実際にこの声掛けで十分なケースもある程度はあるんじゃないかと思います。この3つの自分の衛生管理ができなくなっていたら、それはセルフネグレクトの兆しだし、心身共にかなり衰弱してきている証拠ともいえるので、現状把握にはこれはこれで有効なんじゃないでしょうか。

お客様を観察しているとよくわかるのですが、女性ホルモンの分泌の低下が顕著になる更年期くらいから、新しいことを始めたり続けることが「おっくう」で「めんどくさい」し「外出は面倒」だしで、挙句「着替えるのも疲れる」し「お洒落する気力ももうない」となり、「スキンケアはオールインワンが楽でいいや」となる人が増えます。人間は心(脳)が先に老化していって、閉経後のホルモンバランスに身体が適応したころには肉体という外見も一気に高齢化へと進んでいくのだなあ…というのがとてもよくわかるのです。

今日の自分をよい明日の自分に繋げるためには、自分で自分にドリフターズ診療をするような気持ちでいたほうがよいし、そのチェックは別段変わったことが特にない普段のうちからしておいたほうが良いでしょう。そして、自分なりに思いつく範囲でやれることはやっているつもりだけど、それでもどうもしっくり持ち直せないなあ・・・なんていう時は、大事に至る前に専門家に早めに気軽に相談しにいけたらいいんじゃないかなあ、と思います。スピとか自己啓発で一時的に気を紛らわせるのではなくてね。自分を大事に扱うって、そういうことなんじゃないかと思います。