ロレッタブログ

儲けかたより使いかた - 2011.12.22

ということで、まだまだ山口さんの本を読んでいるところですが、とても面白かったのがこの文章。
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そこそこ金の儲けかたの上手い男性でも、いざ使いかたとなると実に下手な人が多い。
その例は女性にも該当する訳で、女王のごとく金品を手中にしながら日常のつかいぶりばかりは、小間使いにも劣る場合がある。王者の権勢を誇り、あり余る金銭に恵まれつつ、さてそれをどう使用していいのか判らなくなってしまうのが男。あげく下らぬ部分に見栄を張って肝心なところに回さず、せっかく気付いた地位から脱落してしまうケースも後を絶たない。
人間儲けかたより使いかたにこそ、本来の素顔が露に出る。ゆえにそこにおいてこそ高度な人間性と文化度、さらにはテクニックも要すると思うのである。さらにいうと儲けかたの勉強の場はいくらもあるが、金の使いかたを勉強させてくれる場は皆無に等しい。
手前勝手にいうと男の場合それがいわゆる紅灯の巷で、超一流の新橋赤坂の花柳界や銀座の高級クラブであったりした。
~中略~
使いかたで下手のトップは見せ金をする人である。いくら儲けただの、なんの持っているを吹かすばかりでいっこうに使わない人間、まずはどこでも嫌われるナンバーワン。
ついで駄目なのは金の力にものをいわせ無理難題をしかける人、見せ金に近いが、実際に使う分だけややましな部類。
もしくは金の力を頼ってあてにしすぎる差別観の主、これも非常によろしくない。
さらにはつかっても細かすぎる、つまり吝嗇が見えすく大金持ち。
かといって出し過ぎても馬鹿にされるのが辛いところ、例えば酒席でのチップである。
~中略~
評判ということでいうと酒場をやっていた時分によくいった言葉がある。
男の値打ちは銀行の稟議書と、酒場でのロッカーの裏ばなしの両立だと。この二つがよくなければ本物の男じゃない。相反する二つの場所、この二つの評判が両立していい男なとめったに存在しない。どちらかが抜群によければ、どちらかの評判がぐんと下がる。
要するに昼夜兼行で優等生を張ることは、至難の技というより不可能に近いことなのだ。