ロレッタブログ

60代からの急激な衰弱<つづき1> - 2019.07.21

きのうの続き。

健康寿命がのびても、内臓も筋骨格系も10代20代の頃のように若いままというわけではありません。生物学者の池田清彦先生曰く、人間はや野生動物としての基準と、その個体のサイズから推測すると、寿命はせいぜい40年程度なのだそうです。明治時代の平均寿命も60歳前後。60歳ぐらいになって「厄が明けた」と喜ぶ人がいるけれど、実際にはそこから先の厄年が無いのは、多くの人がそのあたりで亡くなっていたから。厄年の作りようがなかったんじゃないかと思うんですよね。

http://www.ritsumei.ac.jp/~satokei/sociallaw/compulsoryretirement.html より

きんさんぎんさんブームの1990年の日本の100歳人口は350人。

2018年では7万人。その7割が女性です。

しかし、内臓寿命が延びても、筋骨格系の寿命と本人の維持向上のための生活習慣が全く追いついていません。寿命が延びれば延びる程、各々のそれなりにガタがきます。本来なら亡くなる年代に相当する60代に諸症状が顕著に現れるのはむしろ当然。 仕事柄いろんな人を見ているわかるのだけれど、60歳になるまでメンテナンスを怠った身体は、毎年が厄年みたいな感じです。

では、どういう風に現れるかを、今日から数回に分けてざっくりと記しますね。

<循環器系>

運動嫌いで身体を動かすことを億劫がっていると、30歳ごろから筋力がじわりじわりと低下します。その自覚は40歳以降から感じられることが多く、閉経後に顕著になります。筋肉が減ると、疲れやすくなります。少なくなった筋肉で同じ生活を送るのだから、すぐに疲れたと感じます。会社に例えるなら、10年20年前と仕事量は同じなのに、社員の頭数は減っているのですから、一人一人が疲弊しきって当然、という感じです

これが人の身体の筋肉で起こると「動くと疲れるから活動量を減らそう」という方向に舵を切るかたが多いんです。つまり、「出歩くのが面倒」「立ちっぱなしはいや」「レジャーは座ったままで楽しめるものがいい(映画、観劇など)」「長時間歩くなんてもってのほか。早く座ってどこかでのんびりお茶したい」等々。すると、血液を循環させる筋肉のポンプ作用が低下します。つまり全身の血流が低下します。運動していると血管もしなやかになるのですが、運動不足の方は30代から動脈硬化が徐々に始まっており、60歳になる頃には血管はそれなりにもう硬くなっています。

身体は生命を維持するために、なんとかして血液を全身に循環させようとします。筋肉というポンプが働いてくれないぶんだけ、心臓の負荷が増します。持ち主の怠惰なメンタルと相反して、体は体なりに色々やってくれるんですよね・・・全くけなげとしか言いようがない。

心臓から勢いを増した血液がブシュブシュと送り出されるのですから、硬くなった血管にはさらに負荷がかかります。閉経まではエストロゲンの恩恵でまだ守られていた血管のしなやかさが失われれたところに、このような一連の現象が現れるのです。「若い頃は血圧が低かったのに、今では高血圧の薬が欠かせない」という女性は珍しくないですよね。食事や運動習慣も関係するとはいえ、60代以降は循環器系に様々な不調が現れる条件がそろってきます。

また、精神的なストレスは物事の考え方や受け止めかたといった思考の癖が強く反映されるところです。夫婦仲が悪かったり、会社の人間関係が険悪だと、さらに心血管系に悪影響を及ぼします。統計的にも臨床的にも『嫌いな人と一緒にいると血圧が大幅に上がる』と認められているそうです。何年も嫌な人と一緒にいると、血圧の高い状態が続きます。じんましんや慢性的な肌トラブルなどの神経症的傾向はいうまでもなく、心臓病にもなりやすいのです。

心が疲れると、頭で考えるよりも前に、まず身体にサインが現れます。60歳以降に心臓病や心筋梗塞が増える原因の1つは、ストレスフルな人間関係もあると思います。願わくはこうありたいものです・・・。(杖とカートに頼っているのはべつとして)

続きは明日。筋骨格系について記します。。