ロレッタブログ

愛の法則 1 - 2011.03.06

1960~1970年代まで、政治家・王族・外交官たちを顧客にしていた高級娼婦館のオーナー・マダム・クロードの自叙伝には、美しく完璧な女性を作り上げる過程が記されています。
元はといえば、友人からゆずりうけたビジネスだったそうですが、ヨーロッパやアラブ、アメリカの政治家、世界的な実業家、資本家たちの間でよく知れ渡り、王様や大統領、貴族たちを顧客にかかえ、紹介者なしにはドアをたたくことができない最高級の館になるまでは、2年の歳月を要したそうです。

改めて考えると、友人のビジネスでいくつかの点がひっかかりました。‘お客とコールガール‘、そして‘売春‘という言葉の持つ汚れたイメージでした。もし私がこの道に入ったら、醜いことすべてを取り払おうと考えたのでした。
~中略~
残された娘たちは私の好みのタイプではありませんでした。かなり低俗だし、それにさほど美しくなかったからです。私には、金持ちのお得意様につり合うように、パリ中で最も美しく、面白味があり、最高にエレガントでパーフェクトな娘たちが必要でした。
私の思い描く娘たちが出入りする世界に見合うように、娘たちを変身させ、教育しなければなりませんでした。でも、幼い頃に修道院で受けた教育のおかげでひらめきを発揮できる部分がありました。
何しろ修道院のシスターたちは、貴族の娘が多かった寄宿生たちに、あらゆる社交シーンでの振舞い方を教えてくれたのですから。
~中略~
あらゆる場面での対応法を身につけ、他の女性たちに差をつけるお作法と心得を私たちの一生のためにと、シスターたちは叩きこんでくれたのでした。
私は後に、いくどとなく国家の長たちと顔を合せましたが、動じもしませんでした。どう振舞うべきか、何を口にし、何を言ってはならないかと心得ていたからです。人脈作りにかなり苦労しましたが、最初の二年間で、面倒をみてくた娘たちに欠けているものが何であるかを知りました。それが‘しつけ‘ということでした。
そして、私がこの‘美‘を作り上げるビジネスの成功したのは、私たちが真剣に望めば、より高みを目ざして肉体的にも精神的にも、そして教養面においても、人に抜きん出ることができるという信念があったからだと思います。
私たちは何をしてもきちんと行えば、そして一番なら、たとえどんな不名誉な職業であっても、価値を下げることにはならないのです。ですから、私は娘たちに対し、科学の研究者や、部屋を掃除しバスルームを磨く主婦に対するのと同様の敬意を払い、一目置いていました。
今日という時代は、残念なことに、そこに肉体を横たえ、仕事の終わりを待つことだけが満足につながっているようです。まるで仕事の後が真に生きる時間であって、仕事はサイドワークであり、人生の断片にもならないかのようなのは残念なことです。