ロレッタブログ

モードとエロスと資本 - 2010.09.08

モードとエロスと資本 / 中野香織 / 集英社新書
「かつてモードの原動力であった恋愛のエネルギーはどこへいったのか」
「エロスが抜け落ちた、あるいは薄まったモード゛は、「倫理的」になる一方、恋愛や性愛の要素をあまり伴わない。」
「恋愛を面倒くさいと思っても、都市生活の舞台は、恋愛に変わる刺激的な楽しみを与えてくれる」
「愛はあったほうがいいが、なければないでとりたて不幸でもない」
「二一世紀は、モードの原動力であった「恋愛」はモードの回転の外にはじかれ、その空虚を「倫理」が埋めていった。暴走資本主義の罪を償おうとするかのように」
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モードと不可分であったはずの男女の関係や恋愛観にも変化が起きています。
「カワイイ」「エロい」という、21世紀にはいって急速に世界中で主流となった美意識を女たちは男目線抜きでマニアックに極めはじめ、一方、男たちはより華奢に、より繊細になって「ガラスの塔」に閉じこもり、「AVでいいや」と逃げていく。「モテ服」武装をしたモテそうな男女が溢れているように見えるのに、出逢いのないことを嘆き、婚活にはげむ男女が増えている。
OPNERS著書インタビューより
『モードとエロスと資本』 目次
序章 リセッショニスタの復活
第一章 |倫理を着こなすリセッショニスタ
変わるファッション価値
三度、同じ服で登場した「プラダを着た悪魔」
富の誇示から、良心の誇示へ
倫理的な贅沢
贅沢の再定義
グリーンは黒に代わる定番色
責任と持続可能性
毛皮をめぐる攻防
「ファーはエコロジカル」という主張
倫理ブーム誕生の背景
よき循環をめざして
第二章 |「失わない」ための服装術
ファッショナブルではなく、プロフェッショナルに
なぜ、いまパワードレッシングなのか?
好況と不況、「成功」の定義の切ない違い
IT産業の寵児、ネクタイを結ぶ
口紅は、セックスアピールではなく、信頼感のアピール
上院議員にふさわしい髪
紳士クラブにふさわしい容貌をつくるグルーミング
アイデンティティ供給不足時代のグルーミングブーム
第三章 |暴走資本主義が愛を蹴散らし、モードを殺す
倫理が、恋愛に代わる
モードの原動力は、かつて違法恋愛であった
ボディスは正しく引き裂かれてこそ
「モテ服」という虚構
「セクシーな服」「セクシーな時計」は、セクシーな男をつくらない
コサージュ、擦り切れたバッグの威力
小さくなりたい男たち
もっと細く、もっと子供っぽく
繊細さ、まるだしの男
男が男を殺すとき
弱くなれ、「いい人」でいい、張り合うな
趣味化する装飾
愛は資本主義を生み、資本主義の行きすぎは愛を蹴散らした
第四章 |現実を超えていくための「マンガ」と「エロい」
「カワイイ」も「エロい」も、モテをめざさない
マンガになりたい
本格的接近の始まりは、村上隆?
コスプレ認知に始まりも、二〇〇三年
個性なくてもキャラ立てたい
人生はマンガを模倣する
「自分になれる」十全感
「セクシー」から「エロい」へ
ヴァギナ・ドレスにGスポット広告
ぶるるんリップをエロエロに
ファッションになったセックス・トイ
ラグジュアリー・セックス・ブランド
女の女装とエロスのライフスタイル化
第五章 |ラグジュアリーと激安品のはざまで
原宿・表参道の二一世紀的光景
激安チェーンとハイエンドなデザイナーとのコラボ
ファスト・ファッションがデザイナーを救う?
ファッション・ジャーナリズム不信とストスナの大流行
貪欲な利益追求の果てにたどりついたのは
ブランドに対するラブ&ヘイト
ブランドの転換期
社会の変化はスタイルの移行を伴う
総整理の後に残るものは
大不況期に生まれた「世界でいちばん高価な香水」
たいへんな時代だからこそ、着飾りなさい
あとがきにかえて
気になった方は、こちらから試し読みができますので、どうぞ。